日本では薫が生死の境をさまよい、ここフランスではシャルルが殺人犯として指名手配、さらには重傷の和矢が病院から逃げ出して行方不明、とあっちもこっちも大ピンチ。一方、アルニー城の連続殺人事件を調査していたあたしとカークは秘密の地下道で謎の腐乱死体を発見。一体これは誰なんだろう…?と、その時、突然地響きとともに何かがあたしたちに迫る。あっ、カークあれはっ…。
九州・熊本の地で精力的に創作活動を続ける著者が、心をこめ綴った名文集。水俣での日々の暮らしの中だけでなく、天草や沖縄の島々、日向などへの旅からも題材を選び、田園の移り変わり、日本人の感性や生き方を繊細なタッチで描いた50編。
“悲しみがとまらない”“シングルアゲイン”“駅”等々大ヒットソングをモチーフにした、12のラブストーリー。理想的な恋愛とそれを彩る女友達との過不足ない友情。その両方が備わった、輝やかしい「青春」を得るために、ひたむきさと計算を同時進行させる女の子たちの、小さな戦いの物語。大ロングセラーの待望の文庫化。
「タジェナ山脈だ…」数々の苦難を乗り越えて、カイルロッドは遂にタジェナに辿り着いた。出会った人々の面影がカイルロッドの脳裏をよぎる。いよいよムルトを倒し、ルナンの都を救うのだ。雪に覆われたタジェナを登って行くカイルロッドたち。彼らを、化物たちは執拗に攻撃してくる。そんな化物を毛散らしたカイルロッドの前に、途中の街で出会ったヴァランチーヌが現われた。「どうしてもムルトを倒すというのね」その声にあるのは敵意や殺意ではなく、深い悲しみだった…。急転直下のシリーズ第6弾。カイルロッドよ、まばゆく輝き、闇を討て。
庭は自然の営みが息づく小さな宇宙。人の心を癒し、人を生き返らせる力がある。掘り起こし、種まき、水やり、収穫。-命を育みながら、人は自分をとりもどしていく。心のがらくた整理。成長を静かに待つ時間。あれもこれもを剪定する勇気。お隣りとの垣根をとりはらう喜び。やがて、枯れ枝にふたたび芽吹きがやってくる。自然と向きあい、自分自身とうまくつきあうために。豊かな心の庭づくりへと誘なう、10のレッスン。
歴代の皇帝、王や大公と、彼らが愛した女性たちとの愛の数々を、きめこまやかな筆致で描く。
著者は動物の気持ちがわかり、彼等と話ができる女性。動物と会話できるという能力を隠してきたが、ふとしたことで人々に知られることに。以来、著者は自分の牧場の仕事以外に、依頼人の要請でさまざまな動物たちの具合をみるようになった。どんなにひどい目にあおうと、じっと耐え、飼い主に従うしかない哀れな動物たち、無理解な人間にかこまれ、感情を枯渇させてしまった動物たち…。ニッチの誠実さ、深い愛情が彼等を優しく包み込む。動物たちは静かに語り始めた…。
シェイクスピアの再来、はたまた今世紀最大の天才と称される劇作家の最晩年の作品。シングは、不治の病に冒されながら不屈の闘志と恋人モリー・オールグッドの激励により、最後の力を振り絞ってこの作品を書き上げた。感動とともに、37歳で世を去った作者の無念さ、生への執着が読み取れる。
十代で文学に目覚めてから30歳の若さで世を去るまで、常に「詩人」として生きた中原中也。彼の残した数々の詩は、溢れるような抒情味と独自のリズムを持ち、現在も多くの人に読み継がれている。本書では、共に“歌”と題され、中也自身のなかにある深い悲しみと傷ついた魂の告白がうたわれた二つの詩集「山羊の歌」「在りし日の歌」の全篇を収録。「新撰クラシックス」シリーズ第五作。