男の視点から書かれた“女の性”は真実ではない!赤ちゃんから、年を重ねて老いゆくまでの、さまざまな人生にかかわる女の性。女たちの体験から追求した性のホンネ
日本では薫が生死の境をさまよい、ここフランスではシャルルが殺人犯として指名手配、さらには重傷の和矢が病院から逃げ出して行方不明、とあっちもこっちも大ピンチ。一方、アルニー城の連続殺人事件を調査していたあたしとカークは秘密の地下道で謎の腐乱死体を発見。一体これは誰なんだろう…?と、その時、突然地響きとともに何かがあたしたちに迫る。あっ、カークあれはっ…。
私たちが「この悲しみの世に」あると思うこと以外の認識は、すべて幻想ですー。不倫の愛におちた人妻・節子と年下の青年・善彦は、ある日、自分たちがこれまで別れ別れに生きてきた異父姉弟であると気づく。断ちきれぬ愛の流れのままに節子は男子を出産した。聖地への旅に始まる至高の愛を描く長編小説。
マキシ・アンバービルは、29歳。大富豪アンバービル家のひとり娘で離婚歴が3回ある。最初の夫は若手のアート・ディレクターだった。娘をひとり生んだ。2番目の夫は、オーストラリアの資産家でプレイボーイだった。モンテカルロで知り合い、24時間後には結婚した。6カ月しかもたなかった。3番目の夫は、スコットランドの伯爵だった。広大なヒースの丘に建つ城が新居だった。結婚は2年間続いた。そんな彼女がナゾの事故で死んだ父の復讐に立ち上がった。
カッター・アンバービルは、マキシの亡き父、ザッカリーの弟である。ものごころついた頃から、兄ザッカリーの陰にいた。アンバービル家は、名家であったが、ザッカリーは家計を助けるために苦学し、弟カッターの学費まで出してくれた。雑誌を創刊し、アメリカン・ドリームへと駆け上がっていく兄。そんな兄に対するコンプレックスがカッターの心に暗い翳を落としていく。だが、兄ザッカリーの突然の死が、彼の運命を変えた。ついに自分が表舞台に出るチャンスがきたのだ…。
九州・熊本の地で精力的に創作活動を続ける著者が、心をこめ綴った名文集。水俣での日々の暮らしの中だけでなく、天草や沖縄の島々、日向などへの旅からも題材を選び、田園の移り変わり、日本人の感性や生き方を繊細なタッチで描いた50編。
いま、私達の周囲にはさまざまな形の可能性が我がもの顔をしている。欲望のみ優先させる魔性の可能性に追従するだけでよいのだろうか。大切なのは断念する勇気を持ち心の平安を手にすることではないか?
多発する民族紛争、強まる分離独立運動、憎しみと反目の大地・ソビエトにいま何が起こっているのか。フォト・ジャーナリストの目がとらえた衝撃のルポ。
愛し方を知らない。愛され方も知らない。哀しみ方さえわからない。われわれ現代人はこころの営み方を忘れて、たださまよっているだけなのだろうか。人間のこころの根源を探る第一人者の精神分析ノート。
その蒸気機関車に引かれた三輛連結の列車は、線路もない雪の原野を走り続け、今まさに空に飛び上ろうとしてかなわず、巨木の上に引っ掛かってしまったかのような姿で発現された。後ろには延々20キロにも及ぶ“轍”の痕…。60人の乗客と共に消え失せた“銀河列車”のこの異様な出現の裏にかくされた悲劇とは?
「星とせせらぎの詩人」と呼ばれ、「第二の八木重吉」とも呼ばれ、日本のキリスト教を代表する詩人島崎光正が、生涯をかけて書きしるした数多くの詩から、みずから厳選した。
“日本のランボオ”といわれるこの夭折の天才詩人がのこした青春詩は、なお深く強く人の心を打ちつづけている。代表詩とエッセイ、書簡、日記で構成した必読の「中原中也入門」決定版。
すべては、あたしの橙林学院大学受験の失敗から始まったの。あたしと一緒に受験したホシオは、補欠だけど合格してた。エイリアンのくせに。あたしの名前は、百武千晶。18歳の乙女。ホシオと同じ大学に行くために。あたし、決めたの。浪人。1年間の、孤独な地下生活。暇なし、娯楽なし。たしかに、辛そうな気がする。いや、辛くないわけがない…。
自分はすでに難破船か、骸骨か。それでもなお試練の故郷で文学者が探し求める自我の新しい船出。現実と想像のあわいに明晰な幻視者・小川国夫が眼をそそぐ。
元警察官で探偵事務所を開業する橋本のところに、奇妙な位頼が舞い込んだ。廃線となった広尾線幸福駅の切符を買い、駅の壁に絵馬をかけて来い欲しい、というのだ。切符を届けに位頼人の部屋に入った橋本を待っていたのは、飛び散る血痕と、事件を捜査している十津川警部だった。表題作他4編の傑作短編集。