スペインを旅行中、夜の山道でリーザの車が動かなくなった。通りすがりのジャガーがゆっくりととまり、降りてきたのは陰鬱な光を瞳に宿す伯爵マルコス・レジェス。連れていかれたのは、山すそにくっきりとそびえたつ古城だった。伯爵には、祖母が決めた許嫁がおり、だれも傷つけずに断るために、リーザに婚約者のふりをしてほしいのだという。その夜、祖母のもとで愛を誓い、伯爵に口づけされた。とたん、リーザはうろたえた。まるで恋人とするようなキス…。偽りの婚約者と知りながらも惹かれていくのをとめられない。