なにより大切なものは命。生きているというその事実であるー38歳の若さで、肝細胞ガンで逝った最愛の夫の看護・闘病記。
「スレイド…」店に入ってきた男性を見て、クリスタルは顔をこわばらせた。クリスマスを一カ月後にひかえた水曜日、ずっと音信不通だった夫スレイドがふらりと姿を現したのだ。四年前、最愛の息子を亡くしたことをきっかけに、スレイドは家を出ていったのだった。それ以来、クリスタルは店をひとりで守ってきた。いまさらなにをしに帰ってきたの?愛していたのに、あなたはわたしを見捨てたのよ。クリスタルは憤然としたが、クリスマスまでという約束で彼を受け入れてしまう。もとのふたりにはもう戻れないと知りながら…。今年もお届けするクリスマス特集の一冊。
「もしあなたに勇気があれば、僕の挑戦を受けてください」PRコンサルタントのジル・ハーシーは、ドクター・ローガンの言葉に、自分で決めたルールも忘れ、思わずイエスと答えていた。ドクター・ローガンの言う挑戦とは、彼女が“資金集めの天才”として、彼のいる小児科の新病棟建設のためのお金を集めること。そしてジルのルールとは、子供に関係した仕事はしないことだった。ドクター・ローガンから仕事の話を聞いたときも、初めは即座に断った。でも、もしかしたら彼の挑戦を受けることで、自分が子供と男性に対して抱えている問題を克服することができるかもしれない…。ジルは、わらにもすがる思いで仕事を引き受けることにした。一方、ドクター・ローガンはそんなジルの思いも知らず、堅物の彼女に興味を引かれ、ことあるごとにちょっかいを出しはじめた。
容疑者は3人の愛人。毒殺事件は意外な展開に…。十津川警部シリーズ最新刊。
美しい森の中の豪華な屋敷に住むブース家の次女リリアンは、恵まれた環境で暮らす頭のよい美しい少女。長女のエミリーは信心深いが自分勝手で孤独を好み、一歳下の妹ユージニアは生まれつき病弱で寝たきりだが、リリアンとは大の仲良しであった。そんなリリアンの初登校の日、意地悪なエミリーは彼女を実の妹でないとなじった。だが、母はその話をあっさりと認めた。リリアンは自分の妹の子で、その妹は彼女を生んだ時亡くなったと。最愛の母からの思いがけない言葉。だがリリアンは、その話が嘘だと信じたかった…。
ユージニアの突然の死は母の精神さえも狂わせてしまう。辛い日々を送るなか、久しぶりに楽しみにしていたパーティーさえも出席できず、悲しみに暮れるリリアン。そんな彼女の部屋に突如ナイルズが現れ、二人は夢のような一時を過ごした。だが、ナイルズは部屋を出た後、なんと屋根から落下し死亡。そして、翌日初めて彼の死を知ったリリアンは、父とエミリーの命令により部屋に閉じ込められて…一族の暗い宿命を華麗に描いた好評ドーン・シリーズ、開始から3年の月日を経て堂々の完結編。
共同で法律事務所開設する花吹省吾と虻川照夫のもとにはさまざまな悩みを持った依頼人が訪れるー。久方振りに生まれた子供は、妻の不貞の子だと言張って、離婚訴訟を提訴した夫。血液鑑定では父子関係が認められ裁判は妻の有利に進むように思われたのだが…。表題作ほか、依頼人のために奔走する若き弁護士の活躍を描く法廷推理集。
あれから五十年、もう命の時間はない、せめて故国の地に眠りたい-。朝鮮半島の無力な人々が、サハリン島に封じこめられるについては、いかなる経緯があったのか。感情論を排し、事実のみの記述によって描かれる悲しみの根源と現状。『閔妃暗殺』以来、日韓関係の歴史を検証してきた角田房子の、書下ろし問題作。
砂漠の旅はつらい。そこでは生きる力が試される。それでも、なお砂漠に魅せられ旅する自分がいる。サソリ、モグラ、毒ヘビ、砂漠象、難破船…。そして、ヒンバ族やコイサン族など、過酷な自然環境のなかに生きる人びとがいる。ナミビアの砂漠地帯での数々の出会いとその貴重な体験を綴った日記体紀行文学。
泣きながら生きているのは、自分だけじゃないー。各紙誌書評で絶賛された、名作『友がみな我よりえらく見える日は』で静かなブームを呼んだ上原隆の第二弾。安らぎと感動のノンフィクション。