ユージニアの突然の死は母の精神さえも狂わせてしまう。辛い日々を送るなか、久しぶりに楽しみにしていたパーティーさえも出席できず、悲しみに暮れるリリアン。そんな彼女の部屋に突如ナイルズが現れ、二人は夢のような一時を過ごした。だが、ナイルズは部屋を出た後、なんと屋根から落下し死亡。そして、翌日初めて彼の死を知ったリリアンは、父とエミリーの命令により部屋に閉じ込められて…一族の暗い宿命を華麗に描いた好評ドーン・シリーズ、開始から3年の月日を経て堂々の完結編。
共同で法律事務所開設する花吹省吾と虻川照夫のもとにはさまざまな悩みを持った依頼人が訪れるー。久方振りに生まれた子供は、妻の不貞の子だと言張って、離婚訴訟を提訴した夫。血液鑑定では父子関係が認められ裁判は妻の有利に進むように思われたのだが…。表題作ほか、依頼人のために奔走する若き弁護士の活躍を描く法廷推理集。
あれから五十年、もう命の時間はない、せめて故国の地に眠りたい-。朝鮮半島の無力な人々が、サハリン島に封じこめられるについては、いかなる経緯があったのか。感情論を排し、事実のみの記述によって描かれる悲しみの根源と現状。『閔妃暗殺』以来、日韓関係の歴史を検証してきた角田房子の、書下ろし問題作。
砂漠の旅はつらい。そこでは生きる力が試される。それでも、なお砂漠に魅せられ旅する自分がいる。サソリ、モグラ、毒ヘビ、砂漠象、難破船…。そして、ヒンバ族やコイサン族など、過酷な自然環境のなかに生きる人びとがいる。ナミビアの砂漠地帯での数々の出会いとその貴重な体験を綴った日記体紀行文学。
泣きながら生きているのは、自分だけじゃないー。各紙誌書評で絶賛された、名作『友がみな我よりえらく見える日は』で静かなブームを呼んだ上原隆の第二弾。安らぎと感動のノンフィクション。
二十五歳になったら、信託預金が自由になる。そうしたらパリに行って、わたしのプリンスと出会い、愛の竜巻に巻き込まれるのだー。二十五歳の誕生日を二カ月後に控えたカイラは、その日の来るのが待ち遠しくてならなかった。子供のころからの夢がいよいよ実現するのだ。だが、ひとつ気がかりなのは、彼女が勤める動物クリニックの雇い主であり、隣人であり、そして親友でもあるパトリックのことだった。わたしがいなくなったら、彼は寂しい思いをするかもしれない。そうならないためにも、彼に素敵な恋人を見つけてあげなくては。そしてカイラはいいことを思いついた。自分にそっくりの三つ子の姉エリッサとパトリックをカップルにしたてあげようとー。
“ダイアナを恐喝している犯人を極秘で調べてほしい”復帰した往年の名女優ダイアナのマネージャー、ローレルの依頼で、私立探偵ニックは防犯コンサルタントと偽ってダイアナ邸に潜入した。財産管理人のトニー、宣伝係のフラン、衣装デザイナーのレバ、元恋人ロンなど、動機のありそうな人物がうようよしている。それにしても解せないな、とニックは思った。ローレルのダイアナに対する献身ぶりは異常とも言える。それに、仕事に打ち込むローレルが時折見せるあの悲しげな表情…。ニックはしだいに興味以上のものを彼女に抱くようになる。数日後、ついに犯人がわかったかに思われた。だがその人物は殺され、再び脅迫状が送りつけられる。そこにはローレルに関する思いがけない事実がー。
両親を失ったジュリアは、ロンドンのフラットでひとり暮らし。ある日そこに、長身のフランス人が訪ねてくる。ギイ・ゲラールと名乗るその青年はジュリアの叔母の継子で叔母とともに、南フランスのカマルグ地方に住んでいた。ジュリアのことが心配でならない叔母に頼まれて彼女を引き取りに来たのだという。突然のことで唖然としているジュリアに向かってすぐに荷造りをするんだ、と彼は言った。逆らってみたけれど、彼の強引なやり方にはとても太刀打ちできず、ジュリアはギイとともに南フランスへ旅立つ。
ジェイク・ルーカス。どうしてあなたがここに。友人の子供の命名式パーティーに出席していたロージーは、思いもかけない人物の姿を見てその場に凍りついた。十五年前ー友人に誘われて行ったパーティーで彼女は酒を飲まされジェイクのいとこにレイプされたのだった。ショックで身動きもできず半裸でベッドに横たわっていた私。そんな姿を、部屋に入ってきたジェイクに見られてしまった。今、彼はまたあの冷たい軽蔑のまなざしを私に向けている。違う。私が誘ったんじゃない。無理矢理奪われたのよ。その屈辱的な出来事を誰にも打ち明けられないまま、ロージーはずっと苦しみ続けていた…。
マーゴは平凡な顔立ちをした心のやさしい牧師館の娘だ。ある夜、道で困っている家族を助けようとしていたとき、車で通りかかったドクターにすっかり世話になった。体格がよく、ゆったりと落ち着いていて、美しい青い目をしたドクター。このガイス・ファン・ケッセルが、どこからともなく現れては消えたとき、マーゴの心の中で何かが揺らいだ。なんとなく結婚するつもりでいた青年との婚約も破棄した。その後ガイスとは何度か会う機会があったが、彼は有名な小児外科の大権威ーどこまでいっても遠い存在…。ところがマーゴの人生に、考えられないほど大きな悲しみが襲いかかった。彼女はガイスの肩で思いっきり泣くことになる。そしてガイス・ファン・ケッセル教授は、マーゴにプロポーズした。
両親を失ったジュリアは、ロンドンのフラットでひとり暮らし。ある日そこに、長身のフランス人が訪ねてくる。ギイ・ゲラールと名乗るその青年はジュリアの叔母の継子で叔母とともに、南フランスのカマルグ地方に住んでいた。ジュリアのことが心配でならない叔母に頼まれて彼女を引き取りに来たのだという。突然のことで唖然としているジュリアに向かってすぐに荷造りをするんだ、と彼は言った。逆らってみたけれど、彼の強引なやり方にはとても太刀打ちできず、ジュリアはギイとともに南フランスへ旅立つ。