近親相姦のタブーに挑んだ意欲作!-人妻の愛した男は、別れ別れに生きてきた異父姉弟だった!揺れ動く心理と魂の昇華を描いた長編ロマン。
丹後若狭湾経ヶ岬、伊豆石廊崎、八丈島、函館、五島列島福江島…。全国各地の灯台を転々としながら、海と航路の安全を守り続ける灯台守藤田芳明。彼とその老父の心のふれ合いを中心に、厳しく地味な仕事に挺身する灯台守一家の生活を通して、父と子、夫と妻の愛を歌いあげる。平凡な人生の中にこそある、本当の喜びと悲しみを、抑制された抒情の中に描き出す、感動のシナリオ。
ジェシカはシドニーの最高級ホテルで、ある男性を待っていた。仕事も恋人も失った彼女に救いの手を差し伸べ、さる研究の調査者として雇ってくれた男性ギデオン。だが彼について、詳しいことはなにも知らなかった。やっと現れたギデオンは、ジェシカをピラトロと呼ばれる壮大な屋敷に案内する。まるで太古の遺跡のような、美しくて威厳に満ちた建物。ジェシカは理屈では説明しようのない胸騒ぎを覚えた。この場所こそ、謎めいたギデオンの世界の中心だ。いったんかかわったら最後、二度と引き返せなくなる。そう告げる本能の声を無視して、彼女は屋敷の中へと歩を進めた。思いもよらない悲劇が、自分を待っていることなど想像もできずに。
繁盛している高級婦人服店のオーナーだったイアンテは、自分が両親の実の子供でなかったことを知って、衝撃を受けた。病院の洗濯かごに捨てられていた彼女に添えられていたのは、ギリシア語と英語で書かれた“名前はイアンテです”というメモだけ。わたしは嘘をつかれていた、という意識に苦しんだあげく、イアンテは自己発見の旅をギリシアの小島から始めることにした。島の画廊で、彼女はある肖像写真に深い感銘を受けた。その写真の撮影者はリュサンドロスという魅力的な男性。ふたりはお互い相手に惹かれ、食事をともにして語りあった。しかし彼の話には、イアンテの嫌う“嘘”が含まれていた…。
コーリーは上司のグラントからプロポーズされた。ハンサムな会社重役のグラントは理想の結婚相手と言われている。喜んでいいはずだが、この結婚は“普通”ではない。グラントはコーリーが切実に我が子を欲しがっているのを知って、彼女に白羽の矢を立てたのだ。数年前、事故で妻子を亡くしたグラントは、今後、亡き妻を超える女性に出会えるとは思っていない。ただ、心の穴をうめてくれる我が子を求めているだけだ。彼の申し出を受ければ、母親になる望みは叶えられるだろう。でも、はたして、それだけでいいのだろうか…。
ずきずき傷む頭をかかえて目覚めたとき、リアナは手になにか光るものがあることに気づいた。指輪?それも左手の薬指に。いったいなぜ?リアナは動揺し、必死に記憶をたどった。すると、数日前に出会った有名人ージョー・ヘンダーソンの姿が頭に浮かんだ。しかし、彼との間になにがあったかまったく思い出せない。混乱に陥ったリアナの前にジョーが現れ、あまりにも衝撃的な言葉を口にした。「ゆうべ君と結婚したいと言ったのは本気だ」。
リムジンの運転手をしているベッツィは、ギリシア人の大富豪クリストスを乗せ、ロンドン郊外へ向かった。途中、言葉巧みに誘惑する彼に、ベッツィは敢然と言い放つ。「わたしはあなたの運転手で、それ以外の何者でもないわ」「嘘だ。君が僕に関心を寄せているのはお見通しだ」プライドを傷つけられ、クリストスも負けじと言い返す。だが、二人の言い争いはすぐに中断された。リムジンが襲われ、麻酔銃が撃ち込まれたのだ。やがて意識を取り戻した彼女は、外の景色を見て愕然とした。目の前に、青く美しい海が広がっている…。
「もう我慢できない」と、鯨の代表たちが会議を開き、海洋汚染の追放を宣言した。座礁死の決行で、人間に反省を求めるというのだ。
八年前、リアの最初で最後の恋は無惨にも終わりを告げた。最愛のジョンが、彼女の美しい義姉キャロを選んだからだ。その後結婚した二人の幸せな姿を見るのはつらすぎて、リアは故郷を離れ、これまで一人で生きてきた。一年前にキャロが事故死したときでさえ、彼に会う勇気など湧かなかった。今、リアは失意に沈むジョンを支えてほしいと家族に頼まれ、断りきれずに彼の家に向かっていた。別人のように変わったジョンの最も会いたくない人物が自分だということを知らぬまま…。
白のイメージと静謐に満ちた抒情詩集。紀貫之、宮沢賢治、中原中也へのオマージュ。
幸薄い少女時代を送ったテサだが、働きながら夜学に通い、もうすぐ念願の卒業というところで、ふと知り合った野球選手にすっかり心を奪われてしまった。ロサンゼルスまで彼を追っていき、あげくの果てに妊娠。結局その彼には去られた。今、大きなおなかをかかえ、財布はほとんどからっぽ。古い車で夜も眠らず大陸を横断しているところだ。一人だけの姉が住む東部の町に戻ろうとしているのだ。これからは衝動的なことは決してしない。この子と二人生きていく。だが、中部のハイウェイからそれた目印もないところで、疲れすぎたテサは道に迷い、途方に暮れた。たまたま道を教えた男性ミッチは、彼女の様子がひどく気になった。
理由もわからず自殺した中学生の娘。断腸の思いを綴る母の哀しみの記録。だが人は生きねばならない。生きることに何の意味があるのか?娘を死に追いやったものは何か。