吃音、父母の不和、在日朝鮮人二世という生の条件の中で、自らの感受性を支えに「自己」を凝視し続け、生涯を文学に捧げ尽くした作家の続作品集。単行本未収録作品とエッセイ・書評から、遺稿「土の悲しみ」までを収録。「追悼・論考」を併録。
ふつうの恋のちいさな火花。ささやかで切ない恋の瞬間10シーン。
どんな境遇でも幸せになれる。自分を“受け容れる”こと。自分にできること、できないことを見分ける。できないことを望まない。できる範囲内で、最善を尽くす。そうすれば、誰にも負けないくらい、喜びもあれば幸せもある。
親友に愛するひとを奪われた若き楽師。その深い悲しみを癒したものは。
独身の実業家・五十嵐が殺され、残されたさつき、友美、知恵の三人の愛人に容疑がかけられた。互いに疑心暗鬼に陥った三人。莫大な遺産を巡って第二、第三の悲劇が…。やがて十津川警部は、事件の裏で糸を引く狡猾な真犯人の存在を察知する。会津と日光を舞台にした傑作長篇トラベル・ミステリー。
朝鮮戦争後、米兵と韓国人の母親の間に生まれた「わたし」。父親の顔を知らず、母親と二人だけの生活がはじまるが、オンマは“家の名誉のために”肉親の手によって殺されてしまう。孤児となった「わたし」が引きとられたのはアメリカ、キリスト教根本主義の厳格な家庭だったー幾多の悲運を乗り越え、生き抜いていく一人の女性の回想録。
江戸川区小岩で起きた残虐な母娘殺害事件。その容疑者の弁護を買って出たのは、良心的で正義感に厚いと評判の原島弁護士だった。しかも原島は、かつて同容疑者に自分の妻と娘をひき殺されていた。職業倫理に忠実であろうとする原島の行為は美談なのか、それとも…。表題作をはじめ、意想外なストーリーを巧みに構築した初期の傑作社会派ミステリー五編を収録。
著者がつれづれなるままに思い描いた仏のはがき絵に好きな言葉を添えた画文集。
子供を失った悲しみは、四十の言葉を連ねても言い尽くせないーカナダの田舎町で起きた、十代の若者ばかりを狙った残忍な連続殺人。残された家族を思うと捜査を担当するカーディナルの心は沈んだ。そんな折、署内の不正を暴く特別調査室でカーディナルの過去を探っていた女刑事が、異動で新しい相棒になった…内憂外患のカーディナルが辿りついた、身も凍る真実とは?英国推理作家協会賞シルヴァー・ダガー賞受賞作。