鈴子は天使である。あのほほ笑みが次第に佳奈の心から鬼を追い出したのだ。そして、佳奈の心をも素直にしてくれたと思った。人が好きで、動物も好き、そして咲く草花とこの自然界にあるもの全てを好きだと嬉しそうに話す鈴子の心には、鬼もいないし蛇もいないと。佳奈の心は晴れていた。人に幸せを貰うのではなく、自分で幸せを作るのだ、自分も今までと違う道を探そうと、そんな思いが春を待つ息吹のようにあふれてきた。愛とは何か。われわれは、この作品によって、人類永遠のテーマにこたえるひとつの道標を与えられるだろう。
本書は“Beyond Grief:A Guide for Recovering from the Death of a Loved One”を訳したものである。著者のキャロル・シュトーダッシャーは、自らも早くに両親を亡くした「残された子ども」であり、現在は、悲嘆専門のカウンセラーとして悲嘆に苦しむ人びとをケアする立場にいる。この本は、著者が自分の経験をもとに、家族を失って悲嘆にくれている人たちの助けになるようにと、知識とアイデアを尽くして書いたものである。
父親の死後、母親が子どもたちを連れていった海外への旅。途中、兄弟は母親の言葉で命を救われる。小さな町から出て、この世でいちばん美しい暮らしをする夢を抱いている娘の話。兵役についている恋人とのデートで、汽車が出るまで不安でいっぱいな娘の気持ち。けれど、彼がプレゼントしてくれた本には、忘れられない言葉が…。「おばちゃま」シリーズのギルマンが書いたかけがえのない傑作8編。
その蒸気機関車に引かれた三輛連結の列車は、線路もない雪の原野を走り続け、今まさに空に飛び上ろうとしてかなわず、巨木の上に引っ掛かってしまったかのような姿で発現された。後ろには延々20キロにも及ぶ“轍”の痕…。60人の乗客と共に消え失せた“銀河列車”のこの異様な出現の裏にかくされた悲劇とは?
この「つらい苦しみ」の意味とは?死と向き合うことは、生きることを学ぶこと。愛する子どもの死、避けられない伴侶の死、人生の計画を、わざと無視するようにやってくる死…。インド在住のボンベイ総領事がつづった心の処方箋。
ある日突然隣家に住む最愛の妹一家を奪われ平凡だがあたたかな暮らしを一夜にして失った女性。事件直後の悪夢の日々、そして立ち直りを模索しつづけた家族の道のり。
夏至の夜、劇場爆破事件の起こる文映坐で、運命にあやつられるようにふたりは出会った。フェリーニや文映坐支配人、北海道庁爆破犯らの選択と行動によって、物語が導かれる。縦糸と横糸のように織り合わされていくふたりの人生の軌跡。現実と虚構が行き来し、美しいタペストリーを紡ぎだす。
ハワイ出身の私立探偵カートは、かつて婚約者に裏切られ、その直後に車の事故で身ごもった子供を失ったため、二度と男性を愛すまいと決心していた。ある朝、タイ・チャンドラーという男が現われ、昔の恋人との間に生まれた子供をさがしてくれと依頼される。捜索の結果、19歳になる娘がロサンジェルスにいるのをつきとめる。やがて、タイとカートは愛を交わすが、カートは昔のトラウマに苦しみ、素直になれない。数日して、タイの娘サニーが突然やってくる。しかも彼女の腕には幼い娘が…切なくも感動のラブ・ロマンス。
夫や妻、恋人、大切な人を失ったら、あなたはどう生きますか?そんな悲しみを背負った人を、あなたは支えることができますか?大切な人の立ち直りのために。
中原中也の詩のなかの「悲しみ」。第一詩集『山羊の歌』の題名の背景にある「悲劇」の意味。そして第二詩集『在りし日の歌』に込められた、青春への別れと悲しみ。人は自らの青春を救うことができるのか。決定版『新編中原中也全集』編集の成果をたずさえて、現代の詩人が中也の詩の魅力、その「生成」の秘密に鋭く迫ります。
誤診、たらいまわしで、子どもを亡くした親たち。激務で自殺に追い込まれた小児科医。子どもたちの未来のために、気鋭の新聞記者が描く小児医療最前線ルポ。
ロマネスクで怪異な愛のかたち!川端康成が芥川賞漏れを嘆いた「伝説」の小説、いま蘇る。