ニューヨークのレキシントン・アヴェニューに面したアートギャラリー。若き女流画家グレースは、隔週ごとにここで新作の絵画を展示していた。その絵を鑑賞するため、身元を隠しギャラリーを訪れる男がいた。人並みはずれた頭脳と強靱な肉体をもち、武器の取引きで巨万の富を築き上げたドレークだ。その男のただ一つの弱点ーそれがこのギャラリー通いだった。そんな折、ドレークからある情報を得ようと、武装した屈強な男たちが店内でグレースを人質にしようとするが…。
悲しみを、ときに痛みとしてときに糧として人生の歩を進める人たちの物語。月刊誌『ゆうゆう』で取材した「伴侶の死」「看取りと死の受け止め方」「笑いの力」「がんと向き合う」「ひとり上手になる」などのテーマ記事に新たに取材、編集を加えた、50歳から新しく生きる大切な引き出し。
哲学最大の難問の一つ、「意識の謎」に挑戦する。
セシルはもうすぐ18歳。プレイボーイ肌の父レイモン、その恋人エルザと、南仏の海辺の別荘でヴァカンスを過ごすことになる。そこで大学生のシリルとの恋も芽生えるが、父のもうひとりのガールフレンドであるアンヌが合流。父が彼女との再婚に走りはじめたことを察知したセシルは、葛藤の末にある計画を思い立つ…。20世紀仏文学界が生んだ少女小説の聖典、半世紀を経て新訳成る。
岩手、宮城、福島の詩人・歌人を中心に編んだ地震と津波の詩歌アンソロジー。
妹の結婚式だというのに、ケイトは祝福できずにいた。ずっと思い焦がれていた人を美人の妹に奪われ、あげく花嫁の付添人まで務めることになるなんて…。そんな彼女の深い悲しみを見抜いたかのように、花婿の付添人が青い瞳でこちらをじっと見つめてきた。ブレイク・ランドールー世界に名を知られた大富豪は、ケイトをダンスに誘い、笑わせ、体調や仕事の心配をし、あっという間に彼女の心を鷲づかみにしてしまう。無垢なケイトは気づきもしなかった。彼の本当の狙いさえも。
喫茶店に掛けてあった絵を盗み出す予備校生たち、アルバイトで西瓜を売る高校生、蝶の標本をコレクションする散髪屋ー。若さ故の熱気と闇に突き動かされながら、生きることの理由を求め続ける青年たち。永遠に変らぬ青春の美しさ、悲しさ、残酷さを、みごとな物語と透徹したまなざしで描く傑作短篇集。
脳に障害のある子を持つハードボイルド作家、倒産した地方新聞社の元社員たちの困難な再就職、「子殺し」の裁判ばかり傍聴し続ける女、十年間第一線で活躍しながらある日突然「戦力外」通告されるプロ野球投手。人は自らの存在を道端の小石のように感じる時、どのように自分を支えるのか?安らぎと感動のコラム・ノンフィクション第二弾。
今でも多くの人に愛される中原中也の詩。美しくも哀しいその調べは、人の心にいつまでも残ります。本書は、中也の代表作18を厳選しました。
親の暴力、両親間のDV、過酷ないじめ…子どもたちの上に覆いかぶさる生きづらさと悲しみをどのように聴きとり、自己肯定感と希望を育んでいくのか。学生の手記を手がかりに、気鋭の臨床教育学者が読みひらく。