偽書には偽書の価値がある。九世紀に編纂された歴史書・神道書でありながら、不審箇所が多く、近世以降は偽書として低く見られてきた『先代旧事本紀』。祭祀に関する独自の記事をもち、記・紀神話享受史の研究において近年脚光を浴びる書をここに再評価。日本文学・日本史学・神道学・日本語学の四領域から迫る!『先代旧事本紀』研究のための基本文献リスト収載。
修験の起源と歴史を紡ぎだした事象を解明。三国伝来の日本仏教の正統の枠外にあった修験が、枠外から枠内へと転じたのは鎌倉後期とされる。その時、どのような創造的な起源と歴史が修験に求められ、現れ、伝えられたのであろうか。本書は、その代表例である『箕面寺縁起』『大峯縁起』『金剛山縁起』を取り上げ、個々の霊山の修造や相論を機に制作された縁起が広く認知され、修験の縁起として機能するに至る過程を解明する。
観光価値の維持・向上のための共創システム。観光地の交通需要マネジメントが地域に定着し、多様な行為者による価値共創に向けた協働を持続させる仕組みを明らかにする。
黒船とともにやってきた西洋の響き。花開いたニッポンのギター音楽。
翻訳を通して連鎖する「知」。アジアの近代は、文学・文化が大きく変容を遂げた時代であった。その地殻変動に「翻訳」の果たした役割は大きい。日本近代文学は西欧やロシア文学からどのような影響を受けたのか。中国の新文学は西欧や日本からどのような刺激を受けて誕生したのか。日本の旧植民地、東南アジアの国々は西欧や日本とどう関わり、近代を創出したのか。夏目漱石、永井荷風、川端康成、魯迅、周作人、ロシハン・アンワル、ハンス・バグエ・ヤシンら作家たちの翻訳を通して、日本や中国、韓国、台湾、旧満洲、インドネシア諸地域の近代を読み解く。原典と翻訳との相違や、翻訳の役割・意義を明らかにするとともに、時代のコンテクストや政治的な思惑、ナショナリズムの相互刺激、西洋に対するまなざしの差異、ジェンダー、植民地と宗主国との関係といった諸問題も浮かび上がらせる。
「反日」「親日」「巨大」市場の謎に迫る。中国・台湾・韓国の消費市場のダイナミズムを現場の視点で解読し、グローバル化の真実を解明する。
相互的な性質を持つ日本と中国の異言語語彙交流の史実がわかる。漢字による新語造出のメカニズムや、表意文字としての漢字語の異言語交流の流布・受容の過程を、言語接触という言語学的な観点から解明。漢字文化圏の新した漢字語には、アジアの近代の真実が潜んでいる。
日本人が愛したコバルトブルーのうつわー茶の湯の美意識にかない、賞玩され続ける古染付・祥瑞。最新の研究成果とともに名品の数々を紹介!
手かざしによる奇跡と修養。ブラジル人は、なぜ、どのように世界救世教を受け入れたか。
大学東校から東京医学校へー現・東京大学医学部へと繋がる医学史をひも解き、日本の近代医学黎明期を支えた医学士たちの知られざる奮闘を伝える。
膨大な史料をもとに、陸軍航空の草創期を本格的かつ系統的に明らかにした実証研究。組織とイノベーションの関係を考えるうえでも示唆に富み、今日的なインプリケーションも多く含む。近代日本の軍事史研究に必読の書。