本書は、特定の理論や技法よりもさまざまな療法に共通な要因、すなわち受容・支持・脱感作・洞察・強化など、また、治療者自身の要因、すなわちそのありようの方が重要なようだとされるその治療者のありようにかかわり、カウンセリングや心理療法と言えば受容、共感、一般に、受容せよ、共感せよと言われるその原典であるとされるロジャーズの論文「治療的人格変化の必要十分条件」を読み直してみます。
『北槎聞略』などを通じての幕末の魯西亜との交流の詳察、牛痘書、榕庵・成卿の著作にみる蘭方医たちの理論と実践の検証、さらに近代教育制度の成立過程などを扱った論考を集成。
1945年10月、日本の敗戦によって台湾を接収した国民政府の最優先課題は、日本化された台湾人をいかに「中国人」化するか、であった。そのために許寿裳らによる様々な運動が展開され、47年2月の二二八事件を境に恐怖政治時代に入る前のほんの短い間、台湾では魯迅ブームが起こるなど、自由かつ多彩な文化の花が開いた。台湾「戦後民主主義」の一瞬のきらめき。
本書は、いま進行しつつあるディジタル情報革命と人間存在との関わりについて、コンピュータ・サイエンス、デザイン史、科学史、社会学、精神医学、哲学の各分野と、実際の情報革命に携わる現場の技術者たちとの対話・対決を通して、「メディアの現在」を浮かび上がらせようとしたものである。
東アジアの世界像の転換は、いかになされたか?近代中国最大の知識人、梁啓超の西洋認識を明治日本の翻訳との関連に辿り、転換の過程とその特質を明かす。京大人文研の共同研究、最新の成果。
「牛1001頭」を率いての北朝鮮訪問、金剛山観光開発などで世界に知られる鄭周永氏は、無から出発し、韓国最大の企業グループ「現代」を一代にして築き上げた風雲児である。鄭氏がいなかったならば、韓国の戦後の経済発展は、数十年は遅れていただろう、と言われる。本書は、絶えざる努力の中から、斬新なアイデアを次々と生み出し、絶体絶命の危機を必ず好機へと変えてきた人物が、「正しい信念をもって努力すれば必ず成功する」と、体験的・人生哲学を明かす。日本と韓国、その「近くて遠い国」が「近くて親しい国」になってこそ、21世紀は「アジアの時代」となる。
本書は、各段階での法的規制のうち特に製薬企業における営業部門の管理薬剤師がその業務遂行上必要な法的規則の解説と関連知識を網羅的にまとめたもの。1983年の初版以来5回にわたり改訂版を発刊してきたが昨今、製薬企業を取り巻く環境は大きく変化し、また関連する法規制の基準が新たに制定されたのを機会に加筆修正のうえ2000年版を発刊。その主要な改訂点は、(1)薬事行政組織の再編、(2)承認審査体制の充実強化、(3)市販後安全対策の強化、(4)GCPの改正と治験の質的向上、(5)規制緩和による卸売業者の管理薬剤師兼務規定の緩和、(6)卸売業者による調剤専用医薬品の分割販売等である。
夫の海外赴任のため外国で長年生活した主婦達は帰国後、どのような経験をするのだろうか。母親としては、子供の教育問題が深刻な悩みであるが、彼女達自身は海外でどのような経験をし、帰国後はどのような問題に直面しながら再適応してゆくのだろうか。本書では、アメリカ滞在を経て、彼女達が母国の文化に再適応する文化屈折の状況を、主婦の目を通して明らかにした。
今世紀ドイツにおけるニーチェ思想の歪曲史を徹底批判し、国家・民族から自由な真のニーチェを浮き彫りにする。
「物語本文」の伝来と享受を辿る。多くの人々に愛され、文学のみならず、芸術や生活の中にまで影響を与えつづけてきた『伊勢物語』と『源氏物語』。その本文成立の過程と享受の諸相を辿り、新しい読みを提示する。物語の本質に迫る五編を収録。
本書は、1998年、1999年の両年にわたって「アジア諸地域における文化的アイデンティティの再検討」を共同テーマに大学からの学内共同研究の助成費を得て、追手門学院大学アジア文化研究会のメンバー17名全員が自らの個別テーマを設定したアジアの諸国、諸地域を実際に訪れ、それをふまえて各自二回の研究発表を行い、まとめた論考である。
本研究の意図は、明治期日本へのキリスト教宣教と受容をめぐる諸問題を、異文化接触・交流の一事例として、日本と西洋の相互方向から実証的に検討することにある。この検討は、日本の側から見れば、その近代化の意味を問い直すことにもなろう。本研究では、キリスト教宣教の問題をより広い比較文明史的視角から、すなわち西洋と東アジアの両文明の接触と相互認識の過程としても考察するように努めた。