刻々と変貌する巨大都市新宿。かつて、そこには芥川龍之介の父が営んだ牧場、林芙美子が傷心の身を横たえた路地裏の宿、そして絃歌さんざめく遊廓、劇場、闇市露店のたたずまいがあった-。旧宿場に住みついた曾祖父から数えて四代、新宿根生いの作家が故郷喪失の哀しみとともに綴る新宿下町時代の人情風物誌。
ヤシが茂り、月明りが射す散歩道で寄りそうオニ警部と女子大生…。二人がTVのエキストラに出演中、ほんものの殺人事件と首吊り事件が起こり、スタジオの中は騒然とする。幽霊シリーズ好評の第八弾。
大正末年から昭和初期に刊行した江戸川乱歩の創作集を完全復刻。生誕100年記念。
作家が愛した関東一円ゆかりの地を歩く。
壮厳で静謐なモスク、喧騒に溢れたバザール、山と積まれた生鮮食品、芳ばしいケバブの香り…、アジアとヨーロッパの二大陸にまたがって立つ世界唯一の都市イスタンブールは、いつ訪ねても愉しい。ビザンティン文明とイスラム文明が複雑に重層するこの都の二千年の歴史を訪ねて、活気に満ちた街を行く。
明治以降の近代文学の作品の中に、東京の食べものの店はさまざまな形で登場します。そして作家たちが愛し、作中人物に語らせ、そこを舞台として活躍させた店のかなりの部分は、関東大震災や太平洋戦争を経たいまも老舗として残り、昔の味を伝えています。また戦後に登場した店も、作品に描かれることによって時代の風俗を象徴し、いま老舗の風格をそなえようとしています。小説や詩作品、随筆の名手によって描かれた“東京の味”を、作品の雰囲気とともに心ゆくまで味わってください。
魂の冒険者たちに贈る感動の11篇。試練を越えて輝く“人間の光”-。『サイレント・コーリング』『祈りのみち』『人間の絆』の著者が心をこめて語る人生の神秘と現実。
寝たきりの老人を慰めに、赤ちゃんの発熱にうろたえる母親を励ましに、そうそう、ノラ猫の出前も忘れられない。われらの町の「やぶ医者」先生が今日も行く。
時代劇や小説がもっと面白くなる。TVのそばにこの1冊。
第二次大戦から帰還したポールは、妻ベティと再会。彼女は相変わらず美しかったが、彼は微妙な違和感を感じる。そんな戸惑いを抱く彼の前に、謎めいた美女ヴィクトリアが、現れた。彼女はひどく疲れ、また何かにおびえている様子だった。一目で彼女に魅かれたポールは、その宿命的な出会いに導かれるまま、彼女とともに「ラス・ヌベス」と呼ばれる美しい渓谷に足をふみいれるのだった…。
怪しげな人間ばかりが集まる館に残された一枚のフロッピー…謎の女流作家の正体とは。創作なのか、現実なのかー本年度推理作家協会賞受賞者が九転十転のドンデン返しで贈る究極の叙述ミステリー。