南方熊楠は、生物学者としてだけでなく、博物学、考古学、民俗学の分野でも、世界に通じた偉大な学者であった。その巨人の生涯をたどる。小学上級以上。
三百万年前の地球に出現した謎の石板は、原始的な道具も知らないヒトザルたちに何をしたのか。月面で発見された同種の石板は、人類に何を意味しているのか。宇宙船ディスカバリー号のコンピュータ、ハル9000はなぜ人類に反乱を起こしたのか。唯一の生存者ボーマンはどこに行き、何に出会い、何に変貌したのか…。発表以来25年、SF史上に燦然と輝く記念碑的傑作に、作者クラークの新版序文を付した完全決定版ついに登場。
椎名組とほほほプロデューサー撮影日誌。映画「ガクの冒険」はいかにして作られたか大きな夢と胃袋を持った男たちの155日。
「被害者は、誰を殺したのか?」長崎の一流ホテルで起きた殺人事件に興味を抱いたルポライター浦上伸介は、被害者野山が「長崎駅近くのホテルで女を殺したらしい」と洩らしていたという情報を入手した。この情報を追うことこそが、野山を殺した犯人に辿り着く早道と思われた。が、該当する殺人事件は皆無であった。では、被害者は誰を殺し、誰に殺されたのか…。
エバーストーンの森に住む、わにのイワンはきこりをしています。きこりは森をたすける大事な仕事。遊びにきたダヤンに、イワンはひみつのはなしをしてくれました…。
自らを「大島の百姓」と称し、生涯にわたり全国をくまなく歩きつづけた宮本常一。その歩みは同時に日本民俗学体系化への確かな歩みでもあった。著者の身体に強く深く刻みこまれた幼少年時代の生活体験や美しい故郷の風光と祖先の人たち、そして柳田国男や渋沢敬三など優れた師友の回想をまじえながら、その体験的実験的踏査を克明かつ感動的に綴る。宮本民俗学をはぐくんだ庶民文化探究の旅の記録。
わかりやすい文章を書くためには、何に気をつけたらよいか。日頃から心がけるべきことは何なのか。『朝日新聞』のコラム「天声人語」の元筆者が、福沢諭吉から沢木耕太郎にいたる様々な名文を引きながら「文は心である」ことを強調するとともに、読む人の側に立つこと、細部へのこだわり、先入観の恐ろしさ等のポイントをていねいに説く。
北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か?異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。
世界最高峰の昆虫写真集。20年におよぶ取材期間。地球上の辺境を踏破した精力的な撮影行。厖大なフィルムから厳選された1300点。驚異の“昆虫たちの生態”。
大江戸に生き、この都市の繁栄を支えてきた庶民の生業の数々-。江戸風俗画の研究と模写に打ち込んできた著者が、当時の商いの姿を描いた膨大な絵画資料を博捜、精確に復元し、それぞれに平易な解説文を付す。当時の人々の生活の息吹までもいきいきと再現する江戸風俗絵引きの決定版。
一九三三(昭八)年、英国留学後に上梓、幾多の詩人達に衝撃的影響を与えた日本語第一詩集『Ambarvalia』(「アルバルワリア」)。「旅人は待てよ/このかすかな泉に/…」ではじまる東洋的幽玄漂う長篇詩、一九四七年刊『旅人かへらず』。対照的な二冊に時に燿き時に沈潜する西脇順三郎の奔放自在、華麗な詩想とことばの生誕の源泉を見る。日本の現代詩最高の偉業二作を完全収録の文庫版。
最初にうちあけたこの人物(運転手)の反応を見た後、私はこの光栄な体験を自分の胸の内にのみ秘めておくことがいちばん容易な道だったろうと思う。-著者が体験した前代未聞の宇宙人コンタクト。宇宙船の内部、惑星都市の様子、生産システムなど驚愕の金星体験。
2061年、ヘイウッド・フロイドは高鳴る動悸を抑えきれなかった。75年ぶりに再接近してきたハレー彗星の探査計画への参加を要請されたのだ。最新型のミューオン駆動宇宙船ユニバース号に乗り組みハレー彗星をめざすーそして、みずからの手で彗星を調査する。だが、彗星に着地し探査を始めたフロイドたちを、思いもよらぬ事件が待ち受けていた。
いたずらっ子ニルスは、なまけもので、お手つだいや、勉強が大きらい。ひょんなことから小人になってしまったニルスは、ガチョウのせなかにのって、遠い旅にでかける。ツルのダンスを見てうっとりしたり、キツネにおそわれて危機一発。さあ、あなたもニルスといっしょにすてきな冒険をしてみないか。小学中級から。
世界最高の体脱能力者モンローが「最後の旅」で知った、死後の世界の構造、生まれ変わりのメカニズム、そして人間として生きることの究極の目的とは。過去のいかなる書物にも記されなかった、時空を超えた生命の宇宙からの驚異的な報告書。
「一度目」は戦時下の強制連行だった。朝鮮から九州の炭鉱に送られた私は、口では言えぬ暴力と辱めを受け続けた。「二度目」は愛する日本女性との祖国への旅。地獄を後にした二人はささやかな幸福を噛みしめたのだが…。戦後半世紀を経た今、私は「三度目の海峡」を越えねばならなかった。“海峡”を渡り、強く成長する男の姿と、日韓史の深部を誠実に重ねて描く山本賞作家の本格長編。吉川英治文学新人賞受賞作品。