1974年、エチオピア革命。約半世紀にわたって君臨した皇帝が廃位されると、著者たちは現地へ飛び、隠れ暮らす宮廷の元召使たちにインタビューを重ねる。ドア番、足台係、皇帝の愛犬の小便係、忠臣の財布運び係…。彼らの素朴な言葉から、他人を誰も信用せず、自ら張りめぐらした諜報網の中、ひたすら権力に執着した独裁者の素顔が、浮き彫りにされてゆく。3000年の飢餓と貧困の上に立った独裁から革命への日々をよみがえらせる戦慄のドキュメント。
ベルリンを足場とした1年の滞欧中に、ヨーロッパの音楽、美術、演劇が、伝統の中で新たに息づいてゆく姿を、感じたままに、確かな言葉で伝えるライヴなエッセイ。
ケニア滞在8年、全面禁猟になる前の最後のサファリを体験した著者が描くアフリカ人と野生動物の赤裸な姿。書き下ろしノンフィクション。
豊かな自然を背景に人間の絆を描いて広く感動を呼んだ『四万十川ーあつよしの夏』に続く、大自然に育まれた少年が友達や姉との別れを通して、大人への一歩を力強く踏み出し、成長していく姿を美しい風景の中に刻んだ名作。
16年間におよぶ闘病生活を71首の短歌をちりばめて綴った愛と感動の遺作。
その朝、人妻美子との情事のベッドで目覚めた広告マン室井はニュースに驚愕した。わが国のタンカー撃沈さる。インドネシア海域でゲリラが奇襲ー。船長は美子の夫だった。専守防衛を名目に自衛隊は出動を強行、ついに戦後初の海外出兵の道は拓かれた。それが引き金だった。国防省設置、徴兵制復活…、日本は〈いつか来た道〉を一直線に驀進しはじめた。
1990年の水クラゲとの出会いから1993年のクラゲの湖への探訪まで、風流の人チチ松村がつれづれなるままにつづったクラゲノート。果してチチ松村はクラゲになれるのか。
独創のスポーツ小説から出発し、F1、本格料理小説と、つねに時代に先駆けた傑作を著しつづける作家海老沢泰久。本書は、その切れ味のよい思索と心地よい精神の高揚とが全編にみなぎる待望の初エッセイ集である。
本書は内在の「神性・仏性」を開発し、人生に生きがいを感じさせるような「伸びゆく日々の言葉」を集め、一年三百六十五日に振り分けて記載した。
伝統的な正月の室礼の紹介をはじめ、本格的なお節や子どものための正月祝い膳、またその膳組みの趣向など日本の正月を大収録。