20世紀最後の哲人森信三翁の珠玉の言葉。
「死んだらどこへ行くんだろう」中井英夫の最晩年、その生と死を見つめ続けた記憶の轍。最期の日々に捧げられた光と影の一冊の供物。
だれが、どのようにしてモノをつくり、技術を革新してきたのか。戦後幾度も押し寄せてきた不況をどう乗り越え、将来につないできたのかを「働きものたち」ひとりひとりの、ナマの声で綴った感動の物語である。経済大国日本を黙々、築いてきた中小企業人の感動のドキュメント。
「運命の出会い」を求め、夜の平安京をお忍びで歩くのが帝の息抜き。病気の上司にかわり、今夜は夏樹がお供を務めた。見事な藤の花が咲く家で人違いの招きを受けた帝は、夏樹の制止も聞かずに応じてしまう。そこで出逢ったのが藤香姫だった。翌日、その家は藤の木もろとも消えてしまい、夏樹は藤香を捜して都中をさまよう羽目に…。そして、春の柔らかな朧月の下、ひとりでに動き回る牛車を目撃。その直後、一条にも負けない美少年・馨が夜盗に襲われているのを助けるがー。
帝の身代わりを務めていたはずの夏樹が行方知れずに。急遽内裏に呼び出された一条に、賀茂の権博士は自分の推測を告げるー再び姿を消した藤香姫が夏樹を連れ去ったこと、彼女は普通の人間ではなく、百数十年前に起こった騒乱・薬師の変で自害に追いこまれた藤原薬師の怨霊らしいこと、その狙いは帝ではなく愛しい恋人を捜し求めることにあること、等々。そのころ、夏樹の邸では、曾祖父・北野の大臣ゆかりの太刀が現在の持ち主の危機を告げるかのように小刻みに震えていた…。
コムギも、ブドウも実らぬルーエルグの高地。山の中の貧しい家に生まれたファーブルは、都会に出て苦労を重ねる。鉄道坑夫をし、レモン売りをしながらも、少年ファーブルは詩にあこがれ、虫の美しさに夢中になっていた。やがて彼は独学で博物学者になる。自分の本当に好きなことに打ち込んでいれば、人に何といわれようとかまわないーその気持ちが永久に消えぬ名誉を彼に与えた。
哲人天風最後の感動の教え。胸に迫る珠玉の一言一句。「いのちの力」が新たに甦る。
野生動物研究の第一人者が、水墨画さながらの山岳地に見た野生パンダの生態を明かし、異文化間の相互理解を求めながら保護活動に奮闘した四年半の体験を綴る。
最も優雅で美しいイルカーハシナガイルカ。無限に広がる海の世界で彼らはどのように暮らしているのか。これは、30年にわたるイルカ観察をとおしてナチュラリストの感性と発想をユーモアをまじえてつづったみずみずしく魅力あふれる自然誌。第一級の入門書。
短篇の名手たちの競演!口承文学のベッケルから自然主義、理想主義のクラリン、ラテンアメリカ文学の先駆けアソリン…さまざまなスペインの文学風景。
1970年代ロサンジェルス。孤独な人妻ローレンと、記憶をなくした男ミシェルが運命的に出会う。ロサンジェルスが砂嵐で埋め尽くされたある日、ふたりは激しく愛し合うのだった。一方、1900年パリ。双子の兄弟がポン・ヌフに捨てられた。娼館の娼婦に拾われたひとりはアドルフ・サールと名づけられた。やがて成長したアドルフは映画に魅せられ、『マラーの死』という長篇映画をつくり始めるが…。砂嵐のロサンジェルス、放火の炎もえ上がる厳寒のパリ。運河の涸れたヴェネツィア。ローレンとミシェルの恋愛は?アドルフの監督した伝説の映画の行方は。
カメラ選びから作品整理の仕方までアジアで素敵な写真を撮るにはコツが要る。そのコツをプロが“面白く、有意義に”教えます。