巨鐘を鋳造する職人、舌説・天下一の講釈師、神技の紙切り芸人など、覇者交代の中国史の中で、職芸の意地を貫いた男たちの衰歓を描く傑作集。
東京山の手の駅前酒場「酔桜」。45年の歴史をもった店内で織り成す様々な人間模様、人生の縮図を活写する。著者会心の書き下ろし小説。
東京、マニラー海を隔てた二件の日本人殺害事件。犯人はフィリピン人青年。恋の怨根か、愛国者の行為か。そして背後にうごめく生体腎移植の国際シンジケートの影…。アジアの底知れぬ闇を描き切った渾身のミステリー巨篇、1500枚。
俳優に。あの、役者にですか。そして50年。
黄昏色に染まる山肌、星と蛍の仄明かり、風の通りすじに光る葉、村々を薄墨色に降りこめる時雨…かけがえのない自然に抱かれた幼い日々を描き尽くして心にしみる、自伝的中篇小説。
平安京建都から約百三十年後。棄都となった長岡京で、一人の少女が泣いていた。名は茨木。いま母と死別し、四歳にして天涯孤独。顔も知らない父「ふじわらのひでさと」を探しに平安京を目指して旅立ったー。妖鬼の牙にかかり、「鬼」となるべき宿命を背負った少女。その幸福を求める旅路を縦軸に、金太郎、藤原純友、安倍晴明、藤原道長、「蜻蛉日記」の著者・藤原道綱母などの活躍が物語を彩ってゆく。
白馬の自然を解説。雄大な北アルプスの白馬連峰から、山麓に広がる雑木林や湿原など豊かな自然の表情を豊富なカラー写真と長年の調査をもとに解説。
400万年の時を経て東アフリカから南米大陸最南端へ達した人類の旅路5万キロ。これを逆ルートで辿る探検家・関野吉晴が、旅の途中で捉えた自然と人々の鮮烈ドキュメント。壮大な旅路の写真記録集第1弾!パタゴニアからアンデスへ。
文化3年の芝の大火で焼け出され、親兄弟と死に別れた9歳の爽太は、13歳のとき芝露月町の鰻屋「十三川」の主、十兵衛に養子として迎えられるまで、仲間と掏摸、掻っ払いの日々を送っていた。その度胸と手際の良さを見込んだ同心朝田主馬に十手を預けられ、26歳になる今は、「十三川」の一人娘おふくとの間に2人の娘に恵まれ、幸せに暮らす身。その爽太のところへ、下町に住む男女のからむ事件が次次に持ち込まれる。昔の苦労を忘れぬ爽太は、十手を懐に粋な裁きをみせるのだった。
八代将軍吉宗との存亡を賭した闘い。“四民共楽”“自由”を理想とし、商品経済を受け入れ、名古屋を繁栄に導いた男、宗春。-彼は天下を望んだのか。御三家筆頭、尾張藩主・徳川宗春の波瀾に満ちた生涯を追う快作。
戦死、5万余。昭和19年夏、太平洋に浮かぶ小島で起きた悪夢の如き凄惨な米軍との死闘の全容を、万感の思い籠めいま再現する血と慟哭のドキュメント。
日本の市民運動を支えた知性が語るライフヒストリー。週刊エコノミスト連載、単行本化。