理不尽な隔離政策によってハンセン病患者の生きる権利を踏みにじってきた「らい予防法」廃止から一〇年、そして熊本地裁での劇的な国賠訴訟勝訴から五年の月日が過ぎた。ハンセン病問題はともすれば解決済み、と思われているかもしれない。しかし果たして社会は変わったのだろうか。ホテル宿泊拒否事件に見るように、長い年月の間に刷り込まれた偏見と差別は、いまだに根深い。また、無関心という心の覆いが、この問題と正面から向き合うことを妨げてはいないだろうか。そうした中、希望をもって「生きなおし」の道をさぐる回復者たちと、彼らに寄り添う隣人・若者たち、そして海外の患者や回復者を支援し、共に生きる絆を求める人々の姿を丹念に追う。国内最大の療養所・菊池恵楓園を中心に、現地ならではの血の通った取材をもとに綴られた感動の記録。
高架下商店街の人々と、謎めいた女探偵、銭湯とコーヒーの湯気の向こうで、ささやかな秘密がからみ合う。『つむじ風食堂の夜』の著者によるあたたかく懐かしく新しい物語の始まり。
一攫千金を夢見てベトナムへ向かう御朱印船に乗り込んだ瀬戸内の青年・高取次介。寛永十年(1633)、日本人の海外渡航・帰国を禁じる鎖国令が発布されることを知り、次介の身を案じた兄の大介もまた、波濤を越えて異国へ向かうー。煌めく海洋を舞台にくり広げられる人間ドラマ。
2年連続の監督交代、新型コロナの余波…光を探し求めた1年。
俳人でエッセイストの著者が、加賀にゆかりある百句を、各句の背景にある風土や、作者のプロフィルとともに紹介する。
「平成」という時代、何が起きたのか、何が変わったのか…。歩みを振り返り、「これから」を考える指針にー。
競技人生の原点は山登りー。信州で大好きなスケートの道を追い求め、試練や転機を乗り越えて“頂”へ。そして、人々とのつながりの中で深まっていく想いの数々…。魅力的な言葉で紡いできたアスリートが、これまでの歩みを振り返り、次の舞台へ歩き始める。
へーっ、そうか!次の教育。教員、学生、卒業生へのアタックインタビューを完遂した、圧倒の「教育」ドキュメンタリーの一冊。“心に火をともせ”その実績と秘密に迫る。
移ろう季節と花々に彩られた切なく透明な一編。第二十七回やまなし文学賞受賞作品。
AIに代表される急速なデジタル技術の進歩により、銀行、保険会社などはビジネスモデルの変革を余儀なくされている。そして、お金そのものが変わりつつある。仮想通貨、デジタル通貨の発行、消えつつある現金…歴史の転換点にある「お金」の今を徹底取材し、未来を探った。