わが国初の心臓移植は、1968年夏、北都の病院で行われた。しかし、この和田心臓移植は、心臓のみならず、臓器移植そのものをタブー視させるに至った。そして日本の心臓移植は、長い空白の歳月を強いられる。いま臓器移植の新しい時代を迎えつつあるが、長い空白の期間、外科医たちの苦悩と奮闘を描く。潮賞ノンフィクション部門受賞作。
幻の男サンティアゴを追ういくつもの人間の足跡が、いまひとつに交わろうとしていた。そこには様々な思惑が入り乱れていた。ある者は自らの名声のために、ある者は彼にかけられた巨額の懸賞金のために、そしてある者は…。最後にサンティアゴと雌雄を決するのははたして誰か?悪にまみれた彼の経歴に隠された真実とは?遥かなる大銀河の追跡行は、いかなる結末を迎えるのか。
白鳥雅也-表向きは輸入ブローカーだが、実の姿は国際刑事警察機構の秘密捜査官である。幾たびとなく任務で生死の境をくぐり抜けてきた彼に、新たな指令が下った。ハンブルグ港であがった東洋人女性の腐乱死体を捜査せよとのことだ。被害者はマダム・オカダと名乗り、ヨーロッパに長期滞在している若い日本人女性に目をつけては金になる仕事があると持ちかけていたという。背後に大がかりな人身売買組織の匂いを嗅ぎつけた白鳥はヒッピーに身をやつし、盛り場に潜入する。ハード・アクションの巨匠、渾身の力作。
冷戦が終結してもなお覇権国の幻想にしがみつくアメリカ。経済大国としてその名を世界に知らしめながら、次の目標を失った日本。「次なる世紀」をわれわれはどう生きるかー。
瀬戸内の島にながれるおかしくもかなしいカモメたちのチンコンカ。初の書き下ろし長編作品。
心がにじむ詩と、素朴で、思わず微笑んでしまうような木版画。たくさんの悲しみも苦労も、えいやっと投げとばす、ウワサの“生活詩人”の登場です。
ヒトラーの世界観を、彼のすべての著作、書簡、演説の詳細な分析を通して検討し、支配の構想とナチズムの支配体制とのかかわりを分析する。
母が空の上へいって9年。今、3歳の女の子の母親となった。かつての自分のように、娘もまた名画とともにいる。あふれでる愛情で、日々を綴る珠玉エッセー。