建暦三(一二一三)年、春。鎌倉に、一人の女の子がいた。名前は“末里妹”。幼い頃身寄りをなくし、記憶のない末里妹は、自分の本当の名前を知らない。十三夜の月を見ながら、由比ケ浜を歩くのが好き。穏やかな日々を願う末里妹。だが、婚約者である七郎が、兄のように慕っている小二郎が幕府への謀叛の波に巻きこまれていく。そして、末里妹もまた…。
366日の話題を1日1頁にまとめたもの。各日ごとに過去30年の天気・気温・湿度の平均値、暦と年中行事、生まれた人・亡くなった人(計4000人)、できごと(1日約10件)、話題(1日2題)を紹介する。巻頭に五十音順人名索引、巻末に開花時期早見表がある。-「今日」に関する重要な話題が満載。
こんな波瀾万丈の人生があるのか。ノンフィクションの面白さを堪能できる話題作。第14回潮賞ノンフィクション部門優秀作。
昭和四十七年、高松塚が発掘され、美しい壁画が話題をさらった。いつ描かれたのか、被葬者は誰か、絵の意味は何か、数々の議論、異論、暴論が噴出する。著者は「暦」に関する深い理解と、図像に対する詳細を極めた研究により、縦横無尽の論を展開し、高松塚の謎を解明する。
1999年8月13日、人類は聖なる意識を取り戻す。抹殺された文明・アステカが残した太陽暦の石板。そこには、人類が肥大した欲望を捨て去り、宇宙原理を再発見する「運命の日」が予言されていた。失われた本能とは何か?それを取り戻す方法とは?石板に刻まれた深遠なるメッセージを解読する。
江戸時代まで中国天文学の圧倒的影響下にあった日本の天文学者は、どのようにして西洋天文学優位の認識に到達したのか。他の分野にさきがけて、いちはやく西欧科学の優位をかぎとり、わが国近代化の尖兵の役割を果たした日本の天文学。その歴史的役割に光を当てる。
お江戸八百八町に、淫らな噂が乱れ飛んでいた。市中に比丘尼御殿なるものがあり、主の尼御前が家来に見目よい男を攫ってこさせ、精を吸い尽くしたあげくに捨てさせる、というのだ。だが、いかに調べても、尼御前の正体も屋敷も判然としないのである。大岡越前守を悩ます怪事究明に乗り出した、もと歌舞伎役者の文七は、事件の背後にただならぬものを直感した…。
「おや、妙なものが流れてくるぜ」夜釣りとしゃれこんだ文七が引き揚げた古つづら。ボロの底から現れたのは、凄惨な娘の絞殺体であった。しかも娘は、人気浮世絵師が描いた「艶色三幅対」の一人ではないか。次いで、残る二人の小町娘も何者かの毒牙に…。江戸市中を騒がせた連続殺人は、なんとご政道に関わる大事件と結びついていく。もと歌舞伎役者の色男、文七の名推理。巨星・横溝正史、幻のシリーズ甦る。
お江戸の歌舞伎に水もしたたる若役者が登場した。その男・中村菊之助の左腕には紅蝙蝠の彫物があったー。折しも大岡越前守の許に重大情報がもたらされた。十七年前の御金蔵破りの下手人が今にして判明した由。一味は左腕に紅蝙蝠を彫り、しかも江戸のどこかに三千両がいまだ埋められているというのだ。菊之助と賊の繋がりは、そして埋蔵金はいずこに?名探偵・文七が始動した。
野を駆け、山をめぐり、小川と戯れ、海にこがれた少年の頃、時の流れのままに日々を過ごしていたー。昭和三十年代の原風景が心の中に甦る前田秀信・童画詩文集第一弾。