江戸深川、永代寺門前の花柳街を仕切る、女郎屋女主人のおらん。町で逆らえる者はいなかったが、敵対する新興勢力が現れた。おらんは自らの勢力を守るために、人を殺め、わが子をも敵に回す。二つの組織の争闘を、主税助は追っていく。
手習い所・吉井堂を営む、兄の数馬と妹の奈緒。師匠を務めるのはしっかり者の奈緒で、数馬は算学や天文暦学にふける日々。そんな二人が巷の幽霊騒ぎや、消息を絶った奥女中捜しに関わる。果たして事の真相とは?一方で明らかになってゆく、奈緒の出自にまつわる重大な秘密とは?小説推理新人賞受賞作家のデビュー作、待望の文庫化。
春嵐の夜に神田で起こった火事は多数の死傷者を出したが二年後に町は復興した。ところが同じ春、再び火災が起こって町は灰じんと化した。さらに一年後、今度は町内の大店商家の若女房が神隠しにあった。一連の事件の謎を解明すべく主税助の探索が始る。
田宮流抜刀術の達人矢内栄次郎は、田原町の三味線屋からの帰途、鼻緒問屋『山形屋』の裏口近くで小間物屋と出くわした。小間物屋の足首には赤い布が巻いてあった。すぐに南町与力の崎田孫兵衛に聞いた盗賊赤間一味のことが頭に浮かんだ。押込みに入るときに足首に赤い布を巻いていたという。しかし、三年前に押込みは終わっていた。またもや、赤い布の盗賊が動きだしたのか。
田宮流抜刀術の達人矢内栄次郎は、八丁堀与力の崎田孫兵衛から、海産物問屋美浜屋の相談に乗ってほしいと頼まれた。若旦那の蔵太郎が呑み屋の女とはしご酒の末、女の家に誘われ、泥酔のあげく目覚めたら、女は消え、横に男の死体…。この四月から打ちつづく大店への押込みとの関わりは?南町奉行所と火盗改が追う“霞小僧”とは何者なのか?書き下ろし長編時代小説。
愛したのは凶悪の美女。斬って当然だったが、その後の影響は深刻だった。三味線の名手で田宮流抜刀術の達人矢内栄次郎の虚ろな日々。そして甦る新内の伝説的名人といわれる春蝶の存在と、奔放な生きざま。今、彼はどこに居るのか?会いたい、会って苦衷を打ち明けたい。強くなるその思いに駆られ江戸から西への旅が始まった…。
御徒目付である兄・矢内栄之進は、田宮流抜刀術の達人栄次郎に、いつになく厳しく言った。“闇仕合は全て解決したわけではない。一人で外を出歩くのはひかえよ”と。そんなある日、栄次郎が三味線と長唄を習う杵屋吉右衛門の門下で将来を嘱望されていた、おりくという美人の訪問を受けた。それが、謎の斬殺体発見が続く“闇仕合の新たなる展開”と重なり栄次郎は苦悩する。
日本の歴史の重大な変革期、南北朝内乱は武家のみの争いではなかった。天皇・朝廷が並立し、従う貴族も分裂し正統を主張した。建武新政以来朝廷の中心にいた洞院公賢とその日記『園太暦』を軸に、この時代を読み解く。
マルコ福音書は、イエスが十字架をとおして救いの御業を成し遂げられることを、凝縮した言語で記す。前半では特に癒しの奇跡を神の国到来のしるしとして描く。後半ではご自分の死と復活によってしか人間の救いがないことを明確にし、頑なにその理解を拒む弟子たちに教え込もうとするイエスの姿が示される。
晩秋の神田川左衛門河岸で浪人が斬られ、次いで和泉橋で商家の番頭、湯島で若い職人が斬殺された。手口は袈裟懸けの一刀。犯人は武士で凄まじい剣技の主である。偶然現場に居合わせた三味線の名手で居合いの達人矢内栄次郎は、密偵の新八と共に密かに探索を開始したが、それが御徒目付の兄栄之進を危地に追いやることになった…。
キリスト者の生活の中心である主日のミサの準備に。マタイの福音が読まれるA年のポイントを見開きで簡潔に解説。
事始めのベストタイミング、60日に一度やってくる「甲子の日」を知っていますか?花見、七夕、お彼岸、土用…暦に寄りそって毎日を過ごすだけで知らないうちに運がよくなっていた。最も人気がある開運のコツを1冊に。
御徒目付矢内家の次男で、部屋住の栄次郎は、田宮流抜刀術の達人で、杵屋吉右衛門門下生でもあり三味線の名手でもある。ある日、渋江藩下屋敷に招ばれ、『京鹿子娘道成寺』を披露の最中、最初の異変を目撃する羽目になった。なんと藩主の能登守が顔面蒼白となり家来に背負われ席を退座したのである。一体、何が起きたのか…?やがて事件は、栄次郎を危地に…。
パリ学派を描いてフーコー『臨床医学の誕生』と一対をなす医学史の名著。