早熟な天才少女が選んだ早すぎる死。彼女のメッセージはいったい何だったのか。未公開の絵画、詩、日記をすべて収録。
“鉄砲を打て”隆貞が低く命令した。銃兵は火縄の火を吹き銃を構えた。その時、笠戸城の大手門が開かれ、一つの灯が進みでた。小人数の女ばかりの行列。笠戸城主信光の母沙和であった。敵の城主の母を妻に迎える事にした岩窪城主隆貞。その子小太郎は初め反発するが、次第にその人柄と美しさにひかれていく…。そして上杉謙信との戦いも始まろうとしていた。表題作他、竹中半兵衛と妻真那姫千弥との物語「高嶺の霞」「野の花と軍師」等、井口文学の真髄をあらわす清冽な秀作集。
八百八橋いまむかし。
本書は、ソフトウェアの「モデリング(構造化)」と「再利用」を軸としてまとめられた、ソフトウェアの設計技術の解説書である。ソフトウェアの開発過程の各段階における生産物を、モデルや部品により徹底的に標準化することにより、「再利用」の推進を図ろうとするのが本書の考え方である。
あたし、工藤由香。都立高校の1年生。でもね、本当は、友人のサキと小林クンと一緒に、なんと、二つの事件を解決(?)しちゃった、その人でもあるのです。そんなあたしたちの前に、高名(?)を聞きつけたのか、1人の依頼人がやってきたの。その人は深瀬可奈子さん。クラスは違うけど、同じ高1。誰かにつけられてるらしいの。でも、その時はまだ、深瀬さんとあたしが、命を狙われるなんて、知らなかったんだ…。
江戸時代、動植物図を盛んにしたものに、各藩が殖産事業をなすにあたって「諸国産物帖」を編纂したことがある。以後、大名が自らすすんで図を描いたり、絵師をかかえるようになり、武士ばかりでなく医師や町人などからも多くのナチュラリストが輩出した。競って動植物の確かな観察による「真写」「生写」を目ざしたのであった。図譜の普及に力のあった木版画がこの時代に大いに発達して次々に動植物図集が刊行されたが、これには費用がかかりすぎたため、いまだに印刷されずに世に誇るべき優れた動植物図が埋もれたままになっている。江戸時代の財産としてわれわれに残されているのである。本書は、それらの一端を、新撮影して紹介しようとするものである。
一年前の夏、海から貴族が上がって来た夜に浜辺で拾った“珠”は、辺境の最北の漁村に住む姉妹の想像を遥かに超えた価値を持つものらしかった。姉の使いで、珠を売りにウーリンが町に出た時、珠を眼にした者は例外なく、あらゆる手段を用いてそれを奪い取ろうとするのだ。一度は危機を通りがかりのDに救われたものの、ウーリンはクローネンベルクの町の顔役ギリガンに、珠の由来を問いつめられた挙句、無残に殺されてしまった。死の間際の少女の願いで、Dは珠を持って少女の村フローレンスに向かった。壮大なスケールで迫る〈吸血鬼ハンター〉シリーズ最新刊、全2巻で登場。
ママがおるすのあいだ、わたし、かわいいゆうたんのおかあさんになって、おおいそがし!おしゃべりしたりうたったり、あったかくてやさしいねこかあさん。
凍てついた最北の海辺の村フローレンスに、待ち望んだ夏が訪れた。わずか一週間の夏。その束の間の歓びを噛みしめる村人の顔には、だが、どこか翳りと怯えが秘められていた。村のはずれには、かつて人間に暴虐の限りをつくした後、旅の男に滅ぼされ海に封じ込められたと言い伝えられる貴族、マインスター男爵の城跡がある。その伝説の貴族は、夏になると姿を現し、飢えを満たすのが常だったからだ。三人の若者が貴族の犠牲となった夏の第一日目、連合戦線を張った戦闘士らは、一気にDに襲いかかったのである。壮大なスケールと圧倒的な迫力でおくる〈D-北海魔行〉完結編。
大正から昭和へと移りゆく時代・風俗・世相を背景に、東京は下町浅草一帯に勢力をはった博徒の波乱と流転の一生を語る好著。
もっとよく知りたい日本の言葉日本の文化。日常なにげなく使っている日本語の奥にひそむ言語学的問題、文化、風俗、を掘りおこす。
妖魔の君、闇の公子アズュラーンは、かつて一時の戯れに人間の娘と交わって世継をなした。だが、闇の公子は己れの種から生じた娘をアズュリアズと名付けただけで後は顧みず、人界はもとより妖魔の都からも遠く離れた幻の孤島に幽閉した。そして妖魔の暦で17年の歳月が流れた時、おそれおおくもアズュラーンの娘を人界に連れ出した男がいたー惑乱の公子チャズである。もちろん、宿敵チャズの奸計を黙認するような闇の公子ではない。アズュラーンは、孤島を脱出するやたちまち恋に落ちた二人の仲を裂き、チャズに恐るべき刑罰を与えるが…。
この世に生まれ出た己れの使命を父たる闇の公子に悟らされ、今やアズュリアズは邪な女神として地上の三分の一を、悪業の数々を織りなす舞台として支配していた。実際、女神の治世は残虐非道を極めていた。というのも女神の冷酷な戯事は、闇の公子の指示に基いて神々の非道や無関心を人間に教えるためのものであったからだ。これを天界の神々が快く思うわけがない。アズュラーンの娘を懲らすべく、地上に派遣したは天使にして戦士三たり。片や、わが娘を守らんと人界へ赴く闇の公子。かくて、妖魔の父娘と天界の使者との究極の決戦が始まった。
ちゃぶ台、提灯、幻灯、むしろ、緋毛氈、加賀暖簾-。時代と風土がはぐくんだ、モノを通してみる異色の文化史。
本書はトポロジーの入門書として、代数的トポロジーのうち、ホモトピー理論を、直観的に図を多用して易しく解説したものである。
雨ニモマケズ、風ニモマケズ、素晴ラシキ建物ヲ求メテ我等ハ行ク。東京駅・目黒雅叙園・松本関智学校・築地本願寺・東京拘置所・上海サッスーン邸・大浦天主堂・三田演説館・万平ホテル・那須の別荘群…。建築学者のペンと建築写真家のカメラは、海を越え、空を飛び、建築と人の物語を探し出す。カラー写真満載。