ウズベキスタンの街角で沖縄のサトウキビ畑でブカレストの墓地で出会った笑顔、怒り、涙-。フォト&エッセイ。
永遠に死を生きる美貌の吸血鬼、幻影の中世に住まう呑折者、悪魔とアンドロギュヌスの面影を湛える天使と闘牛士ー典雅な文章によって創出される美の小宇宙をはじめて集大成。異彩燦然たる著者の文業の中から、44篇の小説作品を全一巻に収める。
シーズンの最終登板の朝、大リーグの名投手ビリー・チャペルは思いもよらぬ話を聞かされた。最近球威が落ちてきたとはいえ、17年間チームのエースとして投げつづけ、野球殿堂入り確実といわれているチャペルが、トレードに出されるというのだ。人生の岐路に立たされたチャペルは、優勝候補の強豪ヤンキースとの試合にのぞむ…野球と人生と女性への愛をみごとに描きあげた、感動的なスポーツ小説、そして美しい恋愛小説。
蟻・このすばらしき生き物。われわれのもっとも身近にいながら、もっとも謎に満ちた生物-蟻。その驚くべき生態のすべてを、二人の世界的昆虫学者が解き明かした画期的な「蟻のエンサイクロペディア」。カラー図版多数収録。
ドイツ表現主義最大の詩人。荒廃した生の極限で、肺腑にせまる肉声の真実を響かせ、凝縮した表現で、存在することの痛みと、没落からの救済をうたった、夭逝の詩人ゲオルグ・トラークルの全作品を一巻に結集。
敗戦の日から半世紀。戦後派短歌、前衛短歌から、「はっぱふみふみ」、ライトヴァースまで。斎藤茂吉、釈迢空、寺山修司、俵万智ー。現代短歌をリードする著者が選ぶ戦後の名歌百首。時代の素顔を描き、日本人の心象をうつす定型詩の世界に、簡潔にして適切な注釈と解説で導く、待望のアンソロジー。
「かあさん、わたしのことすき?」「ええすきよ、だいすきよ。」「どれくらいすき?」世界のどこの子たちもたぶん、あるときふと親の愛情を確かめてみたくなるのではないでしょうか。本書のイヌイットの少女もそう思いました。くじらやつのめどり、狼などの動物を登場させながら、女の子は、くり返しおかあさんに問い、おかあさんもまた、くり返し娘に答えます。“親子の絆”という普遍的なテーマを描きながら、同時にイヌイットの暮らしがいきいきと伝わります。しずかな色調の魅力ある絵は、北極圏の生活を美しくくり広げて見せてくれます。ゴールデン・カイト賞受賞。
金沢箔の伝統に挑んだ女性起業家のしなやかな魂の記録。
輪廻転生する自分、心霊写真を撮ってしまう自分、世界の終わりを夢想する自分、電話メッセージに凝縮させる自分、サブカルチャーに過剰にこだわるオタクの自分、社会的正義を欲望する自分…そんな「自分」が、アイデンティティの根拠となる何かを模索する試行錯誤の時代、平成。その「平成の精神」を、これら諸現象から大胆に読み解いた思想的考察。