矯正施設の地下深く、点在する洞穴に潜む人影。聖都市“NO.6”ができるずっと以前から、この地に暮らす人々がいたのだ。立ち竦む紫苑の前に現れた謎の男「老」が明かす“NO.6”の酷い過去。そしてネズミが己の出自を語るとき、真実は鋭い刃となって紫苑を苛む。僕らが本物の自由を得るには…「破壊」しかないのか。
和泉蝋庵の旅に出ては必ず道に迷う奇妙な道中記。旅本作者と仲間たち湯煙の向こうに現れるのは極楽の温泉かこの世の地獄か。
虫と話をする幼稚園児の拓人、そんな弟を懸命に庇護しようとする姉、ためらいなく恋人との時間を優先させる父、その帰りを思い煩いながら待ちつづける母ー。危ういバランスにある家族にいて、拓人が両親と姉のほかにちかしさを覚えるのは、ヤモリやカエルといった小さな生き物たち。彼らは言葉を発さなくとも、拓人と意思の疎通ができる世界の住人だ。近隣の自然とふれあいながら、ゆるやかに成長する拓人。一方で、家族をはじめ、近くに住まう大人たちの生活は刻々と変化していく。静かな、しかし決して穏やかではいられない日常を精緻な文章で描きながら、小さな子どもが世界を感受する一瞬を、ふかい企みによって鮮やかに捉えた野心的長篇小説。
新任幼稚園教諭として埼玉県秩父郡神室町の「神室幼稚園」に赴任した喜多嶋凛は、モンスターペアレントたちの要求を果敢に退け、自らの理想とする教育のあり方の実践に務める。当初は、抵抗されるも、徐々にその熱意が伝わり、周囲の信頼も得られていくのだが…。健気なニューヒロイン、誕生!
うまいものは、本気で作ってあるものだよー最高級の鮨&ワイン、鮪の山かけと蕗の薹の味噌汁、カリッカリに焼いたベーコンにロシア風ピクルス…おやつに金平糖はいかがですか?物語の扉をそっと開ければ、今まで味わった事のない世界が広がります。小説の名手たちが「料理」をテーマに紡いだとびきり美味しいアンソロジー。
1966年、講演旅行をきっかけに男女の仲となる二人の作家ー白木篤郎と長内みはる。繰り返される情事に気づきながらも心を乱さない篤郎の美しい妻、笙子。愛と“書くこと”に貫かれた人間たちの生を描ききった傑作。至高の情愛に終わりはあるのか?
運命の糸に操られた男と女、京の闇に死の衣をまとう者たちがさまよう。浅田版新選組。
ふと入ったカレー屋で音道は、男が店主に「こいつは俺の女房を殺した」と怒鳴る場面に遭遇するー男同士の絆が無惨に引き裂かれてゆく様子を描いた表題作。公園の砂場で保育園児が殺害され、その容疑者の素性に慄然とする音道…「聖夜」。監禁・猟奇殺人・幼児虐待など、人々の底知れぬ憎悪が音道を苛立たせる。はたして彼女は立ち直れるのか?好評の音道シリーズ短編集第二弾。
自衛隊のメンタルヘルスの教官が、「心のムリ・ムダ・ムラ」を防ぎ、バランスよく生きていく実践的方法を伝授。組織を率いるリーダーにも役立つ内容が満載。
「飲むほどに酔うほどに、かつて奪った命の記憶が甦る」-最強と謳われ怖れられた、新選組三番隊長斎藤一。明治を隔て大正の世まで生き延びた“一刀斎”が近衛師団の若き中尉に夜ごと語る、過ぎにし幕末の動乱、新選組の辿った運命、そして剣の奥義。慟哭の結末に向け香りたつ生死の哲学が深い感動を呼ぶ、新選組三部作完結篇。
お金持ちには、自然にやってる共通点があった!すぐできるカンタン風水&マインドで、人生がGOODに回りだす。マネしちゃいけないNG風水も収録。
せっかちで気が短い。占いには興味がない。最近の映画の邦題はよくないと思う。ときどき無性にビーフ・ステーキが食べたくなる。双子の恋人が欲しい。フィッツジェラルドとチャンドラーとカポーティが好き。この中で三つ以上思い当たる方は、誰でも村上ワールドの仲間です。はいほー!と軽やかに生きるあなたに贈る、村上春樹のエスプリとユーモア。安西水丸画伯のイラスト入り、全31編!
「ごめん。もう、会えない」。東京オリンピック開会式の前日、婚約者で刑事の奥田勝から、電話でそう告げられた萄子は愕然とする。まもなく、奥田の先輩刑事の娘が惨殺され、奥田が失踪していたことも判明。挙式直前の萄子はどん底に突き落とされた。いったい婚約者の失踪と事件がどう関わっているのか。間違いであって欲しい…。真実を知るため、萄子はひとりで彼の行方を追った。
気難しい、甘えん坊、暴れん坊、エッチ…男の子って本当に大変!でも男の子は男の子で、「こうあるべき」というレッテルを貼られて息苦しいときもあるのです。「服を脱ぎっぱなしにするのはしょうがない?」「男の子は大胆で行動的でないといけない?」など、異性であるお母さんにとってはちょっとわかりにくい男の子の心と体のしくみを詳しくお教えします。赤ちゃんから思春期まで、この1冊で安心。
紛争地帯で、自分よりも権力のあるものに翻弄される人生を送る人々と、政治家の無責任な発言に不安を覚え、未来が描けなかった自分を重ね合わせた高校時代。でも、私たちは努力さえすれば状況を変えられる社会に生きているー。24歳で国連ボランティアに抜擢され、27歳でアフガニスタンのカルザイ大統領から助言を求められるようになっていた。そのすべては、小さな決意の積み重ねからはじまった。「世界が尊敬する日本人25人」(「Newsweek日本版」)に選出された著者による初めての本。
コンサルティング会社を営む男、富澤允。彼には、650万円の料金で人殺しを請け負う「殺し屋」という裏の顔があった。ビジネスライクに「殺し」を請け負い、危なげなく仕事をこなす富澤だが、標的の奇妙な行動がなぜか気になり、仕事の度にその謎を推理してしまうー。殺し屋が解く日常の謎シリーズ、開幕!!