「ごめん。もう、会えない」。東京オリンピック開会式の前日、婚約者で刑事の奥田勝から、電話でそう告げられた萄子は愕然とする。まもなく、奥田の先輩刑事の娘が惨殺され、奥田が失踪していたことも判明。挙式直前の萄子はどん底に突き落とされた。いったい婚約者の失踪と事件がどう関わっているのか。間違いであって欲しい…。真実を知るため、萄子はひとりで彼の行方を追った。
川崎、熱海、焼津、田川…わずかな手がかりをもとに、萄子は必死に婚約者の跡を追った。やがて捜査から、ある男が重要人物として浮上するが、勝が逃亡する理由は不明のまま。勝への思いが消え入りそうな萄子だったが、当時米領の沖縄・宮古島に彼がいる可能性を大阪で知る。島でわかった慟哭の真実とは?’60年代の出来事・風俗をちりばめ、男女の一途な愛を描いた傑作ミステリー。
都市のなかの「村」アーバンヴィレッジ代官山、人のつながりとゆるやかな“時の流れ”が育んだ街。
日本歴史上未曽有の戦乱期、その記録をなぜ『太平記』と名付けたのか?“天皇家乗っ取り”という野望成就を目前にして急死した足利義満は暗殺されたのか?数々の謎を秘めた南北朝の世に斬り込む逆説の日本史シリーズ文庫、待望の最新刊。
本書は、理工系大学生及び大学院初学年程度の方にメゾスコピック物理の面白さを紹介するために書き下ろされたものである。本書の目的とするところは、メゾスコピック物理がその中心に据えてきた様々な問題を巻全体として追いかけながら、これらの「教材」とも言える見事な実験結果や理論を紹介することである。
本書は数学の授業内容について相談する機会の多い人達の集まり:数学・基礎教育研究会による線形代数学の基礎的教科書です。学生諸君の学習経験が多様化しているので、テーマの選択と記述レベルの判断がむずかしいですが、予備知識をできるだけ仮定しないでまとめるように努力しました。
「親愛なるダディと、ぼくの大好きなメイ・プリンセス号へ」-豪華客船船長の父と少年をつなぐ寄港地への手紙。父の大切な薔薇を守る少年が告げた出来事とはー「薔薇盗人」。リストラされたカメラマンと場末のストリッパーのつかの間の、そして深い哀情「あじさい心中」。親友の死を前にして老経営者に起きた死生への惑い「死に賃」。人間の哀歓を巧みな筆致で描く、愛と涙の6短編。
農家の主婦として、また母としてのつとめをよくわかった、意志の強い働き者の一人の女性が、芸術への興味を開花させ、画家として世に知られるようになったのは、彼女が80才になってからのことでした。自然を愛し、周囲の人々や出来事への感謝の気持ちを忘れないーモーゼスおばあさんの生き方は、作品や自伝を通して多くの人々の心をとらえることでしょう。淡々と誠実に生きた老婦人の、愛にみちた美しい日々。