飼い猫が死んでしまったOL、経営に行き詰まり、死に場所を探す社長、三十年前に別れた恋人への絶ち難い思いを心に秘めた男、妻に先立たれ、思い出の競馬場に通う大学助教授…。凍てついた心を抱えながら日々を暮す人々に、冬の日溜りにも似た微かなぬくもりが、舞い降りる。魂を揺さぶる全八篇の短篇集。
地球を訪れたエイリアンとのコンタクトを担当した言語学者ルイーズは、まったく異なる言語を理解するにつれ、驚くべき運命にまきこまれていく…ネビュラ賞を受賞した感動の表題作はじめ、天使の降臨とともにもたらされる災厄と奇跡を描くヒューゴー賞受賞作「地獄とは神の不在なり」、天まで届く塔を建設する驚天動地の物語ーネビュラ賞を受賞したデビュー作「バビロンの塔」ほか、本邦初訳を含む八篇を収録する傑作集。
本書では、入門的ないしは中級的な内容の統計的方法を勉強した読者を想定し、サンプルサイズ(標本数)の決め方(サンプルサイズの設計方法)を解説する。主に統計的検定における検出力に基づくサンプルサイズの設計方法を説明し、区間推定に基づくサンプルサイズの設計方法についても触れる。本書では、入門的な統計的方法の教科書で登場する一通りの手法を取り扱う。
日本におけるリアリズムの特殊性を語った「日本人と合理主義」や大阪の魅力のとこれからの課題を真摯に訴えた「土地問題を考える」など、確かな知識に裏打ちされた話の数々は精妙で、いまだ我々を惹きつけてやまない。本巻では1975年から1984年にかけての講演18本を収録する。
小学生の時の仲良し三人組が偶然十数年ぶりに再会した。スケジュール帳を一杯にしたがるOL亜理子、頻繁に手を洗わないといられない梨紗、見栄っぱりで嘘ばかりつく恵美。三人の遠い過去が少しずつ掘り起こされ、あの夏の日の封印された事件が甦る。三人が交わした秘密の「約束」とは何なのか。衝撃の心理サスペンス長篇。
不世出の人・高田屋嘉兵衛への思いを語った「『菜の花の沖』について」や、魅力的で美しい日本語のあり方を真摯に説いた「言語の文明」など、円熟味を増した闊達な語りが冴え渡る、著者62歳から65歳までの講演19本に、未発表講演(1988年)を追加収録したシリーズ第3巻。
6年生のおっこは、祖母・峰子の経営する旅館“春の屋”で若おかみ修業のまっ最中。ユーレイのウリ坊はおっこの強い味方だ。ある日、母親と泊まりにきた太めの女の子・まや。彼女の悩みを知ったおっこは、ダイエット作戦を敢行。そんな折、祖母・峰子がおっこに見せた古いアルバム。なんとそこには、ウリ坊と峰子の知られざる過去が!元気が出る人気シリーズ第2弾
東京都下、武蔵村山市で占い師夫婦と信者が惨殺された。音道貴子は警視庁の星野とコンビを組み、捜査にあたる。ところが、この星野はエリート意識の強い、鼻持ちならぬ刑事で、貴子と常に衝突。とうとう二人は別々で捜査する険悪な事態に。占い師には架空名義で多額の預金をしていた疑いが浮上、貴子は銀行関係者を調べ始める。が、ある退職者の家で意識を失い、何者かに連れ去られる。
貴子が目を覚ますと、廃屋に監禁され、鎖で手足を縛られていた。一方、行方不明の貴子を救出するため特殊班が編成され、かつて彼女と組んだ滝沢刑事も加わる。やがて犯人らの巧妙な現金奪取計画が明らかになり、貴子も犯人の中の女性を説得し、懸命に本部との連絡を試みる。が、特殊班はなかなか潜伏先に辿り着けない。ついに貴子の気力・体力も限界にー。傑作『凍える牙』の続編。
江戸期における日本とオランダの関係性を丹念に追った「オランダの刺激」や、倫理面から日本仏教を鋭く読み説いた「日本仏教に欠けていた愛」、手探りで文章日本語を構築した明治の文豪への思いを語った「漱石の悲しみ」など、講演18本を収録したシリーズ第4巻。
心理学者フランク・パヴロフによる反ファシズムの寓話に、ヴィンセント・ギャロが日本語版のために描いた新作「Brown Morning」、哲学者高橋哲哉のメッセージが加わった日本だけのオリジナル編集。
ゴーン氏のリーダーシップ・スタイルを注意深く見てみると、経営トップ層で戦略を策定しそれを全社に浸透させるというトップダウン型でもなく、現場からのアイデアを積み上げて経営層に上げていくというボトムアップ型でもないことがわかる。トップダウン型とボトムアップ型をうまく融合させたものなのだ。強力なリーダーシップだけでも、メンバーに自ら考えさせ行動させるコーチングだけでも、成功するチームをつくり上げることは極めてむずかしい。本書の目的は、ゴーン氏の日産自動車改革を中心とした事例を参考に、チームを成功に導くリーダーシップと、そのプロセスにおいてメンバーを成長させるコーチングの融合、そのバランスの在り方について解き明かすことにある。
「そうだ、本気になれよ。本気で向かってこい。-関係ないこと全部捨てて、おれの球だけを見ろよ」中学入学を目前に控えた春休み、岡山県境の地方都市、新田に引っ越してきた原田巧。天才ピッチャーとしての才能に絶大な自信を持ち、それゆえ時に冷酷なまでに他者を切り捨てる巧の前に、同級生の永倉豪が現れ、彼とバッテリーを組むことを熱望する。巧に対し、豪はミットを構え本気の野球を申し出るがー。『これは本当に児童書なのか!?』ジャンルを越え、大人も子どもも夢中にさせたあの話題作が、ついに待望の文庫化。