前作『六の宮の姫君』で着手した卒業論文を書き上げ、巣立ちの時を迎えたヒロインは、出版社の編集者として社会人生活のスタートを切る。新たな抒情詩を奏でていく中で、巡りあわせの妙に打たれ暫し呆然とする「私」。その様子に読み手は、従前の物語に織り込まれてきた糸の緊密さに陶然とする自分自身を見る想いがするだろう。幕切れの寥亮たる余韻は次作への橋を懸けずにはいない。
名誉も誇りもない、そして戦闘を前提としていない、世界一奇妙な軍隊・自衛隊。世間が高度成長で浮かれ、就職の心配など無用の時代に、志願して自衛官になった若者たちがいた。軍人としての立場を全うし、男子の本懐を遂げようと生きる彼らを活写した、著者自らの体験を綴る涙と笑いの青春グラフィティ。
夏休みの宿題もそっちのけで若おかみ業に精をだすおっこ。ある日、“春の屋”に大ホテルチェーンのあととり息子・三木が泊まりにくる。三木に「温泉旅館が大ホテルにかなうわけがない」と言われ、おっこは発奮。このときばかりは、とライバルの真月も協力を約束、二人のユーレイ、ウリ坊と美陽にも励まされ、花の湯の名誉ばんかいに立ち上がる。
将棋の勝負は終盤で決まります。ところが、アマチュアの方の将棋を見ていると、定跡に明るい上級者でも、終盤で簡単な三手必死をあっさり見逃すことが少なくありません。一手勝ちの将棋を勝ちきるための、基本的なトレーニングがおろそかになっているのです。実戦ですぐに使える終盤術を徹底的にマスターしましょう。
『街道をゆく』で訪れた「北のまほろば」青森県や「妖精の国」アイルランドなど、国内外で出会った友人たちへ司馬遼太郎が送った手紙を元に、作家自身を探索する一冊。知人たちとのふれあいを通して考える“世界”への思考は、現代社会を生きる私たちへ向けた手紙ともいえる。
司馬遼太郎が遺した手紙の中から、『坂の上の雲』執筆時の“師”である正木生虎氏への書簡や、憧れの地モンゴルで出会った人々、恩師・海音寺潮五郎など、友人たちとの交流を通し、司馬作品のルーツを辿る。本文中で紹介する優しさと温もり溢れる手紙は、時に涙を誘うファン必読の書。
本書は、コーチングフォーラム、ジュニアコーチ座談会などに参加した500名を超えるコーチや保護者の疑問や悩みに、海外のプロコーチをはじめ、そのジャンルにおける専門家が答えている。多くの疑問や悩みは、ジュニアを指導するコーチが一度は抱くものや、現場の生の声を尊重して取りあげた。
情報通信技術の発達は著しく、ともすればそれそのものに翻弄され、それが教育・学習あるいはコミュニケーションに果たす役割が忘れられてしまう危険性がある。本書は、社会教育などの生涯学習支援に携わる方々がそのような事態に陥らず、手軽に情報通信技術を活用できるように、理論と実践の融合を図り、可能な限り具体的にわかりやすくアイディアやノウハウを示すように努めている。第1章と第2章は「理論編」で、生涯学習eソサエティ及びインターネット活用の教育・学習の可能性と課題を概観している。第3章、第4章、第5章は「技術編」で、生涯学習支援にインターネット等を導入する際のポイントなどを取り上げている。さらに、「実践事例編」やQ&Aを通して、具体的に理解を深めることができるようにしている。
港町とマンパン砦の間に横たわる、誰のものでもないバク地方を舞台とし、そこで君は七大蛇を探し出して滅ぼさねばならぬ。七匹の大蛇はマンパンの大魔法使い直属の伝令であり、君の使命を報せに帰ろうとしているところなのだ。しかし何より大事なのは、君が生き延びることだ!初めての人が戦士として旅を始めるのに必要な情報はすべて与えられている。だが、剣の力より魔法の技が好みなら、出発の前に術をおぼえるために、この本の巻末に復刻された「魔法書」も必要になる。旅の第三段階にある読者は、決まり事の部分は飛ばし、すぐに冒険に飛び込むことができる。役柄、装備、そして経験は、前回の冒険のものがそのまま引き継がれる。
ベッドの枕に置かれた封筒。中には祝福の手紙(「きみはついてるな!」)と25セント硬貨。チップとも呼べない少額すぎるそのコインが、ホテルのメイドにもたらした幸運とは…市井の普通の人間に訪れた特別な瞬間を、名人芸の手業で描いた標題作ほか、天才キングが十年をかけて、瞬間瞬間の全精力を傾注して彫琢した傑作揃い、意外な結末ばかりの全七篇。全篇キング自身の解説つき。
終盤で手が見えるようになるにはどうしたらよいのでしょうか。寄り形をたくさん知り、そこに持っていくための攻め筋や、それに抵抗する相手のしのぎを身体で覚えるのが一番です。手が見えれば、今度は具体的な読みを入れて確認作業に入ることができます。そのとき実戦ではどのようなことを考えるべきなのでしょうか。こうしたことを徹底的に語ったのがこの本です。終盤の指南役として大いに活用してください。級位者の方にも理解していただけるよう説明しましたが、レベル的には高度です。
本書は経営工学関係や経営情報学関係の学科で、オペレーションズ・リサーチ(operations research,OR)を初めて学ぶ、あるいはORを広く勉強したい学部学生諸君のためのテキストとして書かれたものである。
脳科学の急速な発展のなかで、正気を保つための常識と作法を示す誰も教えてくれなかった「脳情報とのつきあいかた」。
パリはヴォージュ広場の片隅にたたずむ、ルイ十四世が寵姫のために建てたという「王妃の館」。今は、一見の客は決して泊めない、パリ随一の敷居の高さを誇る超高級ホテルとなっているこのシャトーに、なぜか二組のワケあり日本人ツアーが同宿することになった。しかも、倒産寸前の旅行代理店の策略で、客室を昼と夜とでダブル・ブッキングされて…。ぶっちぎりの笑いと涙満載の傑作人情巨編。