本書は岡崎文吉の自然主義水理学の構想に深く立ちいって、科学上の業績をとりだし系統立てて評価することを直接の目的とするものではない。著者に与えられた課題は、むしろ漠然としたものであって、岡崎文吉の人間像を描くこととされたのである。当然のことであろうが、研究方法から研究テーマ、伝記とりまとめにいたる全行程において、いっさいが著者に一任された。