女声や児童合唱という素材感も手伝って、清楚なロマンチシズムに溢れた作品集。毒気のまったくない健全な歌だが時々ニヤリとさせるウィットも。一方で(3)に見られる軽い“笑い”もスパイスとなって聴き手をあたたかな気分にさせてくれる。
正調ムード歌謡の継承者らしい、甘い歌声と雰囲気のよさに聴き惚れる。夜の街の“あやしさ”が変質した平成の時代においては、このジャンルが主流をはることは難しいだろうが、なくなっては寂しい世界だ。それにしても(6)(7)(11)はいつ聴いてものめり込む。