高校卒業後、小さい頃から大好きだった図書館で働き始めた健介。しっかり者の青柳先輩、破天荒な霜月先輩たちの背中を追いかけながら立派な図書館員を目指すけれど、基本は人見知りで内気。初めての電話、お客さんの質問、読み聞かせ、と毎日大変!そんなある日、いたずらっ子ちーが現れてー?
ユニークな商品づくりで愛される飲料メーカー「月夜野ドリンク」で、知的財産部の一員として働く亜季。異動してきた当初は、上司で弁理士の北脇に怒られてばかりだったが、少しずつ成長中で、一人前になったと認めてもらうべく知財の仕事に奮闘している。しかし人気商品の立体商標や、知財と絡む複雑な社内政治の行方など、さらに大きな壁が立ちはだかって…?
支え合うように快楽でむすぶ、知能障害の兄との関係。「テレファクス」と呼び合う売春。精子ドナーによる自己の出生の秘密。やがて、兄の子供を身ごもってしまうー。さまよい、新しい現実感で生きぬく17歳の女子高生アミ。危険な生の輝きを伝える鮮烈なデビュー作。
わたしはラボー・カラベキアン。亡き妻の大邸宅に孤独に暮らす老人だ。かつては抽象表現派の画壇で活躍したこともあったが、才能に限界を感じて今では抽象画のコレクターに甘んじている。そんなある日、若くエネルギッシュな女性が現われ、わたしの人生も大きく変わることになった。彼女は、わたしが誰一人入らせない納屋にいったいどんな秘密があるのか、興味を示しだしたのだ。
いつも見る、あの空を飛ぶ夢。そこで一緒に風をつかまえ、飛翔する「彼」は誰なんだろう。突然の自殺で、恋人トモヤを喪った女子高生サキは、トモヤの「ほんとうの心」を探して、街を彷徨う。そして出会った、トモヤの生き写しのようなユウキ。ユウキこそ夢で見る「彼」なのか?現在形の少女の切なさを描く。
大むかし、エジプトの人たちは何のために、どういう方法でミイラを作ったのでしょう?「ミイラ作り」のふしぎに迫る知識の絵本。
昭和八年、老いたハチ公を眺めてから、初めて子ども同士で山手線に乗ったのは小学校一年生のときのこと。二・二六事件の朝もいつものように電車を乗継いで小学校に通い、「不急不要の旅行」を禁止された戦時下にも汽車や電車で出かけていた私は、終戦の日も時刻表通りに走る汽車に乗り、車窓風景に見入っていた…。時刻表好きの少年の眼を通して、「昭和」という激動の時代と家族の風景、青春の日々がいきいきと描き出される、宮脇俊三の体験的昭和史。
石川啄木って、こんなやつだったのか?!嫌いだけど好き、好きだけど嫌い!あなたの内なる「石川くん成分」をあぶりだす。
生まれついた階級が全てを決定する世界。ツバサは「Cマイナス」という出自を呪い、そこから抜け出すために猛勉強をしている。劣等感を忘れさせてくれるのは、盲目のピアノ調律師とのセックスだけだ。ある日、階級制度に反対するテロリズムを目撃したツバサは、自分の中で何かが動き出すのを感じた。希望と自由の意味を探る書き下ろし小説。
1905年、スイス。26歳のアインシュタインは特許庁に勤務しながら革命的な物理学理論に打ち込んでいた。それは彼の生涯でもっとも輝かしい年と言われるほど、重要な論文がつぎつぎと発表された1年だった。そして有名な特殊相対性理論の完成を目前にした若き技師は、夜ごと奇妙な夢に悩まされていた。時間がさまざまに変化した異世界の夢…現役物理学者がアインシュタインが見たかもしれない数々の夢を流麗に描く傑作。