一攫千金を夢見てベトナムへ向かう御朱印船に乗り込んだ瀬戸内の青年・高取次介。寛永十年(1633)、日本人の海外渡航・帰国を禁じる鎖国令が発布されることを知り、次介の身を案じた兄の大介もまた、波濤を越えて異国へ向かうー。煌めく海洋を舞台にくり広げられる人間ドラマ。
3年前の春の宵、刑事の桜川が出会った仔狐と仔猫は、何の因果か人間の兄弟として生まれ変わりを果たした妖狐と猫又だった。動物姿は愛らしく、人型ではアイドル顔負けの容姿を持つあやかし兄弟。男性ながら世話焼きで女子力が高い桜川は、多忙な捜査の合間を縫って、せっせと彼らに得意の料理を振る舞うように。そんなある日、動物病院で殺人事件が発生した。目撃証言もなく、有力な容疑者も浮かばない。捜査に当たる桜川は、入院中の動物から話を聞くことができないかあやかし兄弟に頼み込む。するとー。
時は大正。家柄だけは良いお嬢さまの有紗は、名門華族・烏丸家の御曹司である京四郎と「特別な雇用関係」にある。大好きな従兄の帰国に浮かれたり、美少女からの恋文に動揺したり、それによってなぜか京四郎が不機嫌になったりと、有紗の周囲は今日も騒がしい。そんな中、巷で話題の「超能力少女」をめぐって、再びとんでもない事件に巻き込まれてしまい…!?恋も謎も大増量!大正乙女浪漫小説、待望の第2巻!
階段から落ちて、乙女ゲームの悪役令嬢カミーユの体に入り込んでしまった女子高生の愛美。彼女は、本来の物語では破滅する運命だった。だが努力の結果、幼馴染と結婚したり、大好きな魔法を極めたりと幸せを掴んでいる。しかし、乙女ゲームのヒロインが起こす革命や隣国の第二王子の陰謀など、周囲ではきな臭い動きが続いていた。それらを警戒していたカミーユだが、ある日、罠にはめられ隣国に攫われてしまう。その上、魔法の事故によって彼女は唐突に元の世界に戻ってー!?入れ替わりファンタジー、大団円!
縁切り寺「慶光寺」に来て半月のおきよの亭主竹次郎が亡くなった。亭主の死で離縁が叶ったおきよだが、寺を出た彼女に悪い噂が立つ。慶光寺御用宿「橘屋」の塙十四郎は、おきよの周辺を調べ出したが、おきよの知られざる過去を知る。そして、待っていたのはやるせない結末だったー。(「冬の鴬」)涙なくしては読めない心に響く作品が揃った待望のシリーズ第六弾!
外国人には、日本を「桜の国」と呼ぶ人々がいますが桜は日本を印象づける代表的な花です。桜は、日本の文化を育み、人々の生活と密接な関係にありました。桜前線と言う言葉があるように、沖縄から北海道まで植栽された桜は、日本全国に春をつげます。野生の桜はさまざまな花を楽しませてくれます。桜の木は家具、食材などにも用いられています。また、私たちは桜と言えば花見を思い浮べます。花の下で宴をはる花見の文化は外国には見られません。この花見はいつごろからはじまったものでしょうか。桜のルーツはネパールにあると言われています。花見もネパールから来たものでしょうか?この謎に迫るために平成11年7月から平成12年4月まで東京農業大学短期大学部教授・染郷正孝が永年の研究成果を、農業資料室においてそのルーツに迫る展示「桜の来た道」として開催し、先生の考えをわかりやすくまとめました。
大阪ミナミの雑居ビルにある、「ビンテージ&アンティークショップ アシュリ」。アメリカのミッドセンチュリー家具を中心とした西洋古家具店だ。ふと訪れた女子大生の季子は、店頭にあった猫のブックエンドを誤って壊してしまったのをきっかけに、アルバイトをすることになった。時を経た家具に囲まれた店は落ちつくけれど、店長も来客もなんだか謎めいていてー使い込まれた家具が呼び込む、奇蹟によく似た物語。
政変、災害、そして戦争へー時は中世。『平家物語』とそこに連なる名作たち。
江戸深川の菖蒲長屋で、医者である父・松庵の仕事を手伝うおいちは十七歳。父のような医者になりたいと夢を膨らませているのだが、そんなおいちの身にふりかかるのは、友の死、身内の病、そして出生の秘密にかかわる事件等々。この世に思いを残して死んだ人の姿を見ることができる娘・おいちが、その能力を生かし、亡き友の無念を晴らそうとするのだが…。人気の青春「時代」ミステリー・シリーズ第二弾!
日本から約一万二千キロ、アフリカ大陸。国際連合南スーダン派遣団の第五次派遣施設隊内では、盗難事件が相次いでいた。定年間近の自衛官・亀尾准陸尉と杉村陸士長が調査に乗り出すが、さらに不可解な事件が連続して発生する。謎の脅迫状、そして小銃弾の紛失。相次ぐ事件は何を意味するのか。日本から特別派遣されてきた警務科のちょっとオネエなキレ者・植木一等陸尉も調査に加わり、連続事件の謎に挑む!2015年第13回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞受賞作。
下総稲月藩三万五千石の若殿・千太郎君は将軍家御三卿田安家ゆかりの由布姫との祝言を前に藩邸を夜逃げ。やがて若殿と姫は山之宿の弥市親分を助けて江戸の難事件解決に努力していた。そんな折、ふたりにイヌワシという刺客が放たれ、国許の稲月城下では若殿廃嫡の陰謀が…。久しぶりに城下に戻った若殿と姫は…。