十七・十八世紀スコットランドの歴史を彩った多彩な人間像をいきいきと蘇らせたウォルター・スコットの小説を読む。
リトルサイゴンを拠点に展開する現代のベトナム系文化・文学を取り上げ、そこに描かれる難民の「過去」と「現在」を、「小説」「映像芸術」「グラフィックノベル」の視点から論じる。
フランス19世紀は革命と戦争と民衆によって特徴づけられ、それゆえ歴史小説の黄金時代でもあった。バルザック、デュマ、フロベール、ゾラなどの傑作群、さらには20世紀のプルースト、ユルスナールまで含めて、歴史と物語のエクリチュールのせめぎあいのなかに、作品が当時の社会的想像力と切り結んだ説話空間を鮮かに開示する。
歴史学に精神分析的手法を導入し文化の読み直しを進める歴史家P・ゲイ。本書は、文学作品、とくに小説における叙述のあり方を論じることを通して、文学が歴史をどこまで描けるのか、歴史を描く方法はいかにあるべきかを真正面から論じた刺激的考察。文学技法、社会史、伝記、精神分析等の観点を綜合しつつ数多くのリアリズム作品を読み解き、ディケンズ、フロベール、マンの作品がなぜ歴史の捉え方において、また文学的叙述において優れているのかを明らかに。歴史実証主義とは異なる歴史叙述のありかた、意義を積極的に評価する一方で、歴史の復元という考え方を批判する近年のポストモダン的方法を厳しく批判。「典型」を描くことによって、文学にも歴史を叙述することが可能になるとする自らの方法を提示する。リアリズム小説や歴史小説、評伝などの意味を歴史学の立場から取り上げ、歴史叙述の多様な可能性を論じる優れた問題提起の書。
「記憶と歴史」を「今」に鮮明に刻印する現代イギリス作家9名を取り上げる。2000年以降の作品リスト・年表付。
信長への憎しみ、恐れ、嫉妬そして執着。村重、光秀らの心に揺れる反逆の光。弱き者たちの論理と悲哀。残滓としての人生を描く。
天下布武の野望を抱く、若き信長の孤独。己れの他に何も信じず、魔王となる信長十八歳の決心。唯一、心を許した年上の恋人吉乃との愛を描く。
戦国の世、一介の地侍、前野将右衛門は、大きな野望と夢に生き、戦い、死んでいった。木曾川の草の匂い、樹々の匂い、命の匂いを描く。
安吾の「本当の凄さ」は歴史小説にある。群雄割拠の戦国時代ー道三、信長から秀吉、家康に至る“安吾版戦国武将列伝”。同時代キリシタン殉教の歴史を描いた「イノチガケ」も併録。
安吾の信長は鬼神のごとく業火の中を駆け抜ける。歴史小説史に特筆される圧倒的名作!!
大ボラを吹き、猛スピードで走り回る秀吉。古代の怪僧道鏡から、妖術使い、名もなき殉教者たち、幕末の剣豪まで多彩な人物が綾なす安吾の歴史小説世界。
作家たちの日記、随筆、詩歌、小説などを素材にして国民の納税意識の深層を探る。税を納める人々の人のアヤを軽妙に描いた、深い学識に基づくユニークな税制史。