「戦とは策なり。戦わずして勝つ事なり」-愛する木曽義仲の身を守る女武者巴御前は、海内無双の勇者であるだけでなく、常に策を巡らすことをも心掛けた。これは天下第一の美女、波瀾の合戦記である。
燦然と輝く黄金づくりの天冠を額につけた巴御前は、この国を一人でしろしめす院政という名の独裁政治を国民の大衆僉議による新しい国づくりに変えるべく、愛する義仲と共に都入りを果たしたが…。
なぜ、広い世界に目を向けようとしないのか?-米国総領事ハリスの嘆きは、同時に井伊直弼の嘆きでもあった。もはや世界の趨勢を止めることはできない。徒らに攘夷を叫ぶことは、日本国自体を滅亡させることだった…。腹臣長野主膳、それに直弼の密偵として、また生涯を賭して愛を捧げたたか女を配し、維新前夜に生きた直弼の波瀾の生涯を描く、不朽の名作。
知将・越中富山城主佐々成政は、国の東西を羽柴秀吉の軍勢に挾まれ、絶体絶命の危機に陥った。徳川家康の版図・信濃に援軍を求めるには、厳冬の飛騨山脈を越えねばならない。成政は重臣たちの反対を押し切り、雪と氷の地獄に挑んだが、自然の猛威の前に兵たちは次々に倒れた。が、この無謀とも言える飛騨雪中行の背後には、驚天動地の陰謀が隠されていた…。長編歴史推理小説。
三十五万石彦根藩主の子ではあるが、十四番目の末子だった井伊直弼は、わが身を埋木に擬し、住まいも「埋木舎」と称していた。「政治嫌い」を標榜しつつも、一代の才子長野主膳との親交を通して、曇りのない目で時代を見据えていた。しかし、絶世の美女たか女との出会い、それに思いがけず井伊家を継ぎ、幕府の要職に就くや、直弼の運命は急転していった…。
奇しき生涯をたどる哲学者皇帝を主人公に、文学創造の根底に横たわる叙事詩の精神を現代に見事によみがえらせた現代文学の最高峰。
戦国の乱世を悲劇的に生きる信長の姿を描写した名作と12の肖像画・風景画による華麗な物語。
渡来後の鑑真と弟子たち、陰謀術策に生きた藤原仲麻呂と孝謙女帝。天平期の政治と宗教の関わりを活写した、女流文学賞受賞の大作。
平安時代は、薬子の変後の嵯峨朝に始まる。王朝の推進者藤原冬嗣、真夏兄弟を軸に、桓武・平城・嵯峨の三代に亘る波瀾の時代を描く。
国士無双と称された軍事天才「股潜り」の韓信の劇的生涯。宿敵項羽を撃滅、漢の太祖となった劉邦麾下の大将軍として、天下征覇の大功業に尽くした韓信が悲劇生涯を終えるまでを描く力作。
余りにも短く清らかな愛の生涯。愛のためにすべてを捧げた女のひたむきさ。切支丹弾圧の長崎を舞台にくりひろげられる名作長篇。
本書は英語文体論(English Stylistics)の入門書です。文体論は、言語学と文学研究をつなぐ求心力として発達した学問であり、近年では、とくに英国・英連邦諸国において、語学・文学教育の方法論としても注目を集めています。本書では、英語文学を味わうために知っておくべき英語の規則や慣例、いわばその「作法」を観察し、英語を母語としない人間が英語を使って文学的な文章を創作するための「作法」を学びます。
“三本の矢”のエピソードでも知られている毛利元就は、戦乱の世に、所領わずか二万三千石の小大名の次男として生まれた。そして生涯、2000度以上の戦いを経て、中国10カ国を平定し大大名へとのし上がる。しかしこの稀代の名将は、なぜか一度として天下取りを目指すことはなかった。それはなぜなのか?受けの天才の隠された真意に迫る長編歴史小説の傑作。
21世紀初頭、ニューヨークを襲った9・11テロ事件以来、米国は圧倒的な軍事力を背景に、「悪の枢軸」ともくされ反米の立場を取る国々に対する粛清を開始した。北朝鮮を包囲するために、米海軍第7艦隊との共同作戦をとる海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」に乗艦した島和武3等陸尉、大賀剛一1曹ら180名余の「朝鮮有事派遣部隊」は陸上自衛隊誕生以来初めての海外派兵の途上にあった。本書は29年前に空前の大ヒット作となった『戦国自衛隊』の待望の続編である。
200X年、米朝関係緊張下に組織された「朝鮮有事派遣部隊」は、史上初の海外派兵途上でタイムスリップし、400年前の敦賀に漂着。時は戦国末期の関ヶ原合戦前夜、そこには彼らの知る正史とは微妙に異なる世界が展開していた。戦国大名・大谷吉継の庇護を受けることとなった100名余の自衛官らは、自らの生き残りを図るため西軍につき、石田三成らと命運を共にする決意をするが…。
生類憐みの令で民を苦しめ続けた五代将軍・綱吉。江戸は地獄と化し、人々は“花のお江戸は闇となる”と歌った。後に六代将軍・家宣となる綱豊は、将軍の座を巡る争いの波にもまれて育った。千姫の遺愛を受け、新井白石の知を学び成長した綱豊は、やがて思慮深い人物に。ついには“正徳のご治世”と呼ばれる善政の花を咲かせる。「理想の政とは」を問う傑作。
200X年、米朝関係緊張下に組織された「朝鮮有事派遣部隊」は、史上初の海外派兵途上でタイムスリップし、400年前の敦賀に漂着。100余名の自衛官らは島和武の指揮のもと戦国大名・大谷吉継と共に、自らの生き残りを図るために関ヶ原の合戦に参戦するが、そこには自衛隊と同時にタイムスリップし、東軍・徳川家康側に味方する米軍がいた。壮絶なる白兵戦で形勢不利となった西軍・島津義弘は生き残った自衛官らと共に関ヶ原を脱出するが…。