皇室の外戚としてなんとしても権威を得たかった徳川家康。天皇の在位さえも意のままに操り、二代将軍秀忠の娘・和子を、天皇家へお輿入れさせるべく動く。生まれたときから運命を定められた和子が十四歳にして帝へと嫁ぐ、その胸に秘めていた想いとはー。女たちの生き様、心情を丹念に描いた傑作歴史小説!
『下針』石山本願寺法主が信長の首に恩賞を懸けた。雑賀党の鉄砲名手、通り名“下針”は惚れた遊び女のため…。『ふたつ玉』主の六角承禎から美しい側女を下げ渡された甲賀の鉄砲名手・善住坊は、峠道での信長狙撃を命じられた…。『弾正の鷹』信長に堺商人の父を処刑された桔梗は、松永弾正の側女となり、韃靼人の女鷹匠を装い信長に拝謁したが…。『安土の草』甲斐乱波の草である庄九郎と楓は、番匠(大工)と下働き女として安土城築城現場に潜入するが…。『倶尸羅』将軍足利義昭から閨での信長毒殺を命じられた江口の遊び女・倶尸羅は、自らを献上し信長の側に侍るが…。鉄砲撃ち、鷹匠、乱波…凄腕の刺客とその恋の行方は。
織田信長の天下布武の構想を実現し、自らの人生をも切り拓かんとする黒田官兵衛は、羽柴秀吉のために、その知謀の限りを傾ける。毛利攻めから、中国大返し、山崎の合戦を経て、賤ヶ岳へ。荒木村重、柴田勝家など、戦国乱世を壮絶に生きた群雄たちを活写して、まったく新しい「官兵衛像」を確立した、著者渾身の「群雲」シリーズ、第二巨編。
戦国の女、徳川の女たちを描いた著者渾身の長篇小説。
“金山湊をやきものの集散地とし、織田家の台所を潤せ”金山城主となった蘭丸の父・森三左衛門は、信長から命じられるが合戦で討死。幼くして通商の要地を見て育った蘭丸は、信長の小姓に召されるや、算にたけた怜悧さで力量を発揮する。やがて信長に資質を認められ、知行地を与えられた蘭丸。だが一方で、二人の娘との愛に苦悩する若者でもあった。長編歴史小説。
1768年。革命前の爛熟したパリで、女の惨殺死体が発見された。かつて美貌の青年侯爵サドとの醜聞で、パリ中に名を知られた娼婦をいったい誰が殺したのか。パリ警察で、放蕩貴族を監視する特殊任務につく私服警部マレーは、事件の真相を探るべく、奔走するが…。歴史ロマン×警察小説の革命的融合!ベストセラー『殺人鬼フジコの衝動』の著者の原点にしてライフワーク作、登場!
盟友明智光秀と共に足利義昭の将軍擁立に奔走し、やがて信長に臣下に。戦国の世を生き、傍ら茶道・和歌の世界に独自の境地を切り開き、世に“文芸大名”と称された細川藤孝(幽斎)・忠興父子の数奇な生涯を描く。
江戸時代、薬屋ながら副業として公事(裁判)の相談に乗る時次郎。そこそこ儲かってはいるが、高い書物を買うので余裕はあまりない。その事と子作りに熱心でない事を恋女房からは責められ通しだ。おまけに持ち込まれるもめ事は、一筋縄ではいかないものばかり。不貞を働いたとして殺された夫の潔白を証明したいと言われたり、破産したのに財産を隠していた相手から金を取り戻したいなどなど。さて、次はどんな厄介な事件が舞い込んでくるのやら?-。
織田信長の登場をもって、群雄割拠の戦国は、天正年間にその沸騰点を迎えていた。白く秀でた額を持つ、この美しい武将は、人間の精神を焼き尽くし、神の座に就こうとしているのか。足利義昭を擁した上洛から、本能寺へ至る十余年の動乱を、正親町天皇の秘書官・勧修寺晴豊の目を通して描いた渾身の歴史小説。天皇と公家たちもまた、魔王・信長と闘っていたのだ。
死に場所と決めた大坂の陣を真田幸村はいかに生きたか。武将として、父として、愛する女を思いやる男として。幸村を新たな視点で描き出す。合戦小説の精華。
天正元年(1573年)。吹き荒れる一向一揆衆弾圧のため、信長軍が越前に侵攻する。信仰の名のもと、戦に駆り出され、命を落としていく数多の罪なき民。蹂躙され尽くす、のどかだった村々。何処からか流れ着いた少女は起ち上がる。大切な仲間たちを守るため、封印された己のおぞましい過去に立ち向かうためにー。
「狙いは本能寺にあり」-明智光秀の采配で、幼い福の運命は一変した。父の非業の死、一家の離散、激変する境遇の中、女が「天下を取る」には…。3代将軍家光の乳母として、大奥に威勢を振るった女の生涯を描く大作。
秀吉、家康にも一目おかれるほどの稀代の軍師・黒田官兵衛(如水)、そして武功輝くその子長政。豊家ゆかりの大名に対する幕府の圧力をみごとにかわし、黒田藩五十二万石の礎を固めた、父子二代の活躍。
土方歳三・33歳、中岡慎太郎・29歳、高杉晋作・28歳、清河八郎・32歳、桐野利秋・40歳、小栗上野介・41歳ーいずれも亨年である。幕末激動の世にこの若さで燦然たる光芒を放ちつつ消えた波瀾の生涯を描く。
勤王か佐幕か、攘夷か開国かー。沸き返る世論と、目まぐるしく変化する時勢の流れに、敢然と立ち向かい、新しい時代を模索しながら、志なかばに斃れていった人々の激しい生きざまを描く。
下剋上の世の中に、人目をも憚らず、思いのままの奢侈にふけり、数寄風流に命を賭けた京極道誉。後醍醐帝と足利尊氏の宿命的な対決を背景に、荒々しく血なまぐさい南北朝時代を描いた歴史小説の傑作。
強大な大内、尼子、二氏の間に挟まれた弱小な毛利家当主となった二十七歳の元就。冷酷な策謀を弄して容赦なく敵を屠り、『三本の矢』のごとく三人の子らも協力して、中国地方の大半を制覇。長州藩の基礎を築く。