稀代の伝奇小説作家による、晩年の傑作時代小説を集成。長・中篇3作、短・掌篇14作、すべて全集未収録作品、紀行/評論11篇、すべて初単行本化。
関ヶ原合戦から2年。壮絶なる退き口で島津軍と共に薩摩に逃れた自衛官32名。徳川の執拗な追及を逃れ、宗凡の手引きで京へ匿われる。一方、穴生の里で才と暮らす大賀剛一は、妻子を殺され村を出た。「俺たちは火薬庫の中のマッチだ。二度と歴史に関わるまいと心に決めながら、結局どうしようもなく、また歴史に絡め取られている」-伏見城で家康暗殺に失敗した島和武は、豊家滅亡を企む徳川の不穏な動きに自衛官たちの運命を案じるが…。
十七・十八世紀スコットランドの歴史を彩った多彩な人間像をいきいきと蘇らせたウォルター・スコットの小説を読む。
主人公、脇役、端役…キャラクターの魅力で読みとく時代小説の新しい楽しみ。充実の巻末資料、便利な総索引つき。
井上靖はなぜ、『風林火山』を歴史小説と呼ばなかったのか。山本周五郎は、『さぶ』にどんな思いを込めたのか。藤沢周平の運命を変えた「転機」とは。似て非なる「ふたつの文学」のおもしろさ。名作の比較分析からはじまる、思いがけぬ知的発見の数々。「碩学の産業人」と呼ばれた著者による、最新文学論。
大坂町奉行所に勤める大塩平八郎の下へ、老中水野忠邦が不正無尽を企んでいるので調査せよとの一通の書状が届いた。差出人は不明。一与力が幕府高官の不正を暴くとなると身の保障はない。時は天保の飢饉。飢えにあえぐ民衆救済のための建言書を奉行所に提出するものの、保身と利権漁りに明けくれる役人は無視。暴利を貪る豪商。色里に潜りこんだ役人と豪商たちのひわいな笑い声が平八郎の憤怒を煽り出した。
NHK衛星放送のWHAT’S ON JAPANとNEWS TODAY 30 MINUTESから採択したリスニングを中心課題に据えた、ニュースの視聴覚教材。
漢文との堅い絆を断った歴史叙述は、漢字仮名まじり文に新たな分割線を引き、おきまりの総ルビを振り捨てた小説は、新たな読者と新たな読みを成型しはじめるー。19世紀後半期、この国の言説の構造変動を踏査する、スリリングな道行き。待望の論集。