昭和八年、乱歩は極度のスランプに陥っていた。休筆期間は実に一年以上。この時期を境に、猟奇の極みを尽くした作品から、少年向けの明るい作品へと大きく作風を変えていく。その背景にはある驚くべき出来事があった!乱歩と坂本竜馬の意外な関係、そして乱歩が知った竜馬暗殺の真犯人とはー。SF界の鬼才が歴史的事実を大胆に解釈、乱歩・生涯の謎に迫る。
坂本龍馬、暗殺者の凶刃を逃れる!九死に一生を得た龍馬は、廃幕による改革を目指し、陸奥宗光とともに精力的に動き始める。が、討幕の気運は諸藩に広がっていた。長州に続き、薩摩の西郷隆盛も武力討幕へ傾いていく。さらに諸外国までもが、龍馬の志を阻もうと…。龍馬が生きて明治を迎えたら日本はどうなったか。大胆な発想で描くもう一つの歴史物語。
龍馬の新政府構想による選挙で、徳川慶喜を退け、西郷政権が誕生。これに反発した旧徳川家臣の憤懣は内乱へ向かった。その後、欧米列強、ロシア、清の内政干渉が強まり、岩倉具視の後を受け、急遽、総理となった龍馬は事態打開に奔走する。そのとき、清国の砲弾が…。龍馬の思い描く日本は実現できるのか。新しい視点で描くもう一つの歴史物語、完結編。
安政四年。坂本のお仁王さまといわれた乙女が、藩医・岡上家の新甫に嫁いだ。絵を描き、長刀を使う大女の乙女と小男の新甫は、まさに蚤の夫婦。長男・赦太郎も生まれ、姑とも上手くいっていた。ところが、長姉の突然の死、弟・龍馬の脱藩、さらには夫の不倫が発覚し、俄に乙女の身辺に変化が生じてきた。-文庫で書下ろす龍馬の姉・乙女の実像。他一編収録。
柴田錬三郎描くところの斎藤道三、池波正太郎による決戦川中島、織田信長(新田次郎)、木下藤吉郎・ねね夫婦(沢田ふじ子)、明智光秀(津本陽)、千利休(井上靖)、石田三成(綱淵謙錠)の悩み、後藤又兵衛・真田幸村の大坂の陣(司馬遼太郎)、同じ大阪の陣に絡む坂崎出羽守(滝口康彦)。遂に統一をなしとげた徳川家康(中山義秀)まで。豪華執筆陣が案内する戦国絵巻。
人足として佐渡に送られた無宿人たちと、その監視役を任命された若者の交流(「江戸山狼」)。志賀島の百姓が田圃で見つけた金塊がもとで商人、学者、郡奉行を巻き込む大騒動に(「金印」)。藩の窮乏を救うため、密貿易に手を染めた藩士が、朝鮮国で起こした事件の波紋(「倭館」)。七つの島にまつわる歴史と風土、そして心温まる人々の生きざまを活写した珠玉の短編集。
生類憐みの令で民を苦しめ続けた五代将軍・綱吉。江戸は地獄と化し、人々は“花のお江戸は闇となる”と歌った。後に六代将軍・家宣となる綱豊は、将軍の座を巡る争いの波にもまれて育った。千姫の遺愛を受け、新井白石の知を学び成長した綱豊は、やがて思慮深い人物に。ついには“正徳のご治世”と呼ばれる善政の花を咲かせる。「理想の政とは」を問う傑作。
奥州藤原軍が鎌倉を殲滅。平家の逆襲。義仲の敗走。激動する情勢を前に、熊野で兵を挙げた義経は、平家を破り、入洛。征夷大将軍に任じられ、平家を追討、滅亡させる。その報を受け、秀衡軍は西へ向かう。法皇の権謀術数で、恩義ある秀衡との対決を迫られた義経は…。秀衡の真意は?義経に託される新たな役回りとは?もう一つの歴史物語、堂々完結。
源義経、大石内蔵助、近藤勇ら、歴史上の人物、時代劇のヒーローたちの使う剣術の流派を知っていますか?本書は“古”の武術・剣術にはどのような種類があるのか、美麗イラストで臨場感たっぷりに解説。
豊臣恩顧の福島政則、加藤忠広らの改易が続くなか、利常は英知を駆使して前田家の安泰を目指す。武威の徳川に対し、“文化立国”で挑戦する利常。諸国から一流の職工、芸術化を招き、金沢城下に絢爛豪華な百万石文化を築く。辰巳用水の掘削、“改作法”など、善政を敷いた名君の実像を『前田利家』『前田太平記』の著者が渾身の筆致で描く、長編歴史大作。
晩秋の夕陽を浴びる古木。その姿はまるで「市井の仙人」のよう。干ばつ、大洪水、地震、豪雪、相次ぐ災害に見舞われ続けた一千年もの間、傷つき耐えて、なおも共に生きる巨樹は人々の心の支え。荘厳な杉参道に結実した歴史の偉業、篤信の念仏者ゆかりの柿の木…ときに威風堂々と、ときに素朴に平凡な姿で、ただ静かにこの世の人々の生業を見守る大いなる木の精霊たち。-日本人と木との暮し、カミ観念や信仰心を綴る十五の物語。樹木の声が聴こえる、人の心が観えてくる。
女流カメラマン千沙が、古都金沢をテーマにした写真集でデビューする直前、相次いで事件が起こった。編集部長が射殺され、金沢では千沙の実姉が事故死した。千沙が撮影した金沢の写真が原因か?十津川が捜査一課の若い刑事・西本を金沢に派遣すると、秘かに千沙に思いを寄せる西本は彼女のためにある妙手を思いつくが…。円熟の筆で金沢を旅情豊かに描く傑作推理。
鴎外、芥川をはじめ多くの“純文学系の歴史小説”が存在するが、それらは大衆小説の一部、または各作家論の中で説明されるという異様な様相を呈している。本書では文学史の記述上の問題を指摘し、範疇論の分析から、純文学系の歴史小説が史実・史料準拠のみを第一義とする歴史叙述とは異なり、歴史的な時空間に展開される独自の芸術作品であることを論述している。また、鴎外の歴史小説及び、鴎外の影響下に独自の世界を拓いた六名の歴史小説家の作品分析により、多面的な芸術的営為を解明している。
秀頼の狙撃に失敗した大賀は、祐夢に匿われるも徳川に捕らえられる。桝屋に潜む島たちにも追手が迫っていた。徳川幕府二代将軍となった秀忠は、本多正純らと、大坂と戦端を開く準備を急ぐ。一方、大野修理は幕府を牽制するためにとき衆を大坂城に迎え入れる決断を下した。大坂へ向かう19名の自衛官。残った穴山は大賀の処刑を知らせるために単身、大坂へ走る。夏の陣開戦時、空に轟いたのは米軍の戦闘機・ハリアーの爆音だった。
武士道とは、生きること。みっともなくても生き抜くことだ。傷つき、汚れながら「わが人生」を歩んだ名もなき男たち-その逞しくも健気な生き方を鮮烈に描いた力作歴史小説。
激動の時代を証した女たちー鎖国から開国へ流れる歴史のただ中で、時代の障壁と運命の隘路に窮しつつ、人生を選択した女たちを描く大長編。
志高く学び、信念堅く生きる。蘭学者前野良沢、幕末明治の医師、高松凌雲・松本良順。前人なき世界に挑み、日本の近代医学を拓いた立志の人々。
遠い日、夜の砂丘で青年の目を射た流星の一条の光ー遙か西域への憧れを胚胎した井上文学誕生の瞬間を描く「砂丘と私」始め、『天平の甍』『敦煌』『風涛』など歴史小説の名作を点綴、その発想の源泉と想像力を刺激してやまぬ歴史の魅力を語る。『蒼き狼』をめぐり大岡昇平と闘わせた論争への真摯な反論、八〇歳の作家を駆り立てた『孔子』への情熱ーなど、井上靖の凛とした詩魂がほとばしる歴史随筆二四篇。
人類最大の夢とロマン、科学は時間を超越できるのか!?世界中の科学者たちが導き出した驚くべき結論とは…。