前田利家の死により天下は徳川家康の野望に晒された。石田三成の挙兵ー関ケ原決戦も家康の天下取りを確定させたにすぎない。前田家は家康から和戦を迫られるが、当主利長は生母芳春院を人質に出し、百万石の社稷を保つ。以降、彼は大坂の秀頼を見守り、嗣子利常の成長を期しつつ、文化立国をめざす。ときに柳生衆が暗躍するが、中条流富田越後が迎え撃つ。
吉田松陰門下である高杉晋作は、諸外国からの圧迫を目のあたりにして、日本の危機を痛感する。そこで彼は、長州藩の海軍力増大を目指し、身分にかかわらない「有志」による奇兵隊を結成した。討幕派の中心となって奮闘する晋作だが、肺結核を患い、志半ばにして斃れる…。激動期、明治維新に尽くした救世主・高杉晋作の、波瀾の生涯を描く、傑作伝記小説。
関ケ原決戦後、徳川秀忠の娘・千姫が大坂城の主・豊臣秀頼に輿入れ。両家は固く結ばれたかのように見えたが、天下の実権は、すでに江戸の幕府に移りつつあった。前田家が二代にわたって守りつづけた秀頼母子の命運も、利長の死とともに大きく傾く。いよいよ最後の決着、大坂の役が目前に!徳川柳生流対前田中条流の兵法決戦も、かくして最高潮に達する。
治承四年(1180)八月、伊豆で目代屋敷を襲い、平家への反撃の狼煙を上げた頼朝は、源氏ゆかりの者や坂東武者を束ね、鎌倉で京の清盛を伐つ準備を着々と整えていた。その頼朝の蜂起を鈍らせていたのは、弟・義経が身を寄せていた奥州の支配者・藤原秀衡の動向。秀衡は頼朝にとって、後方でじっと見つめている羆だった。その間隙をつくように、木曾で義仲が挙兵、入洛!決戦の火蓋が切られた!血で血を洗う源平の戦い!源氏の棟梁の座をめぐる骨肉の争いに、ついに奥州の眠れる羆・秀衡が動きだした…。
北陸路から京都へと攻め込んだ木曾義仲は、平家を西国へと追いやると、しだいに好き勝手な振舞いを見せはじめ、御所を焼き討ちし、後白河法皇を幽閉してしまった。これを見た秀衡は、寿永二年(1183年)、義仲追討を決意、四万の軍勢を率いて、平泉を後にした!いっぽう頼朝は、目前に南下してくる奥州軍に、義仲追討は秀衡のまやかしと判断、ついに鎌倉の地で両軍全面対決の火蓋が切られた!決死の鎌倉攻防戦!頼朝軍の奇策とは…?奥州軍の真の目的とは…。
寿永三年(1184年)、義仲に代わって再び京に戻った平家を倒し、市中に入った義経は、後鳥羽帝を擁し、平家追討の宣旨が下されるのをじりじりしながら待っていた。一方、義経に追われ、後白河法皇、安徳帝をたてて屋島に退いた平家は、着々と源氏を迎え撃つ準備を。ついに勅命が下り、義経が平家追討に成功したかにみえたそのとき、頼朝を倒し、不気味にも鎌倉で沈黙を守っていた秀衡率いる奥州軍が、西へと移動を開始した!?源氏と平家の雌雄を決する最後の海戦!そこに参入せんとする秀衡の真の意図とは?書下ろし長編奇想歴史小説シリーズ、堂々完結。
足利尊氏は、武士の時代の潮流に乗って、「天皇」を戴きながら実権を握った。その結果、天皇が同時に二人在位するという日本史上未曾有の南北朝時代を出現させ、その影は戦国時代や近代史にまで及ぶ。彼は、鎌倉幕府の「後醍醐天皇に加担する楠木正成を討伐せよ」との命令を受けて京都へ出陣するが、一方では天皇から幕府討伐の命令を受けていた…。
冷然とわが子を見捨てた家康。兄を押しのけて二代将軍になった秀忠。徳川の盛衰を賭けた正念場に、三代将軍の候補は、兄が暗愚、弟が驕慢。権力を巡る諸相が次々と異貌をさらけ出すなか、暗愚だった兄が突然勇猛果敢な少年に変身し、後の三代将軍家光となりおおせた。この正史『徳川実紀』の不可解な記述に対し、大胆な新説で迫る、徳川三代の修羅の人間ドラマ。
天正五年(1577年)秋、加賀で初めて信長軍と対決した上杉謙信は、これを撃破。すでに越中・能登は手中に収めており、能登から加賀へ、さらに越前へ進む謙信の上洛の道すじがととのった。いよいよ翌六年、三月をもっての出陣を決意した謙信は、いざ出陣という七日前、突然、春日山城の自室で襲われ不審な死を…?配下の裏切りか、敵の謀略か?織田方、武田方、明智光秀など、それぞれ配下の「草ノ者(忍び)」の暗躍する中、ある意外な暗殺指令者の名が…!?陰謀渦巻く戦国の闇を切り裂いた、著者入魂の書下ろし歴史推理小説の白眉。
なぜ、作家たちは信長を主人公にするのか?新発見史料は、信憑性の低い眉睡ものだった!?歴史的事実に反した桶狭間合戦の描写etc、数百冊の歴史小説から、文庫を中心に名作を厳選。徳川家康、織田信長、豊臣秀吉をはじめ、武田信玄、上杉謙信、島津義弘など47人が登場。
1839年初頭、清朝第八代皇帝・道光帝から密輸アヘン駆逐を命じられた欽差大臣(特任派遣大臣)・林則徐は北京から広州へ向かった。アヘン密輸で私腹を肥やす政府高官たちは、林則徐が買収に応じないことを知ると、これを除くべく“モンゴルの三鷹”と呼ばれる三人の刺客を放つ。迎え撃つは林の護衛として随行する宦官・“花進”。その正体は、大塩平八郎の蜂起に参加後、日本を脱出して中国に落ち延びてきた、もと大坂東町奉行所同心、花房一之進だった。秘剣“虎の骨”を遣う居合いの達人、一之進と刺客たちの壮絶な死闘が始まる…。アヘン戦争前夜、激動の時代を駆け抜けた男たちの数奇な運命を描き切った歴史冒険小説の傑作。
慶長5年(1600年)、伊達政宗は、関ケ原に向かう徳川家康に呼応し、上杉景勝と睨み合いをつづけていた。関ケ原の合戦に勝利するには、上杉軍の追撃を阻止しなければならないー。しかし、家康の運命が政宗の手に握られたそのとき、政宗は景勝と密かに和睦、矛先を江戸城攻撃へと翻した!綿密な考証のもと、歴史を大胆な発想で捉えなおした、新感覚歴史小説。
慶長5年(1600年)、川越の合戦で、伊達政宗率いる奥羽連合軍が徳川家康を破ると、天下の情勢は一気に政宗へと傾いた。東西両軍の諸将にとって大きな脅威となった政宗は、自分を陥れる謀略を巧みに押さえ込み、ついに石田三成を失脚に追い込んだ!政宗が征夷大将軍となる日も近いー。綿密な考証のもと、新しい発想で歴史を捉えなおす新感覚歴史小説、完結編。
本書は、明治期から現代にいたる歴史小説と時代小説の主要作品を選び出し、その内容と特色を解説したものである。「通史」「作品解説」「作家紹介」のほか、巻末に「年表」「参考文献」「索引」を付して、収録されている作家および作品が、歴史・時代小説のジャンルのなかでどのような位置にあるかを理解する縁とした。収録作品の総数は283編、作家数は130名にのぼる。
捕物・仇討・剣豪・忍者・伝奇・史伝・戦国江戸物など、大正の「半七捕物帳」から現代の「悪党の裔」まで、ベスト113作を選び、その本の「ポイント」「あらすじ」「解説」「作家紹介」「初出と流布本」を紹介。歴史・時代小説の歴史的名著や現代の名作傑作が手軽に読める。また大衆文学の歴史的流れがわかると共に、読む事典としても楽しめる。