史上ただ一人という女戦国大名は公家の姫君で今川義元の母-歴史の中に埋もれた人物に光をあて、今川氏のイメージを一新した作品。
信長への憎しみ、恐れ、嫉妬そして執着。村重、光秀らの心に揺れる反逆の光。弱き者たちの論理と悲哀。残滓としての人生を描く。
史上随一の美女・信長の妹お市は政略結婚の犠牲者なのか…。英雄伝説を排した素顔の信長と戦国の歴史を左右したお市の劇的な生涯。
マルコ・ポーロ自筆の「もうひとつの東方見聞録」を、著者は手に入れた。なんと、マルコは日本に足を踏み入れていたのだ。モンゴル帝国皇帝・フビライのスパイとして…。だが、真の目的は日蓮に会うことだった。“カマクラ”でマルコが見たものは、日蓮との会見は、そして“蒙古襲来”で果たした役割とはー『薔薇の名前』に匹敵する壮大な歴史小説。
興亡激しい戦国の世、織田信長という理想の主君に巡り合った木下藤吉郎は、陰日向なく奉公に励む。桶狭間の戦い、美濃攻略と、数々の手柄で目覚ましい出世を遂げた彼は、縁あって寧々と結ばれた。しかし、心の奥には密かに信長の妹・お市御寮人の気高く可憐な面影が、深く灼きつけられていたー。戦国の覇者・秀吉の華麗な生涯を描く、壮大な歴史ロマン全八巻。
ついに一城の主となった秀吉。しかし、密かに思いを寄せていたお市御寮人は、柴田勝家の妻として遙か越前へ去った。さらに、全国制覇に乗り出した信長が、明智光秀の謀叛に遭い、京の本能寺で非業の最期を遂げた。中国路攻略途中の秀吉は、乾坤一擲の“大返し”を敢行し、光秀を誅伐。彼は信長の後継の座を巡る諸将の対立をよそに、秘策を練り、意外な候補の擁立を謀る。
天正十一年(1583)、秀吉は越前北の庄の柴田勝家を攻め滅ぼす。だが、密かに思慕の念を抱くお市御寮人は殉死。悲嘆にくれる彼の前に、健やかに成長したお市の娘・お茶々(のちの淀君)が…。度重なる不幸にもめげず、聡明な知性と冒険心に満ちた彼女の魅力に、いつしか天下人・秀吉の心も魅かれていく。やがて、お茶々に心を残しつつ、秀吉は遠く九州攻めへと出発する。
18世紀半ば以降、市民階級の自覚により、ノヴェレは次第にその評価を高めてゆき、やがて真の悲劇性を獲得し、演劇等一流ジャンルに伍しうるようになった。本書では、H・クライストの作品分析を中心に据え、前後に概論と前文、展開と終焉を作品研究の形で置き、ドイツ近代ノヴェレの本質と変容の外観を、各時代の文学思潮にも出来るだけ視野を広げながら、全章にわたりドイツ文学史上の代表作品を配置、論及した。
秀吉の臣下、武人加藤清正と商人小西行長の宿命の対決。彼らの胸に去来するものは-。
秀吉の天下取りの戦いが終ったその時から、おねねの戦国は始まった…。おねね・お茶々〔淀君〕など、秀吉をめぐる女たちの戦国時代。
秀吉とお茶々の間に、待望の和子・鶴松が誕生し、豪華をきわめた聚楽第も完成した。そして、華やかな北野の大茶の湯。しかし、千利休と石田三成との深刻な確執が、関白秀吉の栄華に不吉な影を落とす。折りも折り、小田原攻めの陣中で、身近に仕える利休の娘おぎんの魅力に、ふと心を動かす秀吉。人々の愛憎のもつれをよそに、三成は着着と利休打倒の策を練るー。
絶対優勢と見えた朝鮮戦役も、膠着状態から次第に退却を余儀なくされていた。そして、思いもかけぬ母・大政所の死。あれこれと悩み多い秀吉のもとで、献身的に世話をする新しい愛妾・なべ。秀吉はいつしかなべの優しさに強く魅かれていく。そんなとき、淀君懐妊の知らせが届した。だが、世間には、「もしかしたら、太閤の子ではないのかもー」という黒い噂が流れる。
幼いわが子鶴松の死で、秀吉は甥の秀次を後継者ときめて、関白の位を譲る。ところが秀次は、数々の乱行を重ねたあげく、“殺生関白”の醜名をさらして悲惨な最期を遂げる。秀次の妻妾三十余人も刑場の露と消えた。国内を統一した秀吉は、朝鮮から大明国まで海外“征覇”の野望を抱き、みずから肥前名護屋(佐賀県)の陣所に赴き、老いの身に耐えて全軍の指揮をとる。
父明智光秀の裏切り、キリスト教という西欧との邂逅。細川忠興の妻お玉の数奇な生涯を描いた表題作のほか「青苔記」など6短篇を収載。
和平交渉もととのい、秀吉は上機嫌で明国の使節を迎えた。だが、思いがけぬ障害で決裂、ふたたび出兵の決断を下した。しかし、国内には不満も多く、石田三成と徳川家康との間には、次第に溝が深まっていく。こうした内外の重苦しい空気を一掃すべく、秀吉は醍醐寺に多くの桜を植え、豪華な花見の宴を催す。その最中、秀吉は異様な音声とともに倒れた。
一代の英雄・秀吉が倒れた。彼の死後、家康と三成の確執が表面化し、関ケ原の決戦へ。絶対有利の西軍が敗れ、東軍の大勝利に終わる。秀頼は摂津・河内・和泉三カ国の領主に転落。家康の孫娘千姫が秀頼のもとに輿入れしたものの、家康と淀君・秀頼母子との対立は、天下を二分し、冬の陣へと突き進む。秀吉と彼をめぐる女たちの運命を描いた歴史巨編ついに完結。
余りにも短く清らかな愛の生涯。愛のためにすべてを捧げた女のひたむきさ。切支丹弾圧の長崎を舞台にくりひろげられる名作長篇。
お市の方の末娘おごうは徳川家に嫁ぎ、姉淀君の豊臣家と図らずも敵味方に分れる…。戦国の歴史を左右した華麗な系譜を描いた大作。
鴎外歴史小説研究の新時代を予感させる激震の書が出た。本書に触れずに今後論が書けるか。「歴史其儘」の内実を抉って、「文芸」として蘇らせた感動の書が出現。