慶応三年(一八六七)十一月十五日、京都・河原町の近江屋で、坂本竜馬は暗殺された。ほとんど即死だった。てだれの襲撃者は新選組の原田左之助だとか、見廻組の佐々木唯三郎だとか、自分がやったと自白した今井信郎だとか諸説紛々だったが、近年ようやく定説が固まった。しかし、陰で糸を引いて自分の目的を遂げた黒幕の名は、今も沓として知れない。著者は、新史料を駆使して真相に肉薄、ついに真犯人を断定した。読者を震撼させるその男の意外な名は。竜馬暗殺伝説は、ここに終止符を打った。
江戸期には珍しい女性エッセイスト、只野真葛を描いた『葛の葉抄』、『炎環』以来ひさびさの連作小説『うたかたの』を収録。年譜付。古代から江戸まど、小説で辿る歴史の旅。
天下布武の野望を抱く、若き信長の孤独。己れの他に何も信じず、魔王となる信長十八歳の決心。唯一、心を許した年上の恋人吉乃との愛を描く。
群雄割拠の戦国時代。都では、管領細川氏の臣下であった三好長慶が、守役松永久秀の巧妙な知略に援けられ、ついに将軍を凌ぐ実力者となる。だが、「いずれはその権力も全て我がものに」と、久秀は密かに機会を窺っていたー。織田・豊臣に先立って、一時期、天下を掌握した三好長慶の波乱の生涯と、戦国の世を彩るしたたかな人間たちの生きざまを描く、一大歴史巨編。
これを読めば歴史・時代小説の通。座右に置けば歴史・時代小説の小事典。吉川英治から司馬・藤沢まで52人の作家の素描と作品紹介。
古典的名作から、新進気鋭の力作まで、読みどころをずばり解説。読書案内の決定版。
戦国の世、一介の地侍、前野将右衛門は、大きな野望と夢に生き、戦い、死んでいった。木曾川の草の匂い、樹々の匂い、命の匂いを描く。
慶長5年(1600年)9月、伊達政宗は関ヶ原に向かう徳川家康に呼応し、白石にあって上杉景勝と対峙していた。上杉勢の背後からの追撃を政宗が阻止することは、関ヶ原の決戦勝利の絶対条件。天下の行方を定める鍵を政宗が握ったそのとき、政宗は景勝と密かに和睦、矛先を江戸城攻撃へと翻した。政宗離反を知った家康は、急遽、軍を江戸守備の要・川越城にとって返すが…。江戸攪乱に動く伊達藩の陰の軍団・黒脛巾組の暗躍。家康必死の巻き返し策とは…。歴史の大転換点を大胆な発想で捉えなおす、著者会心の書下ろし歴史傑作シリーズ第一弾。
戦乱の世に、心の王国を求めた、九州豊後の王、大友宗麟の軌跡。信仰と現実の狭間に揺れる心の襞を描く。
匂うような美少年服部半蔵が、陰謀渦巻く伊賀に戻ってきた。単身、上忍藤林長門・百地丹波に挑み、幻術遣い勾当段蔵と対決。“煙りの末”の名を復興し、より広い戦国興亡の地を求めて歩き出す。長編歴史小説。
慶長5年(1600年)、徳川家康が川越の合戦で、伊達政宗率いる興羽連合軍に敗れると、東西両軍の諸将にとって、政宗は、とてつもない脅威となった。奥羽連合軍の勢力は、新たな領地を加えると五百万石!秀吉でさえその領地は二百万石であった。秀頼を囲む寄り合い所帯のなかからさまざまな思惑が噴出。徳川の残党や、石田三成をはじめとする旧西軍の諸将の間では、密かに政宗追い落とし策が進行していった!謀略を察知した政宗は、急遽、難攻不落といわれる越後の春日山城攻撃に乗り出すが…。
火星探査機ヴァイキング1号が撮影した写真に、人間の顔そっくりの形をした岩が写っていた!火星に知的生命体の存在を示すもう一つの「証拠」-人面岩に隠された謎。
征夷大将軍となった政宗は、尾張の地に新城を築くなど、着々と幕府の体制を固めつつあったが、毛利、島津をはじめとして、政宗に抵抗する者も少なくなかった。なかでも肥後のキリシタン大名・小西行長は密かに伴天連を集め、政宗追い落としを画策していた。伴天連たちは、キリスト教の伝道師であると同時に、母国・スペイン、ポルトガルの植民地政策の先兵でもあったのだ!国内のみならず外国列強からの圧力が、容赦なく政宗に襲いかかる!肥後に飛ぶ伊達藩の陰の軍団・黒脛巾組!伊達幕府に、にわかに暗雲が巻き起こった。
三国志の群雄の中から、蜀の長槍使いの豪傑趙雲、呉の社稷を支えた豪雄陸遜、魏の知謀の戦略家荀〓@4DA2@、孔明の知遇を得て大奮闘した馬超の四人の一生を描きつくす力作。
フランス19世紀は革命と戦争と民衆によって特徴づけられ、それゆえ歴史小説の黄金時代でもあった。バルザック、デュマ、フロベール、ゾラなどの傑作群、さらには20世紀のプルースト、ユルスナールまで含めて、歴史と物語のエクリチュールのせめぎあいのなかに、作品が当時の社会的想像力と切り結んだ説話空間を鮮かに開示する。
慶応三年(一八六七年)十一月十五日、坂本龍馬、暗殺者の凶刃を逃れる!十津川藩士を騙る暴漢三人が、近江屋の二階を急襲!龍馬は、とっさに高杉晋作から譲り受けたピストルで彼らを撃退、九死に一生を得た。土佐藩邸に身を移した龍馬は、討幕でなく廃幕による転換をめざして、陸奥宗光とともに精力的に動きだすが、挙兵討幕の動きは風雲急を告げていた。長州に次ぎ薩摩の西郷隆盛も武力討幕へと傾いて…。さまざまな陰謀と策略の乱れ飛ぶ維新の嵐のなか、幕府が、西郷が、さらに諸外国までもが龍馬の行く手を阻む!龍馬の想い描いた明治とは何だったのか。