邪恋に狂って盟約をやぶり、寝返って足利方へ加担する赤松則祐。ために又も京都を捨て再挙をはかる正儀の孤忠と苦悶。直冬と倫姫と敷妙と、一万の援軍を乗せた唐土屋の大船団は一体どこへ。第2回直木賞受賞作品。
「阿部一族」や「興津弥五右衛門の遺書」など鴎外の歴史小説は原史料に忠実な形でつづられている。著者は作品と史料との間のズレに注目して、鴎外の創作意図を探り、鴎外の歴史小説は、権力と個我との対立の問題と、新しい救済の思想としての献身の倫理を、歴史の中に検証しようとする営みであったと主張する。
昭和八年、乱歩は極度のスランプに陥っていた。休筆期間は実に一年以上。この時期を境に、猟奇の極みを尽くした作品から、少年向けの明るい作品へと大きく作風を変えていく。その背景にはある驚くべき出来事があった!乱歩と坂本竜馬の意外な関係、そして乱歩が知った竜馬暗殺の真犯人とはー。SF界の鬼才が歴史的事実を大胆に解釈、乱歩・生涯の謎に迫る。
『高瀬舟』『興津弥五右衛門の遺書』『佐橋甚五郎』と史実とのかかわりを、豊富な資料と史跡踏査に基づいて説き明かした、著者渾身の鴎外研究書。
唯一の支柱と頼る准皇親房卿の薨去にあって彫心鏤骨の工作も空しく、悲境のどん底になお南北朝合一をめざし、倦まずめぐらす正儀の秘謀。自責悶々、乱心狂気する足利尊氏。凄愴乱離の大団円。第2回直木賞受賞作品。
本邦初のドイツ歴史小説論。十九世紀初頭の歴史小説の成立から、シュティフター、マイヤー、フォンターネ、ラーベ、ブレヒト…とつづく作品群を解説した。さらにバルザック級と評されるアレクシスの祖国小説の再評価、デーブリーンがスパルタクス団の一揆の挫折を壮大なスケールで描いた「ドイツ革命」の小説を紹介している。
本書は、愛知工業大学の「ものづくり文化」という複合科目の講義のために、基本的な考え方を確認するためのものである。
織田信長が天下統一に向け邁進し始めた頃、能登の長谷川久六(等伯)は京を目指した。絵師として大望を抱く彼は、当時、画業隆盛を誇る狩野永徳に競争心を持つ。千宗易や前内大臣九条稙通らの後楯を得て、画技に磨きをかける久六。やがて、長男の久蔵も天稟の画才を発揮しだした。久六父子の台頭に永徳の異母弟は、一門の凋落を予見、どす黒い陰謀をめぐらす。
明智光秀の謀叛により信長が憤死。狩野一門総力で描く安土城の障屏絵は灰燼に帰した。父等伯を凌駕するほどに成長した久蔵に較べ、永徳の嫡男・光信は、未だ一門を統べる器にはない。実力拮抗する長谷川派と狩野派だが、天下人となった秀吉は、大阪城、聚楽第の障屏絵を永徳に命じた。無念の等伯は己の夢を久蔵に託すが、またもや狩野の意をくむ魔手が…。
21世紀初頭、ニューヨークを襲った9・11テロ事件以来、米国は圧倒的な軍事力を背景に、「悪の枢軸」ともくされ反米の立場を取る国々に対する粛清を開始した。北朝鮮を包囲するために、米海軍第7艦隊との共同作戦をとる海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」に乗艦した島和武3等陸尉、大賀剛一1曹ら180名余の「朝鮮有事派遣部隊」は陸上自衛隊誕生以来初めての海外派兵の途上にあった。本書は29年前に空前の大ヒット作となった『戦国自衛隊』の待望の続編である。
明末清初の動乱の時代、翻弄されつつも信念を生き抜く将軍と絶世の美女。その波乱の人生を綴る壮大な歴史ロマン誕生。
200X年、米朝関係緊張下に組織された「朝鮮有事派遣部隊」は、史上初の海外派兵途上でタイムスリップし、400年前の敦賀に漂着。時は戦国末期の関ヶ原合戦前夜、そこには彼らの知る正史とは微妙に異なる世界が展開していた。戦国大名・大谷吉継の庇護を受けることとなった100名余の自衛官らは、自らの生き残りを図るため西軍につき、石田三成らと命運を共にする決意をするが…。
坂本龍馬、暗殺者の凶刃を逃れる!九死に一生を得た龍馬は、廃幕による改革を目指し、陸奥宗光とともに精力的に動き始める。が、討幕の気運は諸藩に広がっていた。長州に続き、薩摩の西郷隆盛も武力討幕へ傾いていく。さらに諸外国までもが、龍馬の志を阻もうと…。龍馬が生きて明治を迎えたら日本はどうなったか。大胆な発想で描くもう一つの歴史物語。