歴史学に精神分析的手法を導入し文化の読み直しを進める歴史家P・ゲイ。本書は、文学作品、とくに小説における叙述のあり方を論じることを通して、文学が歴史をどこまで描けるのか、歴史を描く方法はいかにあるべきかを真正面から論じた刺激的考察。文学技法、社会史、伝記、精神分析等の観点を綜合しつつ数多くのリアリズム作品を読み解き、ディケンズ、フロベール、マンの作品がなぜ歴史の捉え方において、また文学的叙述において優れているのかを明らかに。歴史実証主義とは異なる歴史叙述のありかた、意義を積極的に評価する一方で、歴史の復元という考え方を批判する近年のポストモダン的方法を厳しく批判。「典型」を描くことによって、文学にも歴史を叙述することが可能になるとする自らの方法を提示する。リアリズム小説や歴史小説、評伝などの意味を歴史学の立場から取り上げ、歴史叙述の多様な可能性を論じる優れた問題提起の書。
戦国時代、命懸けの戦場で武士たちはどのように戦ったのか。武器・武具・旗差物のいろいろから、鎧を着ての斬り合い、騎馬武者同士の組討ち、鉄砲戦、槍隊の遭遇戦、船戦さ、女武者、切腹・首実検の作法まで。誤解されてきた武士たちの戦いの実態を、正確な考証とリアルな絵で再現したビジュアル歴史読本。
長屋王発願の写経に携わった下級官吏東人は、長屋王の付した跋文に秘かな危惧を抱く。やがて、身分の壁に出世の望みも絶たれた彼の前に、予期せぬ運命が。一方、天武天皇の皇子新田部は死の床で長屋王の変を回想していた。生涯一度の一族繁栄の好機を逃したことを後悔しつつ…。権勢をほしいままにした長屋王を自尽に追い込んだ真相とは?奈良朝最大の謎に迫る。
越中と能登を手中に収め、加賀で信長軍を撃破した上杉謙信は、天正六年三月、信長と雌雄を決するべく、出陣の準備を進めていた。しかし、配下の「草ノ者」は、春日山城下の不穏な動きを嗅ぎつけていた。謙信の命を狙うのは武田方か?織田方か?暗殺指令を出した意外な人物とは!?陰謀渦巻く戦国の闇に隠された、壮絶な調略戦を描く、歴史推理小説渾身作。
太閤秀吉の死後、関ヶ原の戦いを経て政権は豊臣から徳川へ。家康の孫娘・千姫は七歳で秀頼に輿入れした。政略結婚とはいえ両家の和睦に心を砕く千姫。だが、大坂の陣で秀頼と淀殿は自刃し、豊臣家は滅亡する。その後、千姫は本多忠刻に再嫁し、束の間の幸せな日々を送っていたが…。晩年、俗世との縁を絶つ。時代の狭間で運命に翻弄され続けた一女性を活写。
源義経、大石内蔵助、近藤勇ら、歴史上の人物、時代劇のヒーローたちの使う剣術の流派を知っていますか?本書は“古”の武術・剣術にはどのような種類があるのか、美麗イラストで臨場感たっぷりに解説。
キャリア約20年、著作300冊以上の著者が、作家になるためのマル秘策を大公開。
本書は江戸時代のおもに江戸を舞台にした時代小説に出てくる用語をテーマ、項目ごとに解説したものである。
中国・新選組・見栄っ張り東京人。自作・男気・愛国心…。浅田次郎はじめての対談集。名匠・浅田次郎のこれまでの人生、小説、そして歴史と世の中の動きを、大きく細かく掘り下げる、魅力のエッセンス。ファン待望の一冊ついに登場。
「漢文の達人」さらには「人生の達人」をめざし、代々木ゼミナールの超人気講師がとっても分かりやすく解説。中国という異文化が身近になってくる。
200X年、米朝関係緊張下に組織された「朝鮮有事派遣部隊」は、史上初の海外派兵途上でタイムスリップし、400年前の敦賀に漂着。100余名の自衛官らは島和武の指揮のもと戦国大名・大谷吉継と共に、自らの生き残りを図るために関ヶ原の合戦に参戦するが、そこには自衛隊と同時にタイムスリップし、東軍・徳川家康側に味方する米軍がいた。壮絶なる白兵戦で形勢不利となった西軍・島津義弘は生き残った自衛官らと共に関ヶ原を脱出するが…。
現在の自動車レースにつながる世界最初のレースを、レーサーや自動車業界の人々、マスコミに関わった人々を生き生きと克明によみがえらせる。実際に、著者が舞台となる、その当時のレースコースを試走して描いたモーターリングヒストリーノベル(自動車レース歴史小説)。レースを成功させようとするプロモーターの苦悩、実際に走るレーサーにふりかかる、思わぬハプニング。それを報道するマスコミの取り組みなど、現在のレースの縮図がここに描かれている。
誕生して間もない自動車メーカーに歓喜の美酒が!はるか昔のこのレースが現在につながり、グランプリ・レース、オートバイのTTレース、アメリカのワンダービルト・カップの誕生へ…。
名古屋コーチンをつくったサムライ兄弟、瀬戸を蘇らせた磁祖・民吉、名古屋を維新の戦火から救った十四代藩主慶勝、通し矢で天下一となりながら夢を果たせなかった挙母藩士、新聞王・衆議院議長を産んだ、黎明期の中京言論界…等々をつづった歴史小説の第一弾。
幼名猿千代。ただ一度だけ対面した父利家に“眼の内はよろし”と誉められ、兄利長の継嗣となる。利光を名乗り、わずか十三歳で海内随一の大大名加賀百万石を継いだ。その後、大坂の役では先鋒として出陣、家康の孫松平忠直と戦功を競う。前田家取りつぶしを画策する徳川方の陰謀に、股肱の臣の富田重政・重康父子の協力を得て、危難を脱するが…。
豊臣恩顧の福島政則、加藤忠広らの改易が続くなか、利常は英知を駆使して前田家の安泰を目指す。武威の徳川に対し、“文化立国”で挑戦する利常。諸国から一流の職工、芸術化を招き、金沢城下に絢爛豪華な百万石文化を築く。辰巳用水の掘削、“改作法”など、善政を敷いた名君の実像を『前田利家』『前田太平記』の著者が渾身の筆致で描く、長編歴史大作。
秀吉の愛妾となった茶々は、山城国淀城をあてがわれ「淀どの」と呼ばれた。そして天下人の世嗣・秀頼を産んだことから事態は急変。一度は関白職を甥に秀次に譲った秀吉だが、それを剥奪、秀頼を溺愛する。豊家の名をかりて家系復活を望む茶茶は驕慢になる。やがて滅びへの道を歩み出すと、知られてはならない秘密が…(表題作)。戦国に生きた女たちの悲劇。