中国・明からの使節を迎え沸き立つ17世紀初頭の沖縄・琉球王国。だが、この国の平和は幕府を後ろ盾にした薩摩によって侵されつつあった。侵攻に膝を屈するか?独立をかけて抵抗するか?そして宗主国・明は助けてくれるのか?生き残りへ向けて琉球の闘いが始まる。沖縄、激動の時代を描く大河歴史小説。
怒涛の勢いで侵攻してきた薩摩軍に琉球軍はわずかひと月で降伏。奄美諸島は薩摩に割譲され、尚寧王は日本本土へと連れ去られる。属国へと堕ちながらも、明に対しては独立国の体面を見せねばならない王国の苦悩。しかし琉球の誇りを胸に秘め、「南海王国」建設へ人々の胎動が始まる。大河歴史小説、完結編。
刀剣。それは古来、日本人の魂であった。美しく、妖しいその魅力は時に人を助け、また時にはその心を狂わせてきたー。持ち主を守る時にだけ斬れる刀をめぐる感動の時代ファンタジー「騒ぐ刀」(宮部みゆき)などを収録。八人の名手と八振の名刀が紡ぐ、至高の時代小説短編集。
江戸時代の初期から、各藩で発生したさまざまな「お家騒動」。原因となったのは、金銭をめぐる対立や父子の不和、家臣による派閥争いなど、現代に通じるものばかりだった。島津、伊達、黒田、加賀、秋田、越前で起きた各騒動の真相を、説得力あふれる筆致で描き出す。人間の本質に迫る、海音寺史伝文学の真骨頂。
お家騒動の原因は、継嗣問題そのものよりも、党派の抗争、主人と家老の抗争、新進の権力者と門閥重臣の抗争などであったー。越後、仙石、生駒、桧山、宇都宮、阿波。各藩内の諍いを、史実と知見を結集して鮮やかに再現する。著者独自の解釈も随所に展開し、武士の気質を浮き彫りにした史伝文学の名作。
入門者からマニアまでレコード愛好者は必読【特集】 70年代プログレッシヴ・ロックの叙情性
1960年代末のまだまだ混沌としていた英国ロック・シーンから、クラシックやフォーク、ジャズなどに影響を受け、叙情と先鋭性が交錯する表現を模索しながら自らの音楽性を確立したグループが出てきます。ムーディー・ブルース、キング・クリムゾン、ジェネシスといった代表的なバンドの影響は他のヨーロッパの国々や南米などにも及び、70年代前半には大きなムーヴメントになります。今回は、そんなプログレッシヴ・ロックの人気の中核にある叙情的な音楽性に注目してみましょう。
■ ロックの進化がもたらした叙情の深化(坂本理)
■ 菊田裕樹インタヴュー〜稀代のゲーム音楽作家がプログレから受けた感動と衝撃について語る(立川芳雄)
■ たかみひろしインタヴュー〜歴史的なシリーズ“ユーロピアン・ロック・コレクション”の企画/監修者に聞く(小山哲人)
■ 小説執筆の原動力となった叙情的な名盤たち(伊東潤)
■ 70年代プログレッシヴ・ロックの叙情性を知るための234枚(選=坂本理/文=赤岩和美、石川真一、植村和紀、大鷹俊一、大平博基、岡田敏一、奥村裕司、金澤寿和、後藤幸浩、小山哲人、坂本理、白谷潔弘、祖父尼淳、武田昭彦、立川芳雄、藤崎登、舩曳将仁、松井巧、山岸伸一)
■ My Generation, My Music on SHM-CD<プログレッシヴ・ロック編>(犬伏功)
【特集】 キャメル
1975年の『スノー・グース(白雁)』で、世界的な注目を集めたキャメル。小説を題材にしたコンセプト・アルバムという画期的手法と叙情性に満ちたそのサウンドは日本人の心の琴線をも大いに刺激し、大ヒット作となりました。先月号のアンドリュー・ラティマー・インタヴューに引き続きお送りする特集で、16年ぶり6度目となる来日公演の予習は完璧です!
■ ロマンティックな音楽性とコンセプト重視の作風で一世を風靡したバンドの歩み(片山伸)
■ キャメル・ディスコグラフィー
オリジナル・アルバム(片山伸)
拡大版CD解説(片山伸)
オフィシャル・キャメル・ブートレグ(片山伸)
映像作品(赤岩和美)
ほか
伊達勢大軍による味方討ちで、神保隊三百余名は全滅。伊達の権勢に遠慮した家康側は、事件を闇に葬る。真相を知り、娘婿神保長三郎の無念を思うお勝は、ひそかに一計を案じて洛中の街頭に立つー武士の悲哀を描きつづけた時代小説の名手が、大坂夏の陣を題材に豊臣・徳川の交代劇を活写した傑作歴史小説集。
英語の学習は趣味にしてしまおう!本へのアプローチ方法と読み方の基本から英語の文化、ジャンル別小説の読み方とおすすめ本まで。楽しみながら英語力を身につけよう。
福岡黒田藩の要職を歴任し、いまは隠居の身の十時半睡だが、藩の生き字引として人望と尊敬を集め、藩士たちのさまざまなもめ事の相談が持ち込まれる。珍貴な刀の鐔収集に狂奔する武士たち、酒乱夫と“人形妻”の騒動など、泰平の武士の人間くさい珍事雑事を半睡が見事に裁く。大いなる共感を呼ぶ時代小説の傑作。
将軍家と縁続きである“葵の若”こと勝田慎之助は、直心影流小太刀の遣い手ながら、父の死により寺の住職となっていた。が、突然、「上様をお守りせよ」との予期せぬ命を拝する事態にー。諸藩をも巻き込み、将軍の座を狙う御三卿の田安宗武と一橋宗尹。“公人朝夕人”の後見人となった慎之助は御側御用取次の大岡忠光、九代家重を陰で警固する葛西衆らとともに天下の大乱を防げるのか!?
名同心の父をもつ植草平助は、もらい泣きをするほど人が良いが、立身出世に興味なく、とにかく厄介事は御免蒙りたい、一風変わった定町廻りの見習い同心。なんとしても手柄を立てさせ、ゆるい主人を小馬鹿にする同僚どもを見返したいと機をうかがう小者の佐吉におだてられつつ、今日も市中見廻りならぬ、寄席廻りに精を出す。そんなふたりに、ある日とうとう不思議な殺しが降りかかり…。
日本は自然災害列島です。天候異変の大飢饉に襲われた天明・天保時代はとても悲惨でした。信濃のあづみ野は荒れた山野でした。資金も、土木技術もない農民たちが手を取り、巨大な農水路「拾ケ堰」などを開削し、日本随一の緑豊かな田園地帯に変えました。そのうえ、米不足で苦しむ飛騨国へ、あづみ野から常念山脈、上高地を経由し、飛騨山脈の2座を越えた「米の道」をつくりました。幕藩体制の枠組みが敵になり味方になり、数十年の歳月を要しました。若い男女の恋、夫婦愛、郷土愛、山岳信仰など人間愛に満ちた、こころに響く作品です。
松江藩のお種人参から雲州人参へー松江藩の薬用人参栽培の礎を築いた小村新蔵・茂重父子がモデルの歴史小説。栽培に情熱をかけた姿を家族愛とともに描く。石見銀山ー尾紅間歩ー石見銀山の間歩(坑道)を苦労の末、開発した尾紅孫右衛門。非業な最期を遂げる。石見銀山ー須佐高櫓城と銀山山吹城ー銀山争奪戦で焼け落ちる高櫓城。虎三郎の目に涙が止めどなく流れる。石見銀山ー釜屋間歩と大久保間歩ー銀の大鉱脈を掘り当てた山師安原伝兵衛と銀山奉行大久保長安の物語。
邦画、洋画の紹介、批評など映画の総合誌SPECIAL ISSUE
スタジオジブリの30年 〜名作を支えた想像力〜
「風の谷のナウシカ」(84)の成功によって正式に発足したスタジオジブリ。 そのスタジオジブリによる第一作「天空の城ラピュタ」(86)が公開されてから今年で30年。
高畑勲、宮崎駿というふたりの天才を擁し、数々の“国民映画”を生み出してきたモンスター・スタジオの動力源となってきたものは何だったのだろう?
緻密な仕事で長年にわたり“両巨匠”と歩んだ色彩設計・保田道世が語る、ジブリの制作現場にこもる「熱」。ナウシカ役によって初期の宮崎映画のヒロイン像を決定づけた声優・島本須美が語る、ジブリへの「想い」。
ジブリ映画を支え続けた徳山雅也ら宣伝スタッフによる「試行錯誤」。ジブリの顔とも言える名プロデューサー・鈴木敏夫が語る、ジブリの「これまで」と「これから」……。
歴史の証人へのインタビュー満載で、スタジオジブリの「30年」を言祝ぐ。
SPECIAL GRAVURE
池松壮亮×菅田将暉 「セトウツミ」
野村周平×賀来賢人 「森山中教習所」
SECOND ISSUE
ヌーヴェル・ヴァーグのたそがれ
対談:野崎歓×中条省平 インタビュー アンドレ・S・ラバルト/マリー・リヴィエール、 マリエンヌ・ドニクール、ミア=ハンセン・ラブ、ミカエル・エルス
対談 是枝裕和[監督]×小川洋子[小説家]
OTHER CONTENTS
地球はアレンで回ってる?「教授のおかしな妄想殺人」
「アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅」
REGULAR CONTENTS
大高宏雄/立川志らく/川本三郎/滝本誠/斎藤環/浦崎浩實/鬼塚大輔/成田陽子
秋本鉄次/掛尾良夫/渡部実/増當竜也/賀来タクト/切通理作/加藤武+市川安紀
信長が安土城に安置していた「盆山」の真の役割を知る織田信雄。六十余度の戦いで不敗を誇る肥後の智将・甲斐宗運。関ヶ原合戦直前、伏見城で西軍に寡兵で臨んだ徳川の猛将・鳥居元忠。家康の懐刀として暗躍した、武人にして豪商の茶屋四郎次郎。今川、武田・上杉の圧力に智恵と胆力で対抗する北条氏康。賎ヶ岳七本槍の一人として大名となった片桐且元…。大注目の作家陣が知られざる戦国史を描く豪華アンソロジー!
ていねいに暮らし生活を楽しむあなたに■特集
気軽に夏そうじ さっぱりをキープする毎日の実践
・台所がいつも清潔なワケ 井上めぐみさん
・生ごみ・排水口のにおい、原因と対策 中川亞紀子
・フローリングのべたつきゼロ 村山みどりさん
■平和特集
対談 歴史を見る目を育てる 井出孫六/三沢亜紀
・若い世代の声 まず変わるべきは自分 -- 市民のシンクタンクReDEMOS 本間信和
・未来の余白から 核なき世界へ 最上敏樹
・心の躍動を撮る 芥川 仁と熊本の高校生の写真教室
・写真という問いに導かれて 写真家・芥川 仁
・羽仁もと子著作集 四通八達の家
・今日のいのり「私も、学校に行くのやめよう」 塩谷直也
・人と地球の経済学 選んで終わりではなく 中村秀明
・わたしの・すきな・もの サンショウ 福岡伸一
■暮らし
・[料理]夏のパスタ&さわやかサラダ 座波慈子
・[もっと料理上手に]粉ゼラチンでゼリーをマスター 本谷惠津子
・[ちょっとひとつみハーブとなっぱ]ミント(ハッカ類) 庄野幸子
・[家計]3人家族 暮らしの見直しで生活費20万円の家計
・[家計簿をつけ通す同盟]自動車費
・[健康往来]気づきにくい緑内障 富所敦男
・癒しの□タッピングタッチ□ 中田利恵
■親と子の生活
・[絵本]ねこの こふじさん 文・山本和子 絵・石川えりこ 読みもの
・こころの深呼吸 空と風と空間と 海原純子
・今日、なに着ていこう スカーフはともだち ひびのこづえ
・小説 時空案内人 第2部<カナ流譚>最終回 中上 紀
・Book Review 犬の視点で歴史を見たら 松村由利子
・cinema-女と男 あのころ、アメリカで 松本侑壬子
・photo旅ゆく先に アジサシと遊ぶ 亀村俊二
■口絵
・行きかうところ マンザカンディアナ駅(マダガスカル) 堀内 孝
・私のゆっくりな日 不意のおとずれ 内山 節
・生活歌集 小島ゆかり
・生活句集 山西雅子
・自由学園だより 高橋和也
・友の会ニュース 帯広/南関東部
・十三浜わかめクラブ通信
・f-tomoひろば
・バックナンバー
・9月号予告
・編集室日記
なによりも無粋を嫌う、風流大名の姫路藩主榊原政岑の楽しみは、身請けした吉原の高尾太夫ー今ではしずやと名を改めた恋人との、ふたりきりでの散策だ。今日も浴衣姿で愉しんでいると、遊女の総角と、札差を営む大口屋の長男清太郎とが心中したという瓦版売りの声が聞こえてきた。しずやが禿時代に世話になった総角にいったい何が起きたのか?事情を知りたい政岑としずやは…。