信長死すー。覇王のあとを継ぐのは誰か。攻める秀吉、堪える勝家、迷う利家。武将たちの熱い戦国歴史群像。
江戸時代、薬屋ながら副業として公事(裁判)の相談に乗る時次郎。そこそこ儲かってはいるが、高い書物を買うので余裕はあまりない。その事と子作りに熱心でない事を恋女房からは責められ通しだ。おまけに持ち込まれるもめ事は、一筋縄ではいかないものばかり。不貞を働いたとして殺された夫の潔白を証明したいと言われたり、破産したのに財産を隠していた相手から金を取り戻したいなどなど。さて、次はどんな厄介な事件が舞い込んでくるのやら?-。
死に場所と決めた大坂の陣を真田幸村はいかに生きたか。武将として、父として、愛する女を思いやる男として。幸村を新たな視点で描き出す。合戦小説の精華。
時は戦国真っ只中の1555年。甲斐の虎・武田晴信(信玄)と越後の龍・長尾景虎(上杉謙信)が北信濃の覇権を巡り、川中島で相対していた。世に名高い、第二次川中島の戦いである。名将が激突したその戦いは、実は一人の惡名高い忍者によって仕組まれていたのだった。その漢の名は加藤段蔵!信じるのは己のみー。名だたる武将を次々と誑かし、意のままに操る姿は正に惡忍。緻密な構成と豊かな物語性で、魅力溢れる人物たちが縦横無尽に活躍する痛快歴史小説。
時は戦国末期ー。みちのくの大地から隻眼で天下を見つめる十九歳の若者がいた。伊達家当主、政宗である。下剋上の世にあって馴れ合う奥羽大名の慣習を打ち破り攻めに出た政宗だったが、畠山氏に裏切られ、父・輝宗を喪う。悲しみを乗り越え、怒涛の勢いで奥州制覇に動き出す政宗。一方、上方では豊臣秀吉が天下統一に向けて奥羽にも手を伸ばそうとしていた。
正宗白鳥が書いた信長は、はたして名将か否か。林芙美子は秀吉にいかなる評価を下すのか。円地文子の筆は上田秋成をどう描き、はたまた安吾は蝮の道三といかに対峙したのかー二十世紀を代表する小説家二十七人が、自らが立つ場所を見捉え、日本とは、そして日本人とはなにかという命題に挑んだ答えがここにある。歴史時代小説史に輝く名作傑作短篇が一堂に会するアンソロジー。
奥州の葛西・大崎一揆を扇動した疑いで秀吉の勘気を被った伊達政宗だったが、死装束をまとい一世一代の演技で危機を乗り越えた。だがその後、盤石と思われた豊臣政権に、朝鮮出兵の失敗や跡継ぎ問題など陰りが見え始める。政宗はその隙をつき、関白秀次と急接近するが…。天下の趨勢を臥したる竜のごとく睨みながら野心を持ち続けた男の苛烈な生涯。長編歴史小説。
芸州広島藩を知らずして、幕末史を語るべからず。150年間封印されてきた歴史の謎がよみがえる。英雄・高間省三は二十歳にして死す。
お家騒動の原因は、継嗣問題そのものよりも、党派の抗争、主人と家老の抗争、新進の権力者と門閥重臣の抗争などであったー。越後、仙石、生駒、桧山、宇都宮、阿波。各藩内の諍いを、史実と知見を結集して鮮やかに再現する。著者独自の解釈も随所に展開し、武士の気質を浮き彫りにした史伝文学の名作。
2021年に日本で刊行された歴史・時代小説755冊のテーマ・ジャンル・歴史上の人物索引。テーマ展示や選書、レファレンスなど用途に合わせて歴史・時代小説が選べる図書館のレファレンスツール。
江戸時代の初期から、各藩で発生したさまざまな「お家騒動」。原因となったのは、金銭をめぐる対立や父子の不和、家臣による派閥争いなど、現代に通じるものばかりだった。島津、伊達、黒田、加賀、秋田、越前で起きた各騒動の真相を、説得力あふれる筆致で描き出す。人間の本質に迫る、海音寺史伝文学の真骨頂。
ネタバレまったくOKの超すぐれもの、オールタイム全100人100作完全ガイド。歴史・時代小説の中のあらゆるジャンルを味わい尽くす。第一人者の一押しがズラリ!
信長の麾下として各地を転戦する常滑城主・水野監物。彼は、常滑のやきものによって得た財力を背景に、茶匠武野紹鴎や連歌師里村紹巴と懇意になった。だが突然、信長は自領瀬戸のやきものを保護するために禁窯令を発令。監物を悲劇に導く。やがて本能寺の変が起こり、天下は騒乱。監物の下す決断が…。戦国に生きた人々の様々な感情と生き方を活写。歴史長編。
幼名猿千代。ただ一度だけ対面した父利家に“眼の内はよろし”と誉められ、兄利長の継嗣となる。利光を名乗り、わずか十三歳で海内随一の大大名加賀百万石を継いだ。その後、大坂の役では先鋒として出陣、家康の孫松平忠直と戦功を競う。前田家取りつぶしを画策する徳川方の陰謀に、股肱の臣の富田重政・重康父子の協力を得て、危難を脱するが…。
六世紀初頭、南北朝時代の中国。北朝・魏は、建国して間もない南朝・梁への侵攻の機会を窺っていた。梁側では、その軍事的天才により王の信頼篤い弱冠二十三歳の将軍、陳慶之が魏の来攻に対する備えを固める。ついに、国境を流れる淮河の畔、鐘離の地に中山王・元英率いる魏軍八十万が押し寄せてきた。対する梁軍は三十万。果たして陳慶之と梁軍は、圧倒的な大軍を撃退できるのか?騎兵と水軍を駆使した雄大なスケールの戦闘、両軍の智将・猛将の超人的な活躍に、戦の陰に散った男装の麗人の悲恋をからめて、中国史上屈指の大戦“鐘離の戦い”を描き切った、著者会心の傑作歴史小説-ノン・ノベル創刊25周年記念特別書下ろし。