足利尊氏は、武士の時代の潮流に乗って、「天皇」を戴きながら実権を握った。その結果、天皇が同時に二人在位するという日本史上未曾有の南北朝時代を出現させ、その影は戦国時代や近代史にまで及ぶ。彼は、鎌倉幕府の「後醍醐天皇に加担する楠木正成を討伐せよ」との命令を受けて京都へ出陣するが、一方では天皇から幕府討伐の命令を受けていた…。
なぜ、広い世界に目を向けようとしないのか?-米国総領事ハリスの嘆きは、同時に井伊直弼の嘆きでもあった。もはや世界の趨勢を止めることはできない。徒らに攘夷を叫ぶことは、日本国自体を滅亡させることだった…。腹臣長野主膳、それに直弼の密偵として、また生涯を賭して愛を捧げたたか女を配し、維新前夜に生きた直弼の波瀾の生涯を描く、不朽の名作。
弘治三年、信長と尾張の豪族の娘・吉乃の間に奇妙(信忠)が生まれた。奇妙十一歳の時、信玄の娘・松姫と婚約が成立する。戦国の世の習いで、政略婚と知りながら会見した二人は、即座に相惹かれあった。だが、三方原の合戦で信長が家康を扶けたために、織田と武田は絶縁。さらに信玄の死で、愛し合う二人は…。著者が渾身の筆致で書き下ろす、戦国悲恋物語。
小説宝石 2022年1・2月合併号
●短編競作
『お探し物は図書室まで』で2021年「本屋大賞」第2位の著者、新シリーズスタート!
青山美智子 小さな公園の古びたカバの遊具が起こす優しい奇跡
中島たい子 ゴミ屋敷の住人がお悩み解決!
高知東生 壮絶な人間関係と慟哭●時代・歴史短編特集
木下昌輝 辻堂魁 今村翔吾 佐々木 矢野隆
●エッセイ新連載森泉岳土(たけひと) 「ぼくの大林宣彦クロニクル」
孤高の漫画家で故・大林宣彦監督の義理の息子が描く「義父との交流」
●最強執筆陣ーー読みたい世界と、必ず出会えるミステリー&サスペンス
赤川次郎 大沢在昌 今野 敏 小路幸也 楡周平
時代・歴史小説
あさのあつこ 岩井三四二 上田秀人 澤田瞳子 現代・人間ドラマ
伊 有喜 藤井太洋
●今を知る。先を読むーー充実のエッセイ・エンタテインメント
伊藤比呂美 内山安雄 大竹 聡 亀和田武 作家 超サバイバル術! 小出和代 月見文哉
伝説・逸話で知られる人物が登場する歴史時代小説のブックガイド。日本の歴史上実在し、伝説や逸話が残されている人物が登場する歴史小説・時代小説を人物ごとに紹介。幕末・維新期までの人物374名、戦後刊行された図書のべ3,857点を収録。要旨や登場する短編作品名も記載。巻末に「時代別人名一覧」「著者名索引」付き。
テーマ・ジャンル・歴史上の人物から探せる歴史・時代小説索引。2019年に日本で刊行された845冊を収録。
われこそは龍馬暗殺の下手人の遺族と名乗る老女、家康の六男の見果てぬ夢、堺事件…虚実のあわいを往き来するもよし、人情に涙するもよし。二十世紀を代表する小説家二十七人が、日本人の心の奥に眠る遠い記憶を探る。われわれは何処から来て、何処へ行くのかー眠狂四郎、鬼平といったおなじみのヒーローのほか、歴史時代小説史を彩る名作傑作短篇が一堂に会するアンソロジー。
テーマ・ジャンル・歴史上の人物から探せる歴史・時代小説索引。2018年に日本で刊行された832冊を収録。テーマ展示や選書、レファレンスなど用途に合わせて歴史・時代小説が選べる図書館のレファレンスツール!
主君・徳川義直に新陰流第四世を継がせて隠居した兵庫助は、愛妻の千世や四人の子供に囲まれて心静かに暮らしていた。ただ剣の道のみを求める恵まれた境遇を得たのも束の間、千世が病に倒れ、帰らぬ人となる。悲嘆に襲われた兵庫助は西国へと旅立つ。久しぶりの京で待っていたのは、美しく成長した島左近の娘・珠だった。傑作長編時代小説第九弾。
史実と虚構が判別できる!?ゲーテも絶賛したというマンゾーニの『婚約者』。語り手が用いる2種類の「我々」や引用技法の分析から、独特の“語り”の仕掛けに迫る。
回国修行より帰郷した柳生兵介(兵庫助)は、晴れて新陰流三世を継ぐ。さらなる高みを求めて薙刀の名手に弟子入りし、恋人千世への愛欲に悩みつつ稽古に励む兵介に、祖父石舟斎が倒れたとの報せがもたらされる。折しも反目する忍び衆が柳生館に猛攻を仕掛けてきた。愛する者と新陰流の誇りを守るため、兵介は再び立ち上がる。傑作長編時代小説第四弾。
徳川勢や米軍機ハリアーの猛攻を耐え抜いた夏の陣。一旦は朝廷の仲介で停戦となるが、秀忠は大坂方への再攻撃を画策。一方、武器・弾薬調達のため敦賀半島に向かった朽木らは、戦術核を手土産に米軍と同盟を試みる三ツ瀬らに捕らわれる。米軍の裏切りで村が空爆され、それを逃れた朽木は、小船にイソップを積み込みエセックスに接近、若狭湾に爆音と閃光が炸裂した。残弾千発ながらも自衛隊は徹底抗戦を決意する。
天正元年(1573年)。吹き荒れる一向一揆衆弾圧のため、信長軍が越前に侵攻する。信仰の名のもと、戦に駆り出され、命を落としていく数多の罪なき民。蹂躙され尽くす、のどかだった村々。何処からか流れ着いた少女は起ち上がる。大切な仲間たちを守るため、封印された己のおぞましい過去に立ち向かうためにー。
明末清初の動乱の時代、翻弄されつつも信念を生き抜く将軍と絶世の美女。その波乱の人生を綴る壮大な歴史ロマン誕生。
戊辰戦争の賊軍、会津藩家老の孫・山川捨松は、かつての宿敵だった薩摩閥の陸軍卿・大山巌と結婚した。鹿鳴館の名花といわれ、共に留学経験のある大山との仲は睦まじかった。だが、先妻の子供たちから受け入れられず、家庭内では苦悩の日々を送ることにー。明治のベストセラー小説『不如帰』のモデルで、先妻の娘を苛め抜いた継母といわれた捨松の実相に迫る。
豊臣秀吉に軍師として仕え、後世、“秀吉に天下を獲らせた男”と称される黒田官兵衛孝高、号して如水ー。播州の大名・小寺家の家老であった当時、いち早く織田信長の才を買っていた彼は、領内を毛利より織田に臣従すべしとの方針でまとめ、自ら使者として岐阜へ赴く。そして、信長謁見の前に仲介を願ったのが、羽柴秀吉であった。初対面で意気投合した二人は、以降、主君と参謀という関係で随伴することになる。だが、摂津の荒木村重の謀叛に端を発し、毛利家に寝返る大名が続出。官兵衛は直ちに、村重の説得に単身伊丹城へ乗り込むが…。溢れる知略と一途な行動力ー国民的歴史作家・吉川英治が、2014年NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』の主人公の魅力に迫る名作。
「彼がいなければ天下は取れなかった」と漢の高祖(劉邦)に言わしめた天才武将・韓信。著名な故事ともなった「股潜り」の屈辱に耐えて身を起こし、韓信はいかにして兵法の常識を破る「背水の陣」をなし得たのか?項羽を追いつめて秦から漢に至る天下の帰趨を決定づけ、戦場で一度も敗れず「国士無双」と謳われた豪雄。その波瀾万丈の生涯を描く中国歴史小説の決定版。