尾張国中村の農家に奇異な赤ん坊が生れた。小粒で泣く力すらない。その場の誰もがそう思ったように、死産であったならば日本の歴史は変わっていただろう。やっと泣き出した嬰児は後の豊臣秀吉であったー。日吉と名付けられた自由闊達な子は、侍奉公という夢を抱いて家出し、各地を流転、世間を知る。そして、このお方こそ主君と選んだのが織田信長であった。御小人組に召し抱えられ、名を木下藤吉郎と改めると、主人の意を汲む能力を見いだされ、台所奉行、お厩方と出世をとげてゆく。そんな彼に生涯の伴侶となる寧子との出会いが待ち受けていた…。国民的歴史作家・吉川英治が、日本史上最大の出世物語を、親しみと愛情を一身に込めて描く長編歴史ロマン。
『下針』石山本願寺法主が信長の首に恩賞を懸けた。雑賀党の鉄砲名手、通り名“下針”は惚れた遊び女のため…。『ふたつ玉』主の六角承禎から美しい側女を下げ渡された甲賀の鉄砲名手・善住坊は、峠道での信長狙撃を命じられた…。『弾正の鷹』信長に堺商人の父を処刑された桔梗は、松永弾正の側女となり、韃靼人の女鷹匠を装い信長に拝謁したが…。『安土の草』甲斐乱波の草である庄九郎と楓は、番匠(大工)と下働き女として安土城築城現場に潜入するが…。『倶尸羅』将軍足利義昭から閨での信長毒殺を命じられた江口の遊び女・倶尸羅は、自らを献上し信長の側に侍るが…。鉄砲撃ち、鷹匠、乱波…凄腕の刺客とその恋の行方は。
骨肉相食む戦国の世、島津家は親子兄弟が堅固な団結力をもって、薩摩・大隅・日向、やがては九州全土の征服を目指した。20歳の初陣で大勝した義弘は、輝かしい武名を残すが、関ケ原の合戦に敗れ、家康陣の前を敵中突破、“島津の早駈け”で名を挙げた。兄義久と協力して、薩摩藩の繁栄の礎を築く。南国の猛将の生涯を通して、島津一族の絆を描いた長編力作。
松江藩のお種人参から雲州人参へー松江藩の薬用人参栽培の礎を築いた小村新蔵・茂重父子がモデルの歴史小説。栽培に情熱をかけた姿を家族愛とともに描く。石見銀山ー尾紅間歩ー石見銀山の間歩(坑道)を苦労の末、開発した尾紅孫右衛門。非業な最期を遂げる。石見銀山ー須佐高櫓城と銀山山吹城ー銀山争奪戦で焼け落ちる高櫓城。虎三郎の目に涙が止めどなく流れる。石見銀山ー釜屋間歩と大久保間歩ー銀の大鉱脈を掘り当てた山師安原伝兵衛と銀山奉行大久保長安の物語。
三十五万石彦根藩主の子ではあるが、十四番目の末子だった井伊直弼は、わが身を埋木に擬し、住まいも「埋木舎」と称していた。「政治嫌い」を標榜しつつも、一代の才子長野主膳との親交を通して、曇りのない目で時代を見据えていた。しかし、絶世の美女たか女との出会い、それに思いがけず井伊家を継ぎ、幕府の要職に就くや、直弼の運命は急転していった…。
人情について描かれている作品が知りたい。お庭番・隠密が活躍する作品を探している。本能寺の変が題材になった作品が知りたい。西郷隆盛が登場する作品を探している。テーマ・ジャンル・歴史上の人物から探せる歴史・時代小説索引。2017年に日本で刊行された908冊を収録。テーマ展示や選書、レファレンスなど用途に合わせて歴史・時代小説が選べる図書館のレファレンスツール!
関ヶ原合戦から2年。壮絶なる退き口で島津軍と共に薩摩に逃れた自衛官32名。徳川の執拗な追及を逃れ、宗凡の手引きで京へ匿われる。一方、穴生の里で才と暮らす大賀剛一は、妻子を殺され村を出た。「俺たちは火薬庫の中のマッチだ。二度と歴史に関わるまいと心に決めながら、結局どうしようもなく、また歴史に絡め取られている」-伏見城で家康暗殺に失敗した島和武は、豊家滅亡を企む徳川の不穏な動きに自衛官たちの運命を案じるが…。
水と火のごとく相反する性格を持ちながら、固い友情に結ばれた大久保と西郷。倒幕運動を推進し、維新の大業を成すが、「征韓論」をめぐって激しく対立。歴史を大きく動かした大久保利通の足跡を描く長編傑作。
太閤秀吉が世を去り、天下の実権が関ヶ原で争われている頃、政権交代の混乱に乗じて政宗は和賀郡を奪取することを企てる。奥州に波乱を巻き起こした政宗だったが、天下人となった家康の不興を買ってしまう。だが一方で、南蛮との貿易ルートに財政の活路を見出し虎視眈々と好機を待ち続けていた。最後まで天下を諦めなかった猛将の生き様を描く傑作戦国小説。
怒声と哄笑、砂煙をあげて駆けぬける人馬ー覇者・家康が治める江戸。争乱のるつぼで生まれ育ったお六は、そんじょそこらの小娘ではない。愛くるしい笑顔の内に、とてつもない図太さを秘めていた。栄耀栄華を手に入れたい、我が手で天下を取りたい。-恋も財も地位も、すべてを欲しがった女、徳川家康最後の側室・お六。その激しくも儚い生涯を描く傑作長編。
“三本の矢”のエピソードでも知られている毛利元就は、戦乱の世に、所領わずか二万三千石の小大名の次男として生まれた。そして生涯、2000度以上の戦いを経て、中国10カ国を平定し大大名へとのし上がる。しかしこの稀代の名将は、なぜか一度として天下取りを目指すことはなかった。それはなぜなのか?受けの天才の隠された真意に迫る長編歴史小説の傑作。
稀代の伝奇小説作家による、晩年の傑作時代小説を集成。長・中篇3作、短・掌篇14作、すべて全集未収録作品、紀行/評論11篇、すべて初単行本化。
絢爛・悲壮の時代絵巻。歴史の中に人間的真実を求めつづけた中山義秀自選の傑作群。
絢爛・悲壮の時代絵巻。歴史の中に人間的真実を求めつづけた中山義秀自選の傑作群。