戦国末期、武田水軍の海将・向井正綱は、留守中に城が徳川軍の攻撃を受け、父と義兄を失う。彼は父の遺志を継ぎ、北条水軍との駿河湾決戦で奮戦、水軍の長として汚名を返上する。そんな正綱の下に父の仇、徳川軍への誘いが来た。家康からも一目置かれた海の侍の活躍を描く隆慶一郎、未完の海洋時代小説!
戦国時代の合戦で活躍した雑兵足軽たち。勝敗を決する部隊の主役でありながら、武将の陰で注目されてこなかった彼らの戦いの実像を、正確な考証とリアルなイラストで再現。足軽のルーツ、合戦への動員のされ方、給料の額、集団戦法と武器の使用法など満載の、ビジュアル歴史読みもの第2弾。
中国の古代から人々が熱心してやまない「玉」の産地として聞こえた、誰も知らない崑崙山を目指して黄河の源流へと遡っていく人々に襲いかかる苦難の行方を描いた「崑崙の玉」。著者の独擅場とも言うべき西域・中国もののみならず、戦乱の世において非運に倒れた武将たちの運命を見据えた戦国もの等も収録。透徹した視線と自在な筆致が冴える傑作短篇集。
江戸後期の天保年間、老中水野忠邦から突然命じられた理不尽な三方国替え。越後長岡への転封を強いられた藩主を守ろうと、荘内藩の百姓たちは越訴のため黙々と江戸を目指す。深山にわけ入り間道を伝って歩き続ける領民の相貌と彼らを衝き動かした情動を精緻に描く、新装版の傑作歴史長編。
『鬼平犯科帳』の“消えた暦”とは?『御宿かわせみ』のおるいは年をとらない?宮本武蔵はワープする?『大菩薩峠』の七不思議?歴史・時代小説をこよなく愛する日本史学者が1行1字まで徹底的に読み込んで、あの名作の魅力の秘密が見事解き明かされていく。歴史探究のプロ淆が作品世界の時空奥深くまで案内する、謎と発見にあふれたワンダフル・トラベル!
明治維新の英傑でありながら、新政府に叛旗を翻した男・西郷隆盛。歴史に大きな足跡を残しながらも、さまざまな謎に包まれたその実像を、盟友や家族といった周囲の人々の目を通して浮かび上がらせた傑作短編集。江戸無血開城に至るまでの勝海舟との交流(海音寺潮五郎「西郷隆盛と勝海舟」)、西南戦争にも従軍した息子・菊次郎から見た父の意外な姿と親子の絆(植松三十里「可愛岳越え」)など、五編を収録。
信長が安土城に安置していた「盆山」の真の役割を知る織田信雄。六十余度の戦いで不敗を誇る肥後の智将・甲斐宗運。関ヶ原合戦直前、伏見城で西軍に寡兵で臨んだ徳川の猛将・鳥居元忠。家康の懐刀として暗躍した、武人にして豪商の茶屋四郎次郎。今川、武田・上杉の圧力に智恵と胆力で対抗する北条氏康。賎ヶ岳七本槍の一人として大名となった片桐且元…。大注目の作家陣が知られざる戦国史を描く豪華アンソロジー!
愛と憎しみ、嫉妬、野望…将軍を中心として、女たちのさまざまな思いや情念が渦巻く江戸城・大奥。乳母と夫人、夫人と側室ーそれは大奥での権力をめぐり激しく火花を散らす“女の合戦”。乳母将軍・春日局の権勢から桂昌院、絵島生島の悲劇まで、その実情を冷徹な眼で社会派推理作家が描いた異色時代小説。
惜しまれつつも完結したコラム「人間道場」、待望の書籍化!
三十五万石彦根藩主の子ではあるが、十四番目の末子だった井伊直弼は、わが身を埋木に擬し、住まいも「埋木舎」と称していた。「政治嫌い」を標榜しつつも、一代の才子長野主膳との親交を通して、曇りのない目で時代を見据えていた。しかし、絶世の美女たか女との出会い、それに思いがけず井伊家を継ぎ、幕府の要職に就くや、直弼の運命は急転していった…。
戦国切っての名将・黒田官兵衛。しかし彼の居城姫路は、西の毛利と東の織田に挾まれ、そのいずれかの配下に就くほか術はなかった。戦国時代を生き抜くために、彼が下した決断とは…?単なる軍事参謀であるにとどまらず、時代の潮流を鋭く把握し、その才ゆえに秀吉、家康がもっとも恐れた男・大軍師黒田官兵衛を描く歴史長編。
久留米藩領井上村。大庄屋高松家の総領・甚八と弟の庄十郎は父に連れられ、数千と集まる百姓たちの姿を目の当たりにする。突然下った年貢の増徴と夫役。百姓たちの怒りに火がついたのだ。天地を揺るがすような一揆寸前、稲次因幡家老が百姓救済を申し出て、一揆は回避されるがー。時が経ち、甚八は家督を継ぎ、庄十郎は自らの病をきっかけに医師の道を志す。黄金色に輝く稲穂、田植え唄、雨乞い、火祭。筑後平野に息づく、さまざまな人生の哀歓を描きつくす感動長編。
小説世界の盲人たちはただ強いだけじゃない。優しくてあたたかい。そして、したたか、欲も張る。そのえがかれ方に時代を探る異色の文芸評論集。
織田信長の天下布武の構想を実現し、自らの人生をも切り拓かんとする黒田官兵衛は、羽柴秀吉と共に天下獲りに乗り出し、その知謀の限りを傾ける。毛利攻めから、中国大返し、山崎の合戦を経て、賎ヶ岳へ。荒木村重、柴田勝家など、戦国乱世を壮絶に生きた群雄たちの姿を活写し、まったく新しい視点で、これまでにない「官兵衛像」を確立した決定版がここに!
志賀小太郎が長州で指南、そして会津へ来た長州藩士。戊辰戦争前の会津藩と長州藩の交流とは?余話「保科正之」「越前藩主松平春嶽」も掲載。
鬼の義重・坂東太郎と恐れられた荒武者だったが、今は子・佐竹義宣に実権を譲り、隠居した身だ。そんななか、天下統一を成した豊臣秀吉より命が下る。「常陸を平定せよ」五百年の歴史を持つ佐竹家の誰もがなし得なかった夢を我がなし得る。義重は年老いた身でありながら早速攻略に取りかかる。しかし、実権を握る子・義宣に報せが入り…。父祖伝来の重み、在りし日への思い、老いへの恐怖、次世代へと委ねるもの。祖・源義光より現代まで900年続く佐竹の家名はいかにして護られたのかー。
司馬史観徹底検証!国民的人気作家たちが紡ぐ虚構の近現代史を撃つ決定版!