弘化三年、仁孝天皇の末子として誕生した親子(和宮)は、十六歳で徳川第十四代将軍家茂に降嫁。幕府は権威の回復に「公武一和」の政略結婚を策した。大奥に入った親子は、そこで江戸方、宮方の風儀の対立で苦悩する。だが、夫婦は互いを尊重し仲睦まじく暮らす。家茂は二度に亘って天皇に拝謁するため入洛。やがて、長州親征で三たび西上した家茂の身に異変が…。
大江小説は“歴史”をどう認識しているのか?そもそも“歴史”を認識するとはどのようなことなのか?いま最も注目される文芸評論家の傑作評論。
漢文との堅い絆を断った歴史叙述は、漢字仮名まじり文に新たな分割線を引き、おきまりの総ルビを振り捨てた小説は、新たな読者と新たな読みを成型しはじめるー。19世紀後半期、この国の言説の構造変動を踏査する、スリリングな道行き。待望の論集。
“金山湊をやきものの集散地とし、織田家の台所を潤せ”金山城主となった蘭丸の父・森三左衛門は、信長から命じられるが合戦で討死。幼くして通商の要地を見て育った蘭丸は、信長の小姓に召されるや、算にたけた怜悧さで力量を発揮する。やがて信長に資質を認められ、知行地を与えられた蘭丸。だが一方で、二人の娘との愛に苦悩する若者でもあった。長編歴史小説。
坂本龍馬が登場する小説を読みたい!、作家の名前も作品名も忘れたが、「さよ」という少女が登場する物語をもう一度読みたい!そんな読者の要求に答える国内初の小説登場人物索引。2000年(平成12年)〜2009年(平成21年)の10年間に国内で刊行された歴史・時代小説の単行本3983点に登場する主な登場人物のべ12897人を採録した。
夫・秀吉の死後、髪を下ろして高台院と号したおね。当初、五大老の筆頭・家康は、人心収攬のためおねに取り入る。だが、大坂冬・夏の陣を経て家康が野望を達成するや、彼女の運命は一変した。徳川政権の安定と存続を願う家康は、秀吉を祀った豊国神社破壊を命じるなど豊家に難題をつきつける。ひたすら夫の墓守をして静かに余生を送ろうとしたおねだったが…。
桶狭間の一戦を機に、天下は新しい覇権争いのるつぼと化す。新興信長、秀吉、家康の蔭で、「草」となって東奔西走する半蔵。彼を慕う美少女みほ。2人の上にふたたび魔の手が迫る!佳境に入る長編歴史ロマン。
大坂町奉行所に勤める大塩平八郎の下へ、老中水野忠邦が不正無尽を企んでいるので調査せよとの一通の書状が届いた。差出人は不明。一与力が幕府高官の不正を暴くとなると身の保障はない。時は天保の飢饉。飢えにあえぐ民衆救済のための建言書を奉行所に提出するものの、保身と利権漁りに明けくれる役人は無視。暴利を貪る豪商。色里に潜りこんだ役人と豪商たちのひわいな笑い声が平八郎の憤怒を煽り出した。
卑弥呼(邪馬台国女王)、大海人皇子(天智天皇の弟)、足利義政(室町幕府将軍)、豊臣秀吉(戦国武将)、柳生宗矩(兵法者)、大石内蔵助(赤穂藩国家老)、近松門左衛門(浄瑠璃作者)、むっつり右門(江戸八丁堀の同心)、土方歳三(新選組副長)、高杉晋作(長州藩の志士)、清水の次郎長(博徒)、下田歌子(華族女学校教授)など、古代から明治・大正期までの実在の人物、架空の人物の小説登場人物索引。
生まれながらの戦巧者にして天才的な武将上杉景虎(後の謙信)。戦塵の中に生き、合戦の勝利と、家名の再興以外には何も考えたことのない青年武将。彼は、父亡き後、柔弱な兄晴景に代わり、義侠の武人としての誇りを貫いていた。そんな景虎の人生に、ただ一点明るくともる灯…。それは、ある清純な乙女との出会いだった。「不犯の聖将」の半生を描く。
前田利家の死により天下は徳川家康の野望に晒された。石田三成の挙兵ー関ケ原決戦も家康の天下取りを確定させたにすぎない。前田家は家康から和戦を迫られるが、当主利長は生母芳春院を人質に出し、百万石の社稷を保つ。以降、彼は大坂の秀頼を見守り、嗣子利常の成長を期しつつ、文化立国をめざす。ときに柳生衆が暗躍するが、中条流富田越後が迎え撃つ。
太閤秀吉の死後、関ヶ原の戦いを経て政権は豊臣から徳川へ。家康の孫娘・千姫は七歳で秀頼に輿入れした。政略結婚とはいえ両家の和睦に心を砕く千姫。だが、大坂の陣で秀頼と淀殿は自刃し、豊臣家は滅亡する。その後、千姫は本多忠刻に再嫁し、束の間の幸せな日々を送っていたが…。晩年、俗世との縁を絶つ。時代の狭間で運命に翻弄され続けた一女性を活写。
ラウール・ド・モンティニー男爵は、狼狩りの達人でした。その男爵が、ひょんなことから奥方を迎えることになりました。尼僧院で育った優しい娘。そして、その娘に会ったとき、男爵は彼女を自分の魂のように愛しはじめたのです。世にも珍しい、もっとも地味なカップルを扱った、フランスを舞台にした、正しく洗練された恋愛小説。
織田信長が本能寺で斃れたあと、前田利家は豊臣秀吉を立てて天下統一に向かう。“義は君臣にして、情は朋友”の間柄は生涯変わらず、すべての戦役に参加し、大老として政務を執る。秀吉没後も、彼は天下を窺う徳川家康の野心を抑え、幼主・秀頼を守り豊臣家のために肝胆を砕く。風雲急を告げる世に、利家に仕えて奮闘する兵法名人・富田越後守の剣が冴える。
源平の昔、今より、八百年以上も前に、本邦随一の美貌の女武者が存在した。この本は、正室の座よりも愛一筋に生きようと共に戦場を駆けめぐった女性の、愛と武勇に生きた絢爛華麗な物語である。
龍馬の新政府構想による選挙で、徳川慶喜を退け、西郷政権が誕生。これに反発した旧徳川家臣の憤懣は内乱へ向かった。その後、欧米列強、ロシア、清の内政干渉が強まり、岩倉具視の後を受け、急遽、総理となった龍馬は事態打開に奔走する。そのとき、清国の砲弾が…。龍馬の思い描く日本は実現できるのか。新しい視点で描くもう一つの歴史物語、完結編。
関ケ原決戦後、徳川秀忠の娘・千姫が大坂城の主・豊臣秀頼に輿入れ。両家は固く結ばれたかのように見えたが、天下の実権は、すでに江戸の幕府に移りつつあった。前田家が二代にわたって守りつづけた秀頼母子の命運も、利長の死とともに大きく傾く。いよいよ最後の決着、大坂の役が目前に!徳川柳生流対前田中条流の兵法決戦も、かくして最高潮に達する。