慶長五年(1600年)、角を一本しか持たない羚羊が、八戸南部氏20代当主である直政の妻・祢々と出会う。羚羊は彼女に惹かれ、両者は友情を育む。やがて羚羊は寿命で息を引き取ったものの意識は残り、祢々を手助けする一本の角ー南部の秘宝・片角となる。平穏な生活を襲った、城主である夫と幼い嫡男の不審死。その影には、叔父である南部藩主・利直の謀略が絡んでいたー。次々と降りかかる困難に、彼女はいかにして立ち向かうのか。波瀾万丈の女大名一代記!
敗れ去るもの、落ちゆくもの、幕末維新時、抗わざるを得ず戦った人々の運命をたどる三作品。滅びゆくものを囲む歴史の趨勢を直視する。
信州善光寺の行人・次郎三郎と仲間たちは、領地の切り取りに鎬を削る戦国大名たちを相手に、敵味方なく馬や兵糧などを取り引きする武辺の商人。織田勢に包囲された城に潜入して米を届けるような、度肝を抜く知恵と行動力で乱世を生き抜いている。次郎三郎とは誰あろう後に大坂方の知将として名を馳せる真田幸村の祖父・幸綱その人であった。真田一族の栄枯盛衰を描く戦国大河小説第一弾!(書下し)
歴史をもっと楽しみたい。調べもの、資料整理のコツが知りたい。自分でも小説をかいてみたい。3人の人気作家が「秘術」を公開。
勘定奉行川路聖謨、通詞堀達之助。異国船の迫る幕末激動期に、第一線で誇り高く国を守り導いた先人たち。
大ボラを吹き、猛スピードで走り回る秀吉。古代の怪僧道鏡から、妖術使い、名もなき殉教者たち、幕末の剣豪まで多彩な人物が綾なす安吾の歴史小説世界。
お拾(後の秀頼)が生まれ、秀吉は甥の秀次が邪魔になる。秀吉の変心に危機感を抱く秀次の側近は、天下を騒がす大盗賊・石川五右衛門に秀吉暗殺を依頼する。請け負った五右衛門が目指すは秀吉が居を構える伏見城。迎え撃つのは奉行・石田三成と京都所司代・前田玄以。知力と武力が激突する死闘を制するのは…。正史にはない歴史の裏側が、密室トリックや鮮やかな結末で光彩を放つ。日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作にして「おすすめ文庫王国・時代小説部門」第1位に輝く歴史時代ミステリーの傑作。
なんとしても帰りたいー破船・漂流の果てに待つ、異国での過酷な境涯と歴史の翻弄。そして、時代は彼らの帰還をどう迎えたか。
名同心の父をもつ植草平助は、もらい泣きをするほど人が良いが、立身出世に興味なく、とにかく厄介事は御免蒙りたい、一風変わった定町廻りの見習い同心。なんとしても手柄を立てさせ、ゆるい主人を小馬鹿にする同僚どもを見返したいと機をうかがう小者の佐吉におだてられつつ、今日も市中見廻りならぬ、寄席廻りに精を出す。そんなふたりに、ある日とうとう不思議な殺しが降りかかり…。
激動の時代を証した女たちー鎖国から開国へ流れる歴史のただ中で、時代の障壁と運命の隘路に窮しつつ、人生を選択した女たちを描く大長編。
安政七年、『桜田門外ノ変』。文久二年、『生麦事件』。幕末動乱の時代を開くことになる事変を追った二作品。
志高く学び、信念堅く生きる。蘭学者前野良沢、幕末明治の医師、高松凌雲・松本良順。前人なき世界に挑み、日本の近代医学を拓いた立志の人々。
怒涛の勢いで侵攻してきた薩摩軍に琉球軍はわずかひと月で降伏。奄美諸島は薩摩に割譲され、尚寧王は日本本土へと連れ去られる。属国へと堕ちながらも、明に対しては独立国の体面を見せねばならない王国の苦悩。しかし琉球の誇りを胸に秘め、「南海王国」建設へ人々の胎動が始まる。大河歴史小説、完結編。
池田屋事件で名をあげ、声望を高めた新選組。だが皮肉にも、それは過剰なまでの使命感を生みだし、血で血を洗う粛清の嵐を引き起こしてしまう。その間に政情は一変。朝敵の汚名を着せられ、追われる身となった彼らには、苛酷な運命が待ち構えていたー。動乱の時代に生きた男の姿を鮮やかに描いた時代巨編。
幕末の動乱期、風雲急を告げる京で幕府側に立って剣を振るった新選組。もとは寄せ集めの浪士集団だった彼らを束ねた近藤勇とは、どのような男であったのか。優れた剣の腕を持ちながら、臆病ととられるほどに温和な人柄だったという近藤の半生を、池波正太郎ならではの人間味あふれる筆致で描いた時代巨編。
“小説の神様”志賀直哉。4篇の短編小説を読み直し、神話や民俗的伝承に根差した根源的な社会批判を読み解く。