四人の作者…井伏鱒二×中野重治×小林多喜二×太宰治…を列する居心地の悪さに近代文学研究という制度の枠、その政治性を気鋭の研究者が問い直す。
時は天保の江戸。無頼で勘当された旗本次男坊・浅形新一郎は、誕生日の夜に出会った大泥棒・吉兵衛から、伝奏屋敷に囚われた娘を救い出すよう頼まれる。引きうけた!敵は公儀庭番をも味方につける大商人。救出劇は剣豪、美女、すり、元大目付らを巻き込み、二転三転。新一郎、絶体絶命の危機へ。娯楽活劇の傑作。
篤い志とともに、次代を用意しながら歴史に殉じた者たち。追いつ追われつ、彼らが願い、目指したものとは。先駆者たちの孤独と悲運。
吉田松陰に十八歳で出会って教えを乞い、以降維新革命に生涯を捧げた高杉晋作。さらに江戸留学を経て攘夷から開国・倒幕へと戦略を変更、周囲を巧みに導き時代を切り開こうと動く。混乱の時代を的確に読み、駆け抜け、二十八歳で夭逝するまでを晋作自身の視点を通じて描く、読み始めると止まらない歴史小説!
江戸から大坂へ送られる姫を救出せんと、東海道を上る若侍・浅形新一郎。行く手には大坂の大商人・堺屋勘右衛門一派が立ちはだかる。道中で交錯する敵味方。新一郎は苦闘の末、姫を救い、埋蔵金十万両をも手にして、義士・大塩平八郎に加勢するが…。これぞ柴錬!結末も鮮やかな、時代ロマン小説の決定版。
神算、奇謀ー東条城の密室で正儀が案出する妙計の数々、巨万の富に物言わす商人唐土屋の協力、神出鬼没の八忍衆。驕慢あくなき高師直と副将軍直義のあつれき等、才筆いよいよ冴えて迫力満点。名匠鷲尾雨工が、動乱の南北朝時代をダイナミックに描き切った傑作歴史絵巻。
文化大革命の記憶から、中国人気作家、格非(『時をわたる鳥たち』)、蘇童(『妻妾成群』:映画『紅夢』の原作)、余華(『活着』:映画『活きる』の原作)の原点を探る。
福岡黒田藩の要職を歴任し、いまは隠居の身の十時半睡だが、藩の生き字引として人望と尊敬を集め、藩士たちのさまざまなもめ事の相談が持ち込まれる。珍貴な刀の鐔収集に狂奔する武士たち、酒乱夫と“人形妻”の騒動など、泰平の武士の人間くさい珍事雑事を半睡が見事に裁く。大いなる共感を呼ぶ時代小説の傑作。
時代小説に登場する用語を、幕府の職制、剣術、庶民の生活・遊戯、風俗から捕物、町名地名の由来まで、全11章に分類したうえでコンパクトに解説。巻頭の「大江戸図解」では30頁にわたり江戸城、時と暦、お金の数え方、女性の髪形などを絵解きで紹介。巻末の項目索引から引いて調べられるので便利。時代小説ファンだけでなく歴史ファン、江戸歴史散歩ファンにも必携の1冊!
1768年。革命前の爛熟したパリで、女の惨殺死体が発見された。かつて美貌の青年侯爵サドとの醜聞で、パリ中に名を知られた娼婦をいったい誰が殺したのか。パリ警察で、放蕩貴族を監視する特殊任務につく私服警部マレーは、事件の真相を探るべく、奔走するが…。歴史ロマン×警察小説の革命的融合!ベストセラー『殺人鬼フジコの衝動』の著者の原点にしてライフワーク作、登場!
真田は武田の新参者。北の脅威・上杉輝虎を防ぐ盾となり損耗戦を強いられていた。幸綱の跡取りたち信綱・昌幸兄弟は武田の部将として地歩を固めつつあったが、弱肉強食の乱世で生き残るため、真田家としての去就をどうするべきか悩む幸綱であった。そんな折幸綱は、信玄の継嗣・義信が駿河の今川家と内通して謀叛を企てた嫌疑に連座した。この危機をどう切り抜ける!?戦国大河第七弾!
中国・明からの使節を迎え沸き立つ17世紀初頭の沖縄・琉球王国。だが、この国の平和は幕府を後ろ盾にした薩摩によって侵されつつあった。侵攻に膝を屈するか?独立をかけて抵抗するか?そして宗主国・明は助けてくれるのか?生き残りへ向けて琉球の闘いが始まる。沖縄、激動の時代を描く大河歴史小説。
日本語が漢字と仮名とを使い始めた時に、「振仮名の歴史」が始まった!表意文字と表音文字という2つの文字種、中国語と日本語という2つの言語、「2つの2」によって振仮名が成り立つ。平安時代から現代まで、脈々と続く振仮名の歴史を辿りながら、日本語の多様性を浮かび上がらせた名著に書き下ろしの補章を加え、待望の文庫化。
長編歴史小説。関白秀吉が天下統一の野望に燃え、小田原城攻めを開始した天正18年。政宗は憤懣を胸中に秘め、遅れて参陣した。激怒する秀吉を相手に、無類の勝ち気な性格と型破りの言行で真っ向から挑む独眼竜の叛骨魂!
戦国道を邁進する秀吉軍の先陣には、常にはためく卍の旗と蜂須賀小六父子の姿があった。名利を求めず、ひたすら秀吉の立身出世に歓喜し、縦横無尽の働きをする蜂須賀党。その凱歌が荒野を揺るがす。
内戦に明け暮れ、飢饉や疫病に悩む甲斐は、乱国であった。14歳で守護の地位に就いた武田信虎は、甲斐統一を目指し、苦闘の道を歩む。信玄の父であり、“悪逆無道”の汚名を被せられた武将の悲劇を描く傑作。
諏訪、村上、小笠原の諸豪を逐い、宿敵上杉謙信と川中島で激突した信玄は、信濃を手中に収めるや、一転、怒濤の如く駿河・遠江に侵入、これも制圧した。武田騎馬軍団を率い、戦国の世に君臨した名将を描く。