21世紀初頭、ニューヨークを襲った9・11テロ事件以来、米国は圧倒的な軍事力を背景に、「悪の枢軸」ともくされ反米の立場を取る国々に対する粛清を開始した。北朝鮮を包囲するために、米海軍第7艦隊との共同作戦をとる海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」に乗艦した島和武3等陸尉、大賀剛一1曹ら180名余の「朝鮮有事派遣部隊」は陸上自衛隊誕生以来初めての海外派兵の途上にあった。本書は29年前に空前の大ヒット作となった『戦国自衛隊』の待望の続編である。
徳川家直参という言葉の意味するものは何か。家督相続のしかた、昇進、給与、家計、江戸城中の作法…。知っているようで知らないことばかり。江戸学の在野の巨人、三田村鳶魚の薫陶をうけた「最後の弟子」が説く「旗本八万騎」のホントの姿。歴史・時代小説ファンの手許には必ず置きたい文庫書き下ろし。
半生を西域に捧げた後漢の人・班超の苦難に満ちた道と孤独な魂の彷徨を追った「異域の人」、留学僧・行賀の在唐三十一年の軌跡と、入唐した日本人のさまざまな生の選択を描いた「僧行賀の涙」、謀反へと明智光秀を導く心の闇に巣くった亡者に迫る「幽鬼」など、歴史小説の名作八篇を収録。時代の激動を生きぬいた人間の姿を比類なき語りの力で描破する井上文学の魅力溢れる一冊。
越中と能登を手中に収め、加賀で信長軍を撃破した上杉謙信は、天正六年三月、信長と雌雄を決するべく、出陣の準備を進めていた。しかし、配下の「草ノ者」は、春日山城下の不穏な動きを嗅ぎつけていた。謙信の命を狙うのは武田方か?織田方か?暗殺指令を出した意外な人物とは!?陰謀渦巻く戦国の闇に隠された、壮絶な調略戦を描く、歴史推理小説渾身作。
慶応四年、鳥羽伏見の戦いに敗れた十五代将軍徳川慶喜が江戸へ逃げ帰って来た。慶喜追討令が出され、江戸へ向かって官軍が進発しようとしている。このままでは、江戸が火の海に包まれる。慶喜から朝廷との仲立ちを頼まれた皇女和宮の密命を受けた大奥上臈・土御門藤子は、一路京へ向かうが…。
井上靖はなぜ、『風林火山』を歴史小説と呼ばなかったのか。山本周五郎は、『さぶ』にどんな思いを込めたのか。藤沢周平の運命を変えた「転機」とは。似て非なる「ふたつの文学」のおもしろさ。名作の比較分析からはじまる、思いがけぬ知的発見の数々。「碩学の産業人」と呼ばれた著者による、最新文学論。
豊家子飼いの福島、黒田らを率いて、上杉討伐の軍旅に立った家康に、三成挙兵の報が届く。揺れる小山評定は、家康の深謀によって制せられ、東軍は反転、南下西上した。待ち受ける西軍は、毛利を大将に、その数、十万。圧倒的有利な地の利を構えて、いま、東軍を関ヶ原に迎えた!数百人もの登場人物の熱い息吹が聞こえてくる、瞠目感涙の歴史巨編、堂々の完結編。
織田信長の天下布武の構想を実現し、自らの人生をも切り拓かんとする黒田官兵衛は、羽柴秀吉のために、その知謀の限りを傾ける。毛利攻めから、中国大返し、山崎の合戦を経て、賤ヶ岳へ。荒木村重、柴田勝家など、戦国乱世を壮絶に生きた群雄たちを活写して、まったく新しい「官兵衛像」を確立した、著者渾身の「群雲」シリーズ、第二巨編。
武士道とは、生きること。みっともなくても生き抜くことだ。傷つき、汚れながら「わが人生」を歩んだ名もなき男たち-その逞しくも健気な生き方を鮮烈に描いた力作歴史小説。
求めたものは天下の名分である。反逆ではない。智将明智光秀の運命を決めた10日間の心理を鋭く洞察した表題作ほか傑作歴史小説3編収録。
西郷隆盛は流れ弾に斃れたのではない。味方の薩軍が狙撃したのだという衝撃的事実。いったい誰が、何故撃ったのか。西南の役と現代を結ぶニューウェーブ短篇歴史小説5篇を収録。
溌刺として挑発的で自信たっぷり。ミステリー界の多彩な“暗い営み”の裏も表も知りつくした著者が、生涯をかけて愛好してきた犯罪小説への個人的な思い入れに基づき、英米、欧州各国の三世代に及ぶ犯罪小説作家たちの作品の優劣を論じた最初、そして唯一の驚嘆すべき最高の歴史譚。MWA特別賞(エドガー賞)受賞。