小学校で独りぼっちの「私」の居場所は、母が勤めるマッサージ店だった。「ここ、あるんでしょ?」「ありますよ」電気を消し、隣のベッドで客の探し物を手伝う母。カーテン越しに揺れる影は、いつも苦し気だ。母は、ご飯を手る手で、帰り道につなぐ手で、私の体を洗う手で、何か変なことをしているー。少女の純然たる目で母の秘密と世界の歪を鋭く見つめる、鮮烈な中編。芥川賞候補作品。
「だめんず・うぉ〜か〜」くらたま渾身の本格ミステリー!「殺されたはずの母が、実は生きている!?」ニセ霊能者・東郷高峰事務所へ相談にやってきたのは、16年前に起きた「小金井首なし殺人事件」の被害遺児・日佐川椿希(19)。街で偶然、殺された母によく似た人物を見かけたという。東郷は退行催眠で赤の他人だとわからせようとするも、逆に椿希は母親への想いを募らせることに。そして数日後、事態は急展開を迎え…東郷と秘書・真夏が未解決事件の真相に迫る!
初期仏教はインド国内やスリランカに広がり、ガンダーラから中国へ伝播した北伝仏教と主に東南アジアへ伝わった南伝仏教が大きな流れであるが、伝播の実態は、流派、時期、道筋とも膨大な広がりがある。アジアにはヒンドゥー教やイスラム教を国教とする大国があるが、そのような国でもどこか仏教の痕跡が残る。本書ではアジアの国々の代表的な仏教寺院を取り挙げ、人類史の古代と近代の間を繋ぐアジアという地域とその文化を巡る。
皇帝リカルドの求婚を保留にし、教育係として城に上がった男爵令嬢アマンダ。幼なじみの頃から知る、やんちゃな暴君の性根を叩き直すつもりだったのに、実は聡明で優秀な彼に心惹かれる。「俺は十分に待った。もう待てない」こんなにも一途に愛されていたなんて。抱きしめられ、濃密なキスと無撫に敏感な身体が疼く。快感に溺れ、彼への想いが溢れてしまう。俺様皇帝と初恋婚!
恋人・豪と音信不通になり失意のすず。その上、彼の子を妊娠したと分かり動揺するも、それから三年、息子と穏やかに暮らしていた。ところがある日、自分を捨てたはずの豪が現れる。御曹司である彼は、家の事情ですずへの求婚を妨害されたが、執着愛を昂らせ、ずっと彼女を捜していた。豪に重すぎる熱情を注がれ、すずの抑えていた想いも疼き始め…!
健康診断や人間ドックでは、通常、測定されることのない血中のホルモン量が、心身の老化と密接に関係しているー。長年、老化のメカニズムの研究と診断・治療に取り組み、患者の「若返り」を実証してきた抗加齢医学研究の第一人者である著者は、そう明言する。本書では、五〇種類以上のホルモン生成に関与する最強ホルモン「DHEA」を軸に、各種ホルモンの多岐にわたる抗加齢力を解き明かす。日々老化を実感し、不定愁訴に悩む中高年に向け、ホルモンに着目した本物のアンチエイジングを指南する。
風呂に入らないのも、ゴミ屋敷になるのも、お金を借りまくるのも、支援を拒否するのも、すべて母なりの理由があったー。
小説家のわたし、離婚と手術を経たアン、そして作詞家のカズ。カリフォルニアのアパートメンツで子ども時代を過ごした友人たちは半世紀ほど後の東京で再会した。積み重なった時間、経験、恋の思い出ー「年とるのって、いいじゃん」じわり、たゆたうように心に届く大人の愛の物語。
セレナ・リュミエールは、婚約者である王子に浮気されている公爵令嬢。その不遇な環境とクールな見た目、内向的な性格から、これまで腫れ物のように扱われてきた。しかし、ある日突然自分の前世を思い出したことで、明るく柔和で天然すぎる美女に一変!そして、これまで静観していた王子の浮気を、“悪役令嬢”として応援することに。これで婚約破棄されたら、ハッピーエンドーそう思っていたのに、なぜか周囲から愛され始めて…!?Web版から大幅加筆&書き下ろしを追加した第1巻!